勝負どころでハレルソン、アイラ、ランダルが本領発揮
大阪エヴェッサは2020-21シーズンの開幕戦、昇格組の広島ドラゴンフライズをおおきにアリーナ舞洲に迎えた。
ギャレット・スタツが開幕前のプレシーズンゲームで負傷した大阪は、広島の強力外国籍コンビ、トーマス・ケネディとグレゴリー・エチェニケに対抗するために、インサイドをアイラ・ブラウンとジョシュ・ハレルソン、アンドリュー・ランダルの3人でローテーションさせ、3番ポジションにはルーキーの角野亮伍を開幕スタメンに抜擢した。
広島でもルーキーのアイザイア・マーフィーが、田渡凌とバックコートを組む形で先発。立ち上がりはスピードとインテンシティで大阪を上回り、8-0と絶好のスタートを切ったのだが、開始3分半でチームファウルが5に到達。これで自らペースダンせざるを得なくなり、立ち直った大阪に10-0のランを浴びてしまう。新型コロナウイルスの影響による長すぎるシーズンオフが明けたこと、また広島は初のB1とあって気持ちが先走り、両チームとも縦に速い展開を繰り出すもののプレーの精度を欠き、その後は一進一退の攻防が続いた。
その中で目立ったのが、広島では古野拓巳と朝山正悟だ。2人ともB1デビュー戦だが、経験は豊富。両チームがバタバタする展開でもチームを落ち着かせ、古野は第1クォーターを締めるブザービーターとゲームコントロールで、朝山は抜け目なく大阪ディフェンスのギャップを突くシュートで広島にリードをもたらした。後半に入ると、角野とマーフィー、先発に抜擢されたルーキーの2人が、固さが取れて思い切りの良いアタックを連発。外国籍選手を相手にしても臆さず仕掛けて得点を挙げていった。
第3クォーターを終えて65-70。点差はわずかでもほとんどの時間帯でビハインドを背負っていた大阪だが、最終クォーターに入ってギアを上げる。きっかけを作ったのはアンドリュー・ランダルだ。それまでの大阪は相手のディフェンスに引っ掛かり、ウイングの選手がスピードに乗ってリングにアタックする展開をなかなか出せなかったが、ランダルはディフェンスリバウンドを取ると自らボールプッシュ、そのまま加速する強引なアタックから得点を奪い、相手がそのアタックを警戒すれば3ポイントシュートを射抜いた。こうして個人が強引に仕掛けることで、なかなか波に乗れなかったチームオフェンスに流れを起こした。
ボールも選手も連動して動くようになると、大阪らしい『走るバスケ』に威力が出てくる。帰化選手のアイラを含む『オン3』で大阪は勝負を仕掛け、ハレルソン、アイラの連続得点で逆転。その後は橋本拓哉がドライブからのレイアップ、大きく動いてマークを振り切っての3ポイントシュートと得点を重ねて広島を一気に突き放す。
広島の勢いに押されながらも勝負どころで主力選手が持ち味を発揮した大阪が、最終スコア94-83で勝利。大阪は先発の5人に加えて今日のキーマンとなったランダルと6選手が2桁得点とバランスの良さが光った。ターンオーバーは広島の5に対し11と、特にゴール下で攻めきれなかったところでのパスをカットされるシーンが目立ったが、アシストは27-18と大きく上回った。新しい選手も多いため、ここで連携が高まればオフェンスはさらに強力になるはずだ。