「今回、修正したことの上に新しいものを積み重ねていく」
サンロッカーズ渋谷が千葉ジェッツをホームに迎えた第2節。第1戦は接戦の末、逆転ブザービーターを許して敗れたが、第2戦ではライアン・ケリーの逆転ブザービーターで雪辱し、今シーズン初勝利を挙げた。
広瀬健太は勝利した第2戦の後に「もしこの試合も負けていたら少しずつ自信を失って、自分たちを見失っていく可能性がありました。その中で今日は勝つことができて、自分たちがやっていることは間違っていないと再確認することができました」と振り返った。
勝利したものの、第3クォーターの終盤では2桁リードを許すなどSR渋谷が追いかける展開が続いた。広瀬は19分46秒のプレータイムで8得点1リバウンド2アシストを記録したが、前線から厳しくプレッシャーをかけることで千葉のオフェンスのリズムを崩すなど、スタッツには表れないディフェンスでの貢献が目立った。
指揮官の伊佐勉も「広瀬はウチのディフェンスの中心です」と言う。「残り5分の勝負どころでは広瀬を使いたかった。ディフェンスに関しては期待通り、しっかりやってくれたと思います。彼がやってくれたことによってトーンをセットして、我々らしいディフェンスができました」
こう語る指揮官に対して、広瀬自身も「ヘッドコーチから僕と関野(剛平)はディフェンスに対してプライドを持ってやれと言われているので、波がないプレーを心がけています」と言う。
ようやくつかみ取った1勝だが、広瀬は開幕3連敗したことで「昨シーズンのことは天皇杯優勝も含めて一回忘れて、自分たちのやるべきことをしないと勝てないということに気づかされた」と話す。SR渋谷は昨シーズンとほとんどロスターを変えずに今シーズンに挑んだ。そのためヘッドコーチが求めるプレーも、チームメートの特徴も互いに熟知している。しかし、逆にそのことが『慣れ』という形でチームに影響を与えたと広瀬は考える。
「メンバーもほとんど変わっていないので、自分たちで思っていなくても慣れという部分が潜在的にあったと思います。昨シーズンが始まる時と同じような心機一転という気持ちに戻れるわけではないですが、僕たちはあそこから積み重ねて来ました」
「ただ、この3連敗中は昨シーズンに積み上げたディフェンスのベース部分ができていない時間帯があったので、まずはベースをしっかり守る。次のステップばかりを見て、このベースの部分をないがしろにしている時があるので、しっかりと自分たちのプレーをやっていきたいです」
広瀬が言う『積み重ね』は今シーズンもすでに始まっている。「第1戦でダメだったところを今日は修正できて良かったです。ただ、次節でも同じことをするのではなく、今回修正したことの上に、新しいものを積み重ねていく。まだシーズンは序盤ですし、それがしっかりと積み重なって最後のチャンピオンシップで集大成が出せれば良いかなと思います」
開幕3連敗は決して良いことではない。それでも『昨シーズンと同じでは勝てない』ということに、シーズン序盤で気づけたことは大きい。これから続く長いシーズンを通してSR渋谷がどのような積み重ねをして、勝利をつかみ取っていくのか楽しみだ。