「自分だけに頼らないチームでプレーしたかった」
7月6日、ウォリアーズがデマーカス・カズンズとの契約を正式に発表した。チームは詳細を明かしていないが、ウォリアーズはミッドレベル例外条項を使ってカズンズと1年契約を結んだと見られている。
晴れてウォリアーズの一員になったカズンズは、サマーリーグの会場でメディアの取材に応じ、「チームのポテンシャルはヤバいよ」とコメント。「ただ、自分だけでなく、全員のハードワーク、献身性が必要でもある。それはチームの皆が分かっていることだし、全員が受け入れていること。だからこそチームメートたちは自分の加入を希望してくれた。本当に、このチームのポテンシャルはヤバいんだ」と続けた。
ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンというオールスター・カルテットに、カズンズというもう一人のオールスターが加わったのだから、新ウォリアーズの能力は計り知れない。
カズンズの場合は、今年の1月下旬に左足アキレス腱を断裂する重症を負ったため、まずはリハビリが先決だ。現在の状態について、カズンズは「これからは筋力を強化する段階で、日々レベルアップしている。コートに戻れるのも時間の問題だ」と話している。
当初はトレーニングキャンプまでにはプレーを再開させたいと意気込んでいたカズンズだったが、ウォリアーズのコーチ、スタッフと相談した上で、じっくりトレーニングに時間をかけていく方針に変わったという。
ウォリアーズでの役割は、これまでと大きく変わる。タレント集団ながら全員がチームの勝利を優先するウォリアーズでは、特定の一人が全試合で活躍する必要はない。たとえカリーが1試合50得点を決めたとしても、それは結果であって、その過程ではコートに立った全員がスタッツに残らないような仕事をこなしている。スター選手を揃えていても年間を通じて献身的なプレーを続けられるのが、ここ4年で3回優勝したウォリアーズというチームだ。
カズンズは、今のウォリアーズのチームカラーとは真逆の立ち位置にいた。2010年から7年間プレーしたキングスでは、良くも悪くもすべてを一人でこなし続け、批判を受けることも多々あった。トレードされたペリカンズでは、アンソニー・デイビスとツインタワーを結成。キングス時代と比べれば負担は減ったものの、昨シーズンは負傷離脱するまでに平均25.2得点に加えて、リバウンド(12.9)、アシスト(5.4)、スティール(1.65)、ブロック(1.58)でキャリアハイをマークするなど、チーム内での依存度は高かった。ウォリアーズでは、カズンズがこれほどのスタッツを残すことはまずないはずだ。
役割が劇的に変化することについて、カズンズは「自分が1試合でシュートを4本しか打たないケースも増えるだろうし、リーディングスコアラーになる試合もあるかもしれない」と言う。「この変化をポジティブにとらえている。毎試合で勝負を決める選手である必要はない。これまでのキャリアでは、そういう役割に対応しないといけなかった。僕は、自分だけに頼らないチームでプレーしたかった。今はそういうポジションにいるよ」
無事に復帰を果たすまでの間、カズンズには十分な時間が与えられる。それまでトレーニングキャンプ、日々の練習からウォリアーズの考え方を吸収し、それをコート上で発揮できれば、前代未聞の最強チームが完成する。