取材=小永吉陽子 構成=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

オーストラリア戦から唯一のメンバー変更

バスケットボール日本代表は今日、ワールドカップアジア1次予選の最終戦、敵地でのチャイニーズ・タイペイ戦を迎える。29日のオーストラリア戦にはベンチから外れた宇都直輝がエントリーされたのだけが、12人の登録メンバーの変更となった。

指揮官フリオ・ラマスは、このメンバー変更をこう説明している。「オーストラリアはビッグマンの層が厚いというのがあったのでビッグマンの永吉を入れたが、チャイニーズ・タイペイはポイントガードとシューター、ペリメーターに良い選手がいる。明日は富樫も篠山も出場するが、どちらもオーストラリア戦ではデラベドバのような選手と対戦しておりコンディションが間に合うか分からない。そこで宇都を入れる決断をした」

オーストラリアを相手に挙げた歴史的勝利を宇都は眺めているしかなかったが、「すごく良いバスケをして、しっかり戦った結果で勝てたと思うんですけど、僕は身長があるのでもっと相手のガードのプレッシャーをかけて、相手のオフェンスをうまく回せないようにする、できるかなという思いで見ていました」と、自分のプレーはイメージできている。

「ディフェンスとリバウンド、あとは速い展開に持っていくこと」と、日本代表における自分の役割はブレていないし、八村塁とのコンビネーションも頭では描けている。「自分で持って行ける選手が入ったんですけど、そこで僕が先行して走って塁からパスをもらってレイアップ、逆にリターンで塁に戻すとか。そういう展開ができればと思います」

いずれにしてもオフェンスに関しては力強いボールプッシュから速い展開を生み出すことを宇都は意識している。「やはりプッシュするのが自分の能力だし、それを買われて代表に呼ばれていると思っているので、そこはしっかり意識してやっていきたい」

「この試合に個人的には合わせてやってきている」

ようやく代表に定着してきたタイミングで、オーストラリア戦のメンバーから外れたのは少なからずショックだっただろうが、そこは指揮官とのコミュニケーションは取れており、代表に戻った今はやる気に満ちている。

「メンバー争いで勝ち取れれば良かったんですけど、オーストラリア戦にはビッグマンを多く連れて行きたいということだったので、それで日本に貢献できるなら大丈夫ですということで、オーストラリア戦は外から見て勉強できることは勉強して、チャイニーズ・タイペイとの試合に個人的には合わせてやってきています」と宇都は言う。

「オーストラリア戦に勝って、日本が素晴らしいバスケットをしたことは、逆にプレッシャーになります。そこで気持ちが切れたら置いて行かれちゃうと思うので、日本の波に乗っていけるようやっていきたいです」

言うなればチームで宇都だけが、チャイニーズ・タイペイとのこの一戦に向けて心と身体の準備を整えてきた。中2日でアウェーに移動する過密日程の影響を受けることもない。さらには今年2月、ホームでのチャイニーズ・タイペイ戦では痛恨の1点差負けを喫しているが、この試合が代表キャリア3試合目ながら、25分のプレータイムを得てチームを引っ張ったのが宇都だった。この試合、誰よりも日本代表としてのプレーを楽しんでいた宇都の姿は印象に残る。

それだけに、宇都にはいつもよりも激しいプレー、自分から仕掛けていく積極性が期待できそうだ。負けたら終わりの『崖っぷち』であることに変わりはないが、日本の秘密兵器である宇都が自分らしいプレーで攻守を引っ張れば、日本の1次予選突破は見えてくるはずだ。