原修太

WOWOWは24日の『ナゲッツvsレイカーズ』をWOWOW NBAで生中継することを発表した。この試合に先立ち、11月16 日(土)にWOWOWが生中継した『レイカーズ vs スパーズ』でゲスト解説を務めた、千葉ジェッツの原修太選手がインタビューに応じた。原は試合の感想や、八村塁、河村勇輝ら日本人NBA選手への思い、渡邊雄太選手との交流、さらには11月24日に行われる『ナゲッツvsレイカーズ』の見どころなど、NBAへの愛をたっぷりと語った。

──『レイカーズ対スパーズ』の試合のゲスト解説をされました。八村選手の出場はありませんでしたが、試合はいかがでしたか。

レイカーズもスパーズも今年、すごく面白いチームです。大きく選手が変わったわけではなく、レイカーズはヘッドコーチが変わり、スパーズだとクリス・ポールが加わっただけですが、だいぶ違ったチームに変化したという印象です。解説ももちろん楽しんでやることができました。

──八村選手は今シーズン、3ポイントシュートを高確率で決めるなど好調です。彼のパフォーマンスについてはどう見ていますか。

ウィザーズの時にはポストプレーが多かった印象でした。レイカーズに来てからはパスをもらってからの判断やシュートを決めきる力は良くなりましたし、効率の良い選手になったなという印象です。ただ、これは本人の課題なのか、チームとして打つ機会が少ないだけなのかはわからないんですけど、3ポイントシュートはもっと打ってもいいのかなと感じます。

──となると、まだ伸びしろはあるというところですね。

そうですね。オースティン・リーブスが今、サードオプションになりつつあるので、その次の、4番目、5番目の選手が効率よく15点、20点を取る試合があれば、レイカーズはもっと強くなると思います。

ウェンバンヤマ、レブロン、

──今シーズンはなんといってもグリズリーズと2way契約を結んだ河村選手が話題となっています。原選手は彼のNBAデビューについてどう感じていますか。

実はBリーグで彼から1度、スティールしているんですよ(笑)。だから彼がもっと有名になってもらえればうれしいです。河村選手とは彼が高校生の時に対戦していて、その頃から「すごい高校生だな」とは思っていましたが、どちらかといえば当時はアシストがメインの選手で、まさかNBAに行くとは思ってもいませんでした。

また、エグジビット10契約(無保証の最低年俸でトレーニングキャンプに参加できる)から2way契約(NBAチームとその傘下にあるGリーグチームの両方でプレーができる)を勝ち取ったのも驚きでした。本人も言っていましたが、もう少し時間がかかるのかなと思っていました。

──河村選手はパフォーマンスもさることながらチームメートやグリズリーズを中心としたファンからも人気がありますね。

いいことだと思います。プレー時間が短いだけで彼の実力が追いついていないと思いません。彼の性格も知っていますが、彼だからみんなに応援され、ジャ・モラント(グリズリーズのエース)にも気に入られたのではないでしょうか。彼がつかみ取った人気なのですごくポジティブにとらえています。ファンが試合の最後に「(河村を試合に)出せ」と言ってくれるのも、彼にチャンスを与えるきっかけになるので、すごく良い方向に行くんじゃないかと思います。それに彼は、あれだけ急激に人気が出ても態度が変わったりしないですし、あの性格なら大丈夫じゃないでしょうか。

──以前のインタビューで原選手はマーカス・スマートが好きで、そこから彼が当時所属していたセルティックスも好きになったとうかがいました。河村選手はスマートのいるグリズリーズに加入しましたね。

河村選手の渡米前のイベントのときに「マジでマーカス・スマートのこと好きだから、どんな人か教えて」という話はしておきました(笑)。河村選手が日本に帰ってきた時にちょっと聞いてみようかなと思います。うらやましいですよね。

──Bリーグを経てNBAに行った選手は河村選手が第1号となりました。間近で見ていた選手がNBAへ行ったことも含めて、NBAを身近に感じるようになったということはありますか。

身近……でもなくやっぱり遠いというか、NBAはすごいところです。ただ、河村選手がBリーグから行ったことで、道を切り開いてくれたと思います。河村選手はBリーグで経験を積んで活躍をし、結果を残すことでNBAに行くチャンスができました。NBA側もちゃんと見てくれているというのが分かったので、だからもっとBリーグで活躍したいという気持ちは芽生えました。Bリーグ自体がさらに盛り上がれば、NBAのスカウトも見てくれるかもしれません。

僕が所属する千葉ジェッツのトレヴァー・グリーソンヘッドコーチもそうなんですが、NBAからBリーグに来てくれた人たちから話を聞くことで、NBAがどういうところかを知ることができているのは良い変化だと思います。グリーソンHCからは「NBAではトランジションでこの数字を目指している」と教えてもらったり、シューティングの時に「NBAではこうだから、もっと強度高くやってほしい」と伝えられることもあります。

河村勇輝

──今年の千葉ジェッツには昨シーズンまで6年間、NBAでプレーをしていた渡邊雄太選手も加入しました。

彼には「NBAのあの選手ってどんな感じ?」とか気軽に聞いたりします。サンダーのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのことで、「(画面越しに)見ていると身体が細く感じるのになんであんなに点が取れるんだ」と雄太に聞いたら、「実際の彼はめちゃくちゃ身体が強いんだ」と言われました。「ケビン・デュラント(サンズ)も細く見えるけど前腕の力が尋常じゃなくてハイタッチが痛い」とか、そういうのを聞いてNBAの選手もちゃんと身体作りをしているんだなと感じました。

──八村選手、河村選手がNBAでプレーすることで、これまでNBAに馴染みの無かったファンもNBAが気になっていると思います。そのようなファンの方たちへ向けてNBAの魅力を伝えて下さい。

Bリーグもどんどん試合のテンポが早くなっているとはいえ、NBAのオフェンスの速さ、試合展開の速さというのは見ていてすごく楽しいです。また、やっぱり世界最高峰リーグなので、選手たちのスキルや、能力が高くて、プレーがすごく派手で見ていて楽しいというのが魅力です。僕はNBA選手たちのファッションを見るのも好きで、彼らは私服も超おしゃれですし、スタイリストをつけているそうなので、そういう観点での楽しみ方もあると思います。

──24日にレイカーズとナゲッツの対戦をWOWOWで生中継します。最後に、この試合の見どころを教えてください。

レイカーズはナゲッツを超苦手としていて、昨シーズンのプレーオフでも20点差をひっくり返されて負けてしまいました。本当に相性が悪いんだなって思います。さらにレイカーズはインサイド陣にケガ人が多いので、誰がニコラ・ヨキッチにつくのかも気になります。八村選手はこれまでヨキッチを守る時良かったので、彼がついたときにどうなのかも楽しみです。

ナゲッツではラッセル・ウェストブルックに注目しています。最近、スタメンになって調子が良いようですし、クリッパーズにいた時に自分の立場を受け入れて、どんどんロールプレーヤーになっていってる感じがします。自分の役割を理解している選手がいるチームは強いですね。

◾️番組概要
対戦カード:『八村塁出場予定 ナゲッツvsレイカーズ』
放送日時:11月24日(日)午後0時30分