筑波大

スモールラインナップは機能するも、東海大を意識

昨年のインカレ王者、筑波大は今シーズン初の実戦となるオータムカップを3位で終えた。3位決定戦の白鴎大戦は前半にオフェンスが噛み合わずに苦しんだが、後半に限ればわずか21失点と堅守でリズムを作り出し62-55で逆転勝利を収めた。

オータムカップでは優勝した東海大の強さが際立っていた。しかし、筑波も昨年から増田啓介、牧隼利が卒業したが、司令塔の菅原暉、フォワードの山口颯斗、ビッグマンの井上宗一郎、ガードの野本大智と主力メンバーが多く残り、新戦力として木林優の台頭もあって、大学界屈指のタレント集団だ。

今大会の筑波大は、ステップアップが期待された浅井修伍が大会1週間前、半澤凌太は初戦でそれぞれ故障したことで、思い描いたような選手起用ができなかった。そこはインカレに向けて悔いの残る部分だったが、一方で収穫もあった。

吉田健司監督は語る。「4番を大きくするのか、それとも相手に合わせて小さくするのか、そういういろいろなバリエーションを少ない試合の中でできました。インカレに向け対戦相手に合わせたラインアップはできると思っています」

選手層を生かした様々な布陣を組めるのは筑波の強み。ただ、4番を大きくするビッグラインアップについては特にオフェンス面での課題が目立つ。「今日もビッグラインアップでスタートしましたが、前半はやっぱり重くなってしまいました。そして第4クォーターに、スモールラインアップにしたことで挽回できていることがはっきりした試合でした」と指揮官は振り返る。

そうであればビッグラインアップでなく、インカレではスモールラインアップ主体で戦えばいいのだが、連覇を目指すにはそういうわけにはいかない。吉田監督は続ける。「できればビッグラインアップで勝ちきりたいです。東海さんは4番、5番が強力なのでウチがスモールだとその分は厳しいとは思っています」

菅原暉

菅原暉「ディフェンスにもう一回フォーカスを当てる」

ビッグラインアップにおける手応えについては、司令塔の菅原暉も同じ考えだ。「スモールラインアップの方が今はやりやすいですが、筑波の強みは高さ、そこは使いわけていかないといけないです。それにビッグマンが、小さい選手につけるような脚を作っていかないと将来のためにならないので、そこは練習中から切磋琢磨しながら頑張っていきたいです」

このインサイド陣で要となるのは下級生の頃から試合に出ている井上宗一郎だ。「(準決勝で敗れた)大東文化大戦で、僕は第1クォーターにファウルを2回してしまい、それでインサイドが手薄になってやられてしまったのは事実です。そういうところで自分の責任感が足りなくて負けてしまった」と本人も大黒柱としてチームを牽引していく自覚は十分だ。白鴎大戦では3ポイントシュートを2本決めるなど、シュートレンジを広げたビッグマンはインカレで筑波が勝ち進むためのキーマンとなってくる。

オータムカップ終了後、インカレは12月7日から13日にかけての開催となることが発表された。連覇達成にはどこまでビッグラインアップの精度を高めることができるかに加え、菅原はチームの根幹である堅守速攻により磨きをかけたいと締めくくっている。

「今大会ではオフェンスが上手くいかなかったことが多かったと思いますが、その中でもディフェンスからブレイクの形がなかなか出ませんでした。そこはディフェンスにもう一回フォーカスを当てて、練習から頑張っていきたいと思います」

昨年も関東大学リーグは5位で終えながら、そこからの見事なチーム作りで筑波は頂点となった。その再来を果たすには、本大会までをどう過ごすのかが問われることになる。