「僕は優勝するためにこのチームに来た」
ゴラン・ドラギッチは明日、初めてNBAファイナルのコートに立つ。ドラギッチがヒートに加入したのは、レブロン・ジェームズが退団した2014-15シーズンの途中。ドウェイン・ウェイドが退団した後はチームの顔にもなったが、NBAファイナルの常連だったヒートはその舞台から遠ざかるどころか、プレーオフにすら進めないこともあった。その間、ドラギッチはオールスター選出も大ケガも経験しながらキャリアを重ね、34歳にしてNBAファイナルでプレーする権利を勝ち取った。
ヒートのファンからすれば、長く苦しい時代をともに過ごしたのがドラギッチだ。彼自身もヒートでの経験をこう振り返る。「過去にはクリス・ボッシュに起きたことのような不運があったけど、僕はあきらめず、粘り強くこの仕事を続けてきた。その僕をクラブは信じてくれたし、ファンは支えてくれた。毎試合100%の力を出し切って、一日の終わりに鏡の中の自分に『よし、全部出し切ったよな』と問いかけてきた。それで十分ではなかった時もあったけど、今ここにいられて良かったよ」
「ここまでは素晴らしいシーズンだった。でも、まだ終わっていない」。そう言うのは簡単だが、ドラギッチは徹底している。「僕は優勝するためにこのチームに来たからね。セルティックスに勝って、みんなでディナーを食べてお祝いをした。でもその夜に『明日には仕事に戻るぞ』と自分に言い聞かせた。集中して準備をするためにね」
若いチームだけに、ファイナル経験者は少ない。ドラギッチもジミー・バトラーも明日が初めてのNBAファイナルだ。彼らにアドバイスを与えるのは、アンドレ・イグダーラ、ユドニス・ハズレムの2人だそうだ。
「アドバイスはシンプルなもので、このチームはファイナルに相応しいし、この瞬間を楽しむべきだ、今に集中してしっかり準備しようと言われたよ。勝ち方を知っている2人がチームに自信を与えてくれた。全員が集中しているから、試合が待ち遠しいよ」
ファイナルでカギとなるのは「ディフェンス、リバウンド、チームプレー。一体感を持って相手に簡単にプレーさせないことだ」とドラギッチは言う。彼自身は言葉にしなくても、レイカーズの堅固なディフェンスを破るには、スキルとIQに長けたドラギッチのもたらすリズムの変化が間違いなくカギになる。
ドラギッチの祖国スロベニアでは、夜中の3時に試合開始となる。「子供たちは眠っているにしても、妻と両親、友達は2時55分に目覚ましをかけて起きるだろうね。みんなとても楽しみにしてくれているんだ」とドラギッチは笑う。
ヒート復活を長く待ち続けたファンの、また母国で応援する人たちの期待を背負って、ドラギッチはNBAファイナルに挑む。