アルバルク東京

「最後の2ポゼッションにバスケットの醍醐味が凝縮されていた」

アルバルク東京と滋賀レイクスターズの第1戦。第3クォーターで滋賀にビッククォーターを作られてしまったA東京だが、88-86で接戦を制した。

A東京は竹内譲次が体調不良で欠場し、先日選手登録を終えたデション・トーマスも欠場という状況で滋賀戦を迎えた。前半はA東京が54-36とリードを奪う。指揮官のルカ・パヴィチェヴィッチも「前半は我々らしいリズム、ペースで18点リードしました」と語ったように、前半だけで滋賀から7つのターンオーバーを奪うなど、ハードなディフェンスから主導権を握る。小酒部泰暉も前が空いたら積極的にシュートを打つことで前半で12得点を挙げ、存在感を発揮した。

しかし、第3クォーターになると滋賀の時間帯が訪れる。前半はA東京のディフェンスに苦戦してボールが動かなかった滋賀だが、後半になるとピック&ロールやズレができるまでパスを回すことで自分たちのリズムでオフェンスを組み立てる。また、この試合で27得点13リバウンド10アシストを記録したジョーダン・ハミルトンが自ら得点を挙げつつ、ディフェンスを引き寄せることで味方のシュートチャンスを作り、このクォーターを25-14と滋賀が圧倒した。

A東京が68-61とわずかにリードを維持して迎えた最終クォーター。竹内がいないA東京は高さで劣ってしまいリバウンドを奪うことができない。さらにハミルトンのアイソレーションとデザインされた滋賀の3ポイントシュートを止めることができずに、点差を縮められる。それでも須田侑太郎が勝負どころでのシュートを沈めることで、完全には滋賀にペースを与えずにリードを保ち続ける。

しかし、残り1分を切ったところでハミルトンに連続得点を許し、残り29.5秒で86-86と同点に。大量リードを縮められた方が精神的ダメージは大きいが、試合巧者のA東京は次のポゼッションで勝負強さを見せる。田中大貴とアレックス・カークのピック&ロールを選択し、スクリーンによって生まれたズレを田中は見逃さない。前が空くとパスではなく自らシュートを放ち、2点を奪う。これが決定打となり、滋賀のラストポゼッションをチームで守り抜いたA東京が逃げ切り勝利した。ルカヘッドコーチは、このラストプレーについて「この試合の最後の2ポゼッションにバスケットの醍醐味が凝縮されていたと思います」とコメントした。

6得点7アシストを記録し、最後の決勝点を挙げた田中は、ラストプレーを「カーク選手とのピック&ロールの指示が出ていて、自分が空いていたので思い切ってシュートを打ちました」と振り返った。前半終了時点では18得点のリードをしていたが最後は追いつかれてしまったため、勝ちはしたものの課題は多い。田中は言う。「後半、追い上げられてしまい、まだまだ突き詰めていかなくてはならない部分が多いので、明日の試合に向けてまたしっかりいい準備をして向かいたいと思います」