「その状況に応じて自分がどれだけ対応できるか」
名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、現在5勝2敗と好調の走りだしを見せている。10月21日に広島ドラゴンフライズを迎えた今シーズン初の水曜ナイトゲームでも、セカンドユニットメンバーがチームに勢いを与え81-76で勝利した。
セカンドユニットの中でも存在感を発揮していたのが13得点2リバウンド4アシストを記録した笹山貴哉だ。小林遥太、木下誠のガード陣とともにコートに立つと、速い展開のバスケで重い流れを断った。それまでは個のプレーが多かった名古屋Dだが、笹山がコートを広く使いボールを人と動かすことで、チームプレーが機能し始めた。
笹山はコートに送り出された時の心境について「チームの流れを見て、今は何が必要かを考えていた」と言う。「今日は広島にすごく走られていたので、まずはディフェンスとリバウンドを強調して頑張りました。あと、シューター陣の調子があまり良くなかったですが、僕たちの持ち味であるアウトサイドシュートから流れを作りたかったので3ポイントシュートを狙いつつ、ペイントアタックを意識していました」
こう語る笹山だが、彼は名古屋Dの生え抜きポイントガードで、Bリーグ開幕以降はほとんどのシーズンで先発を任されていた。しかし、今シーズンは同ポジションに齋藤拓実が加入し、開幕からの7試合すべてがベンチスタート。今までは先発として、最初にチームの流れを作ることが大事だったが、今はチームに勢いを与える、悪い流れを変える場面でコートに送り出されることが多い。
笹山は「状況によってやることがすごく変わってくるので、難しさはもちろんあります」と言うが、その難しさはネガティブなものではない。「その状況に応じて自分がどれだけ対応できるかというチャレンジは、自分の成長に繋がると思います。今はその難しさを楽しんでいるというか。スタートで出る、出ないということではなくて、チームにどれだけ貢献できるのか、どうやったらチーム一丸となって勝つことができるか。今はそこにトライしているので、難しさよりも楽しさの方が大きいです」
もちろん、バスケットは先発の5人だけで戦っているのではなく、チーム全員にそれぞれの役割がある。それを全員が理解し、全うできていることが戦績にも表れている。昨シーズンの名古屋Dはなかなか自分たちのバスケットができずに負け越していた。その理由を「昨シーズンは良い流れを継続できずに、『ここをもう一本決めきれば』とか、『この一本で踏ん張れれば』というところで相手に持っていかれていました」と笹山は振り返る。
しかし、今シーズンは開幕してまだ7試合だが、昨シーズンにはなかった手応えをつかんでいる。「今は欲しいところや絶対に決めないといけない場面、自分たちの流れを継続しないといけない時に、決めきったり継続することができています。それは、コートに立った選手がそれぞれの役割を果たして、我慢すべきところで我慢できているから。そして得点を取らないといけない選手がしっかり得点を取れているところが、昨シーズンとはすごく変わったと思います」
今シーズンは役割が今までとは異なる笹山だが、その役割を全うしチームに貢献している。そして、この経験が選手として今後の成長に繋がることは間違いない。
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