ジミー・バトラー

「自分のやり方でも上手くいくことが分かった」

ブルズ、ティンバーウルブズ、セブンティシクサーズと渡り歩き、昨年のオフにヒートに移籍したジミー・バトラーは、NBAキャリアで初めて自分と同じくらい勝利に貪欲な組織に出会った。

これまでに所属したチームでは、彼の熱さが衝突の原因になってしまったが、ヒートでは水を得た魚のようにリーダーシップを発揮した。新人たちもバトラーを『兄貴』として慕い、ベテランもバトラーをエースとして認めた。ヒートは下馬評を覆して優勝候補のバックス、セルティックスを下して6年ぶりにNBAファイナルにたどり着いた。

レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスのデュオを擁するレイカーズとのシリーズは苦戦し、第4戦を終えて1勝3敗と王手をかけられた。しかしバトラーは最後まで勝負をあきらめず、疲労困憊になるまでプレーでチームメートを引っ張り続けた。それでも、ファイナル第6戦ではレイカーズの堅守の前に良いところを発揮できずに力尽きた。

試合後の会見でバトラーは今シーズンのチームを「特別な存在」と言い切った。「僕たちは本当にお互いのためにプレーするのが大好きだ。こういう機会をもらえたことに感謝している。負けるのは嫌いだけれど、シーズンを通して戦えたと思う。良い時も悪い時も、全員で一丸となって戦えた。それが何よりさ。来シーズンはどういう顔ぶれになるか分からない。けれど、このチームのみんなとやれて本当に感謝している」

シーズンを通して学んだことを聞かれたバトラーは、「自分がまずまずの選手ということを知ることができたよ」と答えている。ファイナルでの2試合でトリプル・ダブルを達成した選手が『まずまず』のレベルなわけがないが、彼はこう続けた。

「あらゆる部分で成長できたと思うから、そこに関しては笑顔になれる。自分のやり方でも上手くいくことが分かった。このチームは本当にいつだって仲間のことを信じているんだ。彼らとのプレーは心底楽しいし、それを学んだよ。若手の成長を見ることができてうれしかったし、ベテランも実力を発揮していろいろと教えてもらえた。最高だったよ」

彼が語ったように、オフにはドラフトも開催され、補強を行う関係で退団する選手も出てくる。ヒートのロスターがどう変わるかは分からないが、最後まであきらめずに戦い、どんな逆境にも屈しない選手が集まれば、バトラーという強烈な個性を持つリーダーを先頭に戦う集団になるだろう。

今は6年ぶりのファイナルで敗れた悔しさが先に出てくるとしても、長い目で見ればこの経験はヒートにとってプラスに働く。バトラーがいる限り、ヒートはまだまだ成長できる。