写真=Getty Images

スリープトレイン・アリーナでのラストゲーム、集まったOBにより『ネットカット』が行われる

4月9日、1988年からキングスのホームアリーナとして親しまれてきたスリープトレイン・アリーナでのラストゲームが行なわれた。

28年間サクラメントのバスケットボール文化を支えてきた同会場でのラストゲームには、元キングスに所属した多くの選手やコーチが集結。ファンも試合中にウェイブを起こして会場の雰囲気を盛り上げた。

そんな中、2001-08シーズンまでキングスに在籍し、ファンからも愛された元NBA選手のマイク・ビビーが、コートのネットをハサミでカットするシーンが動画に収められ、NBA公式Instagramで紹介されている。

Mike Bibby cuts down the net at Sleep Train Arena! #CelebrateTheProud @sacramentokings

NBAさん(@nba)が投稿した動画 –

これは俗に『ネットカット』と呼ばれ、1920年代にインディアナ州のフランクフォート高校バスケ部のコーチを務めたエベレット・ケイスが、州大会優勝の記念に始めたと言われている。ケイスは後にノースカロライナ州立大のコーチに就任。同大がサザン・カンファレンスで優勝した記念にネットカットを行ない、それ以降の優勝チームが行なう伝統として現代の大学バスケに継承されている、というのが有力な説だ。

今シーズンは台風の目として注目されたキングスだったが、デマーカス・カズンズ、ラジョン・ロンドなど、一癖も二癖もある選手が集まった個性派集団は地元の期待に応えられず、10シーズン連続プレーオフ進出を逃した。

来シーズンからは、現在サクラメント市内に建設中のゴールデン1センターが新たなホームアリーナとなる。

そもそも新ホームアリーナ建設に至った背景には、キングスの本拠地移転問題が大きく関わっている。一時はサクラメントからアナハイムへと本拠地を移転させることが濃厚となったが、当時のサクラメント市長だった元NBA選手のケビン・ジョンソンが地元へのチーム残留運動を行ない、最終的に残留が決定まる。だが、老朽化が進んでいたスリープトレイン・アリーナの問題は依然として残ったままだった。

そこで、当時のオーナーだったマルーフ・ファミリーは、2013年にシアトルの投資家グループへのチーム売却話を進めることに。再び本拠地移転の可能性が浮上したものの、この案に待ったをかけたのが現オーナーグループ。マルーフ・ファミリーから球団を購入する際、新アリーナ建設を条件に本拠地をサクラメントに残す案を提案し、NBAからの承認を取り付けた。

新アリーナのゴールデン1センターは、サクラメントのダウンタウンに建設中で、1万7500人を収容する。会場までのアクセスが改善される他にも、駐車スペースは7000台から1万3500台へとほぼ倍増する。スポーツイベントだけでなく、コンサートなど各種イベントを開催する多目的アリーナとして今年10月に完成する予定だ。

スリープトレイン・アリーナがそうだったように、新アリーナでも多くの記録や記憶、もしくは興奮が紡がれていくだろう。

ビビーがネットカットを行なった瞬間、1つの歴史に幕が下りた。