「全員でチームとして戦わないといけない」
広島ドラゴンフライズが名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームに乗り込んだ水曜ナイトゲーム。僅差ながらも広島がリードする時間帯が長かったが、勝負どころの戦いを制することができずに76-81で敗れた。
日本人選手で最長となる31分間プレーした田中成也は、名古屋Dとの試合をこう振り返る。「名古屋さんは全員が3ポイントシュートを打てるチームで、ポイントガードがピック&ロールで崩してくることは分かっていました。僕たちはディフェンスのインテンシティをどれだけ上げられるかが重要でしたが、結果的に相手のポイントガードに好き勝手やれられてしまった。キックアウトからの3ポインシュートはそこまで与えませんでしたが、大事な時間帯でポイントガードを抑えることができなかった結果が5点差で負けた原因だと思います」
名古屋Dに敗れ、広島の戦績はこれで1勝6敗となった。しかし、この試合だけでなくアルバルク東京や川崎ブレイブサンダースとの試合でも終盤までは接戦となるなど、まさに惜敗が続いている。田中は惜敗で終わった試合について「毎回やられ方が一緒です」と危機感を語る。
「最後の勝負どころの時間帯はチーム全員で守らないといけません。そこには少しアクセントを加えないといけないですが、それができていないから相手も余裕を持ってプレーできていると思います。チーム全員で危機感を持ってやらないと負け癖がついてしまいます。5点差だろうが負けは負けなので、しっかりと全員でこの結果を受け止めてやらないといけません」
昨シーズンの広島はB2で40勝7敗を記録し、勝率は8割を超えていた。負けることに慣れていないだけに今の状況は納得がいかないだろうが、それがB1の厳しさだ。
田中自身も広島の生え抜き選手でB1でプレーするのは今シーズンが初めてだ。「B2の時は本当に個人個人の能力でどうにかなっていたところがあって、最後の勝負どころでのチームプレーがあやふやなまま勝てていた部分も正直あったと思います」と昨シーズンを振り返り、B1で戦う上ではあらためて「全員でチームとして戦わないといけない」と強調する。
「B1は個人能力という部分でも僕たちよりもすごい選手やスター選手がいるチームと戦っているので、僕たちはチームで戦わないといけません。でも、最後の詰めの部分で個人で打開するしか方法がない時もあったりして、そこで数ポイントの差で勝ちきれていないんだと思います」
「絶対に勝つという屈しないところが広島の色」
敗北が続いているとはいえ、リーグ連覇しているA東京や強豪の川崎を苦しめたのは事実で、田中も「僕たちでもやれるんだ、ということは感じています」と手応えを語るが、確信には至っていないと続ける。「それを自信に繋げるには勝つしかありません。それがチームの起爆剤になると思うので、今は本当に勝ち星が欲しい、ただそれだけです」
今は1勝6敗と大きく負け越してはいるが、ようやく昇格したB1の舞台でこの流れを引きずるわけにはいかない。在籍7シーズン目を迎える田中は、チーム一の古株で広島の善し悪しも分かっており、矜持もある。
「こうやって負けている状況でも試合は次々と来ます。負けを引きずらずに『次の試合では絶対に勝つ』という屈しないところが広島の色だと思います。なので、次の試合では絶対にこの負けを引きずらずに勝ちにいくという『広島の色』を見てほしいです」