接戦を落とし「落としてはいけない試合だった」
名古屋ダイヤモンドドルフィンズは昨日の琉球ゴールデンキングス戦に惜敗し、8勝5敗となった。勝率5割を上回り、西地区2位という順位だけを見れば、良いスタートを切ったように見える。だが、千葉ジェッツに連敗し、琉球戦も落とし、強豪チームに勝てていないことが不安材料となっている。
齋藤拓実も「内容を見る限り、落としてはいけない試合だった」と、試合を振り返った。「自分たちのオフェンスやディフェンスがうまくいかずに点差が離れ、アジャストできていない中で食らいつきましたが、試合の流れを見て変化をつけるべきだったと思います」
名古屋Dは序盤から琉球のインテンシティの高いディフェンスに手を焼き、ジャック・クーリーのオフェンスリバウンドを止められず、第3クォーター中盤には18点のビハインドを背負った。それでも、相手の圧力に屈することなくリングへのアタックを繰り返し、フリースローを多く獲得したことで、一時は逆転に成功した。齋藤は「ファウルをうまく使いながら、フリースローで点数を重ねていけたのはオフェンスとして良いことだと思います」と、その点についてはポジティブに受け止めた。
しかし、接戦を落としたこともあり、齋藤は至らなかった部分にばかり目を向けた。「ディフェンスで気持ち良くミドルシュートを打たせてしまったり、クーリー選手やウイングの選手のポストアップに対して簡単にやられすぎてしまった。そこで何かもっと変化が必要だったと思います」
ジェフ・エアーズが第1クォーターで3つのターンオーバーを犯すなど、序盤に自分たちのミスから主導権を握られたことについても齋藤は言及した。「琉球はハンドオフに対してのディナイが厳しく、試合の入りで外国籍選手のパスミスもあった。パスが上手じゃないからだけで済ますことは良くないし、そういうところに対してのオプションをチームとして増やしていかなきゃいけないと思います。受け手にも責任があるし、質を高めていかないといけません」
「まだまだだなとあらためて感じることができました」
齋藤はこの試合で9得点6アシストを記録。残り3分を切った場面から2本連続でフィールドゴールを成功させて逆転するなど、4得点3アシストを最終クォーターに固め、勝利の立役者となることも考えられた。しかし、1点リードで迎えた残り1分10秒からのオフェンスで、並里成をかわしオープンな状態でロング2ポイントシュートを放つも決め切れず、直後に並里に決勝3ポイントシュートを許した。
齋藤は敗戦の責を負いつつ、素直に相手を称賛した。「迷いはなかったのですが、最後は僕がジャンプシュートを外してしまって、並里さんが3ポイントを決めた。並里さんはさすがだなと感じました」
並里は強豪の琉球を牽引するリーグトップクラスのポイントガードだ。今回は並里に軍配が上がったが、こうした選手とのマッチアップは必ず己の糧となる。齋藤は純粋にトップ選手とのマッチアップを楽しみつつ、自分の現在地を実感したという。
「リーグを代表するポイントガードですし、そういう選手とのマッチアップは素直に楽しかったです。チームを勝たせるという部分では並里さんのほうがしっかりできていた。ラストショットもそこでの差が出てしまったので、まだまだだなとあらためて感じることができました」
齋藤は勝利を欲するからこそ改善すべき部分に目を向ける。本気で優勝を狙うには良い選手を揃えるだけでは足りないことをアルバルク東京で学んだ。滋賀レイクスターズでチームを勝たせるガードへと成長を遂げた齋藤は言う。
「徐々に良くなってきているので60、70%くらいまではきていると思います。100%を目指しているんですけど、正直100%では強いチームには勝てないと僕は感じています。選手だけじゃなくチームスタッフやクラブ全体でコミュニケーションを取って120%、150%を目指すことが必要かなと思っています」
強豪に勝てなくても、中位や下位のチームからの取りこぼしを極力少なくすればチャンピオンシップには進めるだろう。だが、今の名古屋Dはそのさらに上へと勝ち進むことが求められている。そのためにはレギュラーシーズンから強豪との対戦で接戦に持ち込み、そこで勝ち切る戦いぶりが求められる。「100%では足りない」と限界突破を目指す齋藤の姿勢がクラブ全体へ浸透した時、名古屋Dは本当の意味で強豪と呼ばれることになる。
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