ウインターカップ福岡県予選の最終日、昨年の本大会におけるファイナルの再現となる福岡第一vs福岡大学附属大濠が実現した。第3クォーター途中まで同点と『福岡対決』を煽る周囲の期待に違わぬ熱戦となったが、大濠は終盤に引き離されて61-88で敗れた。それでもこの試合、大濠では針間大知と湧川颯斗の下級生コンビが先発に名を連ね、福岡第一を相手に堂々のプレーを見せている。もちろん、敗れたことで2人に満足感はない。本大会までにレベルアップして、決勝で福岡第一を倒すつもりでいる。伸び盛りの2人にウインターカップ本大会へ向けた意気込みを聞いた。
大濠は練習の熱量はすごい! 湧川はあざとい?
──まずは自己紹介をお願いします。それからお互いの印象を教えてください。
針間 岡山県の玉島北中学校出身の針間大知です。得意なプレーはジャンプシュートです。
湧川 広島県の古田中学校出身の湧川颯斗です。得意なプレーは3ポイントシュートです。
針間 コートの中での颯斗はドライブでガンガン中に切っていくイメージがあります。切っていって回転をかけてこねったシュートでもめっちゃ入ります。昨日(岩下)准平と話していたのですが、性格はあざといというか、わざと天然に見せてかわいがられに行くような狙っている部分がありますね。でも本性はバレてます(笑)。
湧川 あざとくはないですよ。語彙力がなくてどう説明すればいいのか分からないんですけど、そう見えるだけです。あざとくないです(笑)。大知さんは一緒にプレーしててオフェンスもディフェンスも頼れるプレーヤーです。ここぞという特に点を取ってくれます。先輩なんですけどしゃべりやすくて、同級生みたいな感じで馴染みやすいです。
針間 褒めてくれて素直にめっちゃうれしいんですけど、それも狙ってるのかな、あざといヤツだなーって思います(笑)。
──2人とも県外出身ですが、どういった理由で大濠を選んだのですか?
湧川 日本人だけでやりたいという思いがあって、大濠以外にも洛南とか選択肢はあると思うんですけど、練習に参加させてもらった時に片峯(聡太)先生の指導の熱とかコミュニケーションに魅了されて、他の高校にはない部分だと思って決めました。
針間 恥ずかしい話なんですけど、僕はバスケは中学まででいいかなと思っていて、地元の公立校に行くつもりでした。正直、バスケはやめる気満々だったんです。でも、全中で実践学園に負けて3位になった時の悔しさがすごく大きくて、それは今でも僕のバスケット人生で一番悔しかったことなんですけど、「この屈辱を超えて日本一になりたい」という思いで強豪校でバスケを続けることにしました。大濠は練習の熱量がすごくて、自分の頑張ろうという気持ちをさらに高めてくれるし、その熱量を試合でいろんな人に見せたいと思いました。
──全国的な強豪である大濠で下級生ながら試合に出ている2人ですが、3年生に追い付け追い越せの気持ちは強いですか?
針間 颯斗は性格的に「追い越せ」という感じではないかもしれませんが、自分は練習中でも3年生にガンガン言っていきたいし、第一に負けたからこそもっと頑張って、3年生を追い越していかなければいけないという気持ちが強くなりました。
湧川 (西田)陽成さんや(間山)柊さんに追い付けるように頑張っているんですけど、意識として同じポジションの(廣政)遼馬さんには絶対負けたくないという気持ちで練習からやっています。
針間「僕はエースになるつもりで大濠に来ました」
──ウインターカップ出場を決めましたが、県では福岡第一に敗れました。ライバルに負けた悔しさをどう受け止めていますか?
針間 自分の中ですごく落ち込んで、2日間ぐらいはあまりしゃべれないぐらいの感じでした。今はもう切り替えて、ウインターカップは3年生に頼るんじゃなくて自分がチームを勝たせる気持ちでやろうと思っています。そのために何をすればいいかを考えていて、今回の第一戦でもその前の報徳学園でもそうなんですけど、相手を抑えることができてもフォワードとして出ている以上は点を取ってナンボで、もっとゴールに果敢に攻めて点を取ることが大事だと思います。
湧川 自分の役目はリバウンドで、留学生に対してもリバウンドで飛び込んで、それだけじゃなく常に速攻でも走らなければいけないと思っています。第一戦では初めて試合でバテました。身体をぶつけてくるのと走るのとで、第1クォーターで足がつりそうになってビックリしました。体力面の課題が出たので、そこは本大会までに体力を付けて、リバウンドとかルーズボールとかチームに流れを持って来るようなプレーをしないといけないです。そういった泥臭いプレーを1試合ずっと続けられるように準備していきたいです。それでも、それまでの練習試合とかではプレーに遠慮が出ていて、先輩たちから「もっと行け」と言われていたんですけど、第一戦では積極的にドライブとか3ポイントシュートを狙うことができて、そこは自分としてはできたと思っています。
──県予選では敗れましたが、大濠が福岡第一に勝っていた部分もあるのでは?
湧川 今日の練習中に集まった時にキャプテンの(平松)克樹さんが言っていたんですけど、リバウンドでは勝っていたと僕も思います。あとはチーム力、シュートが決まった時の盛り上がりや、最後は点差を離されてしまったんですけど最後まで戦っていて、試合での雰囲気では第一に負けていないと思います。
針間 大濠の方がバスケIQが高くて、プレーの中でしっかり考えることができていると思います。応援してくださる方々への思いは第一もあると思うんですけど、OB会だとか支えてくれる人たちへの感謝の気持ちでは負けていないつもりです。それと、大濠の練習の熱さは間違いなく全国でも一番だと思います。練習はキツいですけど、全国の中学生でも高校生でも見てくれれば「頑張ろう」と思ってくれる、そういう力があると思います。
──将来的にどんなプレーヤーになりたいですか。目標にしているプレーヤーがいれば教えてください。
針間 僕はエースになるつもりで大濠に来ました。目標にしているのは中学校の先輩の土家拓大さん(北陸)で、あこがれのプレーヤーというか、人として尊敬できる人です。ガンガン中にドライブする姿勢、アシストやシュートを決めるところがカッコ良くて、そこが自分にない部分だと思っているので、拓大さんみたいに強い気持ちを持って大濠のエースとして活躍できるよう頑張りたいです。
湧川 僕はYoutubeとかでいろんな選手を見ているんですけど、最近はテーブス海さん(宇都宮ブレックス)をよく見ています。身長があるポイントガードということで、片峯先生にも将来そういう選手になれと言われているので、プロのテーブス選手のプレーを見てピックの使い方とかを学ぶようにしています。
──テーブス海選手の弟であるテーブス流河選手は報徳学園の同じ1年生です。先日、練習試合をしましたよね?
湧川 U14とU15で一緒にプレーしていたのですが、アンダー以外で対戦するのは初めてでした。本当に身体がゴツくなっていて、テクニックもちょっとアメリカっぽいというかリズム感が独特で、すごく上手かったですね。
湧川「1年生でもチームに働きかけられることはたくさんある」
──ウインターカップ本大会まであと1カ月となりました。去年は決勝で福岡第一に敗れていて、『ライバル対決』は今年も注目されそうです。全国大会ではありますが、福岡第一に借りを返したいという気持ちは強いですか?
針間 去年は第一に全部負けて、今年最初に初めて勝つことができて、そのうれしさは忘れられないです。でもそこから負け越していて、自分としては絶対に決勝で第一を倒したい気持ちがあります。でも、その前の過程で洛南とか開志国際とかのエースを相手に、僕がディフェンスでもオフェンスでもやれることを証明して自信を付けて、ファイナルに行きたいです。そこでジュニア(ハーパージャン・ローレンス・ジュニア)選手を完全に抑えて、そしてどんどん点を取って勝ちたいです。
湧川 僕は初めてのウインターカップなので緊張している部分がありますが、第一戦で体力が課題だと分かったので、今は月木でトレーニングしています。本番までには全国の強豪校に負けない身体作りをしていきます。
──ウインターカップの経験がある針間選手から湧川選手へのアドバイスはありますか?
針間 僕は最初はシックスマンで出ていて、ケガをしていた時期もあったんですけど、やっぱり第一のトランジションは本当に速くて、対抗するには体力を付けるしかない感じです。あとはフィジカルで、ジュニア選手が来ても止められるフィジカルを磨いてくれたらと思います。
──それでは最後に、ウインターカップに向けた意気込みを聞かせてください。
湧川 今回が初めてのウインターカップになりますが、1年生でもチームに働きかけられることはたくさんあると思っています。その中でも自分はスタートとして出させてもらって、泥臭いプレーをやらないとチームに流れが来ないと思うし、それでチームが盛り上がれば勝ちに繋がると思います。なのでウインターカップではリバウンドとかルーズボールに食らい付く泥臭いプレーを、あとは3ポイントシュートを見てほしいです。
針間 見てほしいプレーはディフェンスとオフェンスの両方です。先の第一戦ではジュニア選手にフェイスガードで付きましたが、本当はフェイスガードしなくても1対1で止めるのが理想です。できる限り1対1で相手を止めて、オフェンスでは相手が引いたらどんどん中に切っていって、今はちょっとシュートがなかなか入らなくて修正中なんですけど3ポイントシュートも決めていきたいです。自分としてはディフェンスでもオフェンスでも大活躍して、大濠のエースは陽成さんじゃなくて自分なんだと思ってもらえるぐらいのプレーをしたいです。