アンドレ・ミラーやカイル・クーズマを輩出
日本バスケットボール界の次代を担う逸材、田中力が自身のTwitterでアメリカ中西部の名門ユタ大からオファーがあったことを明かした。現段階ではオファーがあったというだけで、田中の入学が決まったわけではない。今後、彼が複数の大学から勧誘を受け、同大を選ばない可能性も十分にある。
ただ、そもそもユタ大からオファーを受けたこと自体が、大きな快挙と言える。
現在、ユタ大はPac-12カンファレンスに所属。アリゾナ大、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)など強豪校で構成され、NCAA1部の中でも富永啓生が入学予定であるネブラスカ大の所属するBIG TEN、BIG EAST、BIG12、ACC、SECと並ぶ強豪カンファレンスだ。
昨シーズンのユタ大は、カンファレンス内での成績が7勝11敗で8位タイ。NCAAトーナメント出場は現レイカーズのカイル・クーズマ、現スパーズのヤコブ・ポートルらを擁した2016年が最後となっている。ただ、1990年代にはNCAAを代表する名将リック・マジェラスの下で一時代を築き、98年には長らくNBAで活躍した名ポイントガードのアンドレ・ミラーを軸にNCAAトーナメントで準優勝を収めるなど名門と呼ぶに相応しい実績を残している。同大出身のNBA選手といえばクーズマ、ミラーに2005年ドラフト全体1位指名のアンドリュー・ボーガット、キース・バンホーン、トム・チェンバースらが有名だ。
現在、ヘッドコーチを務めるのは新シーズンが10年目となるラリー・クリストコウィアアクで、NBA通算420試合出場、ユタ州ソルトレイクシティを拠点とするジャズへの在籍経験もある。また、今のチームは国際色豊かであることが大きな特徴で、中南米プエルトリコとジャマイカ、北欧のフィンランドとスウェーデン、アフリカのセネガル出身の選手たちがいて、来シーズンからはオランダ出身の有望株が入学することも決まっている。
また、Pac-12の各大学は1万人以上を収容するホームアリーナを持ち、ユタ大の本拠地も1万5000人収容を誇る。昨シーズンもホームゲームではコンスタントに1万人を集めていた。新型コロナウィルスの感染拡大が終息すれば、1万人以上の大歓声の中で未来のNBAプレイヤーと何度も対戦できる理想的な環境だ。
田中がこれからどの大学に進学するのかは分からない。ただ、少なくともNCAA1部の名門から実力を認められたことは確かであり、彼が順調に成長していることの何よりの証だ。