昨シーズンは最初から最後までチームが上向かず、5勝36敗とリーグ最低勝率に終わった三遠ネオフェニックス。今オフは新たにブラニスラフ・ヴィチェンティッチを新指揮官に据え、巻き返しを図った。ところが、新型コロナウイルスの影響による入国制限が続く中、ヘッドコーチだけでなく外国籍選手もアジア特別枠の選手もチームに合流できていない状況が続いている。戦力が整わないまま開幕を迎える逆境にあっても、大黒柱の太田敦也は前だけを向き、覚悟を持って新シーズンを迎えようとしている。
「それでも昨シーズンよりは確実に良くなっています」
──外国籍選手が入国できていないクラブが多いようですが、三遠はどのような状況でしょうか?
外国籍選手は来日できておらず、ヘッドコーチのヴィチェンティッチも来れていないです。長くやらせてもらっていますが、こんなことはさすがに初めてです。試合の途中にいなくなることはありましたが(笑)。
外国籍選手には試合や練習のビデオを送ったりしていますが、どこまで理解できているかというところですね。ヘッドコーチには画面越しで練習を見てもらっていますが、ZOOMで指導されることも初めてですね。組織立ったこともやっているので、僕らが先陣を切って外国籍選手に教えたり、見本を見せるのは無駄ではないですけど、一緒にやる経験は必要だと思うので、そういう意味ではシーズンの入り方は不安ではあります。
──プレシーズンゲームもありましたが、外国籍選手が加わる前提でチーム作りをしているのか、それとも今いるメンバーを主体としてチーム作りをしているのですか?
両方ですね。どちらか一方という感じではないです。今の僕らがやれるプレーを突き詰めていき、プラスアルファで外国籍選手が入って今シーズンのフェニックスが完成するんじゃないかと思っています。それでも昨シーズンよりは確実に良くなっています。昨シーズンは精神的に崩壊寸前でしたから。
──レバンガ北海道とのプレシーズンゲームは1勝1敗でした。後半に逆転勝ちを収めた第1戦では何が良かったのでしょうか?
やはりディフェンスのプレッシャーですかね。前半はディフェンスが甘かったのが、ハーフタイム明けから練習でやってきたことをコートで体現できました。昨シーズンまでもディフェンスから走るのがフェニックスだったんですけど、もっとアグレッシブになったイメージです。相手のミスを誘ったりスティールも狙う中で、フォーメーションというより簡単なレイアップで得点を稼いでいくのが理想です。
相手のリズムを崩した中で自分たちのリズムに持って行けたのが良かったです。やりたいオフェンスをやれて、それで外も空いて3ポイントシュートも入って、良い流れが後半にできました。
──第2戦はボール運びに苦労する大敗でした。太田選手も橋本竜馬選手のハードアタックを食らい、その後出場しませんでした。
打撲だったので大丈夫ですが、肩パン史上一番痛かったです。昨シーズンも彼に捻挫させられた気が……。仲良いはずなんですけどね(笑)。あの後も出ようとしていたんですけど、無理する時期でもなかったので。ガードが脳震盪で一人出れなくて、寺園(脩斗)しかいなかったのもありました。前から激しく当たるというのを40分間やってきた相手に対し、川島(勇人)と西川(貴之)が頑張って運びましたが、僕らがうまく対応できなかったです。
それでも、プレスでの運びや強度の高いトラップをされた時の対応が経験できたのは収穫ですね。ヘッドコーチがいない中、対策じみた練習をしてなかったので、ガードだけじゃなく周りの動きも確認できました。
「より応援したくなるようなチームになっている」
──外国籍選手が入国できないのは大きな不利で、その中で勝機を見いだすには太田選手の奮闘が欠かせません。
僕の出番は増えるでしょうね。おじさんを酷使するだろうなとは思います(笑)。全力でやりますよ。東京オリンピックに向けてというわけじゃないですけど、試合に出れないとそれだけでコンディションも落ちてしまいます。しっかりとゲームに出て、スキルとコンディションの両方をアップしていきたいです。
──昨シーズンはボールをもらう機会が少なく、得点に絡むシーンが減ったと言っていましたが、そこは解決しましたか?
昨シーズンは繋ぐだけでもボールに触れなかったし、スペーシングも悪くてピックの後も触る機会がほとんどなく、フラストレーションが溜まっていました。今はヘッドコーチの下、新しい戦術をみんなでやろとしているので、スペーシングに関しては解決できました。昨シーズンよりも確実にボールも回って、僕自身のシュートチャンスも増えて、得点も増えると思っています。
──どこも強力な外国籍選手を獲得し、年々外国籍選手のレベルが上がっています。太田選手の実感としてはいかがですか?
実際に外国籍選手は相当レベルが上がっていますよ。bj時代にこのまま戻ったら楽なんだろうなって思ってしまう時もありますよ。正直、しゃらくせーです(笑)。でも自分のスキルアップにも繋がっていると感じます。ただ、このまま外国籍選手やアジア枠が増えていくと、日本人センターのプレー時間がなくなって、昔に戻るんじゃないかとも思いますね。勝ち取るのが一番いいとは思いますけど、そもそも日本ではビッグマンと呼ばれても世界的に見たら小さいし、数も多くないですからね。
──では最後にファンの方へ、メッセージをお願いします。
昨シーズンは本当にご心配というか、ファンの皆さんもフラストレーションが溜まっていたと思います。現在もですが、今シーズンはオフからすごいハードに練習していて、その中で雰囲気もガラッと変わって、より応援したくなるようなチームになっていると思います。断定はしませんが、僕の得点シーンも増えると思うので(笑)、得点を取ったら盛り上がってほしいです。勝つ場面も絶対に増やせると思っているので、皆さんでまたフェニックスを盛り上げていきましょう。
──開幕の相手は強豪の千葉ジェッツですが、チャンピオンシップに進出した初年度は川崎ブレイブサンダースに連勝して開幕をスタートさせました。
そうですね、外国籍選手の問題もありますが、その中でも勝つ姿勢を見せたいです。足りない部分は皆さんの応援で補ってもらって、僕らがしっかり戦うので画面越しの方は大声を出して応援してほしいです。今シーズンのフェニックスは「来ちゃうんじゃないの!?」というところをお見せしたいです。
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