文=鈴木健一郎 写真=古後登志夫

明成高校の大黒柱としてウインターカップ制覇に貢献した八村阿蓮、この世代No.1のオフェンスマシーンとして知られる北陸学院高校の大倉颯太。高校バスケを沸かせた2人は東海大でチームメートとなり、1年生と2年生で臨む新人戦ではともにチームの主力として活躍。「大学でもやれる」という手応えとともに、さらなる成長に何が必要かも感じ取り、8月下旬に始まるリーグ戦に向けてレベルアップを図っている。いずれ日本バスケ界を引っ張るであろう新鋭に話を聞いた。

中学2年、北信越選抜で一緒になり仲良くなった2人

──2人とも北陸地方出身の同級生ですが、以前から面識はありましたか?

大倉 初めて会ったのは小学校6年生の時ですけど、仲が良くなったのは中学校2年で、阿蓮がまだ奥田中にいて北信越選抜で一緒になった時です。梅丘中に移っても全中で対戦したり、U-16で一緒だったりしたので、ずっと仲は良かったです。高校での3年間はほぼ会うことがなくてプライベートで話すこともなかったんですけど、東海大で一緒になったら少し大人になったかもしれないですね。阿蓮はバスケになると試合でアジャストするのも早いし、熱いけど冷静にプレーできるんですけど、私生活では結構バカをやるというか、感情むき出しです(笑)。

──八村選手から見た大倉選手はいかがですか?

八村 初対面での印象はそれほどでもなかったんですけど、こうやって大学で一緒にいるとすごく人懐っこくてフレンドリーだし、カワイイところもあります。甘いもの好きだったり(笑)。練習じゃない時もいつもバスケの動画を見ていて、バスケが大好きなんです。僕はNBAを見るのは好きなんですけど、例えば高校のバスケまで見ることはないので。

大倉 僕は中学や高校のバスケもすごく気になります。特に母校のチームはよく見ます。今でも見て学べることは多くて、高校と大学のバスケを比較して発見することがあったりするので。

八村「チームが勝つために、自分が何をやるか」

──新人戦は3位、2人はともに長いプレータイムを得て活躍しました。今後、リーグ戦に向けて意気込みはいかがですか?

大倉 新人戦とはポジションや役割が多少変わってくるかもしれませんが、求められていることは一緒だと思います。練習の5対5から、必要な時に自分が点を取りに行くとか、ボールをコントロールするとか、陸さん(陸川章ヘッドコーチ)がそういう役割を与えてくれているので、この1カ月間はすごく濃密でした。

八村 新人戦でも先輩とか颯太とか点の取れる選手がいたので、僕は自分が自分がという感じではなく、ディフェンスとかリバウンドでの貢献を意識していました。センターが結構多いのでリーグ戦ではプレータイムが長くないかもしれませんが、自分の武器であるリバウンドを意識すればプレータイムもどんどん伸びてくる、その中で自分も得点を取れるようになりたいです。

大倉 僕も新人戦と比べたらプレータイムははるかに短くなると思うんですが、まだ時間はあります。やっぱり東海大はディフェンスのチームです。自分はディフェンスが苦手なんですが、勝負どころで信頼されるようにディフェンスに重点を置いて練習していくつもりです。スタメンとは言わないですけど、チームの勝利に何らかの形で貢献したいとは強く思っているので、自分にしかできないことをしっかり出して、自分のプレータイムの中でベストを尽くすつもりです。

八村 僕もスタートになりたい気持ちはありますけど、チームが勝つことが一番なので自分が自分がとは思いません。チームが勝つために自分が何をやるのか、そこを考えてプレーします。

大倉「高いレベルでやりたくて、東海大一択でした」

──2人とも高校からスター選手で、進路についても選べる立場だったと思います。東海大を選んだ理由は何でしたか?

大倉 僕は東海大一択でした。一番最初に陸さんが声をかけてくれて、すごく熱心に誘ってくれたんです。兄もいるので東海大が環境面で一番良いという話を聞いていたし、高いレベルでやりたいと思って。実際に東海大に来て感じるのは、陸さんがもう神様なんです。本当に人として素晴らしくて。バスケのこともそうですけど、「人としてどうあるべきか」をすごく話してくれるし、陸さん自身がそういう人なので模範になるし。東海大は「ビッグファミリー」って言われているんですが、まさにそのお父さんなんです。

八村 僕は東海大と決めるまでちょっと考えたんですけど、佐藤久夫先生からはトレーニングをしっかりやるチームが良いとアドバイスをもらって、環境面で東海大を選びました。陸さんからはメンタルの部分ですごく気に掛けてもらっています。新人戦で拓殖大に負けて、公式戦で負けたのはインターハイの決勝以来だったのでだいぶ落ち込んだんです。でも、次の3位決定戦の青山学院大との試合前に「お前ならできるから、ちゃんとやって来い」と言ってもらって、その言葉がすごく自信になって、メンタル的に立て直してプレーすることができました。その時に掛けてもらった言葉はすごく印象に残っています。

──ちなみに、大学生活には慣れましたか? 昔ながらの合宿所みたいな寮生活ですか?

八村 いやいや、きれいなワンルームで快適です。朝は学食で、夜は提携している近くの定食屋さんで食べているので、栄養管理もちゃんとしています。

大倉 僕は高校まで実家でした。バスケの時間はあまり変わらないので、朝の出掛ける時間、夜の帰って来る時間は変わらないんですけど、家に帰って来て全部自分でやるのが本当に面倒くさいです。高校の時にどれだけ親にやってもらっていたのか、という話なんですけど……。

八村 僕は高校でも寮だったので生活はあまり変わらないんですけど、部屋は結構汚くなりますね。みんなすごく部屋をきれいにしているので、僕も少しは気にするようになりました(笑)。

将来はBリーグ、そのためにもチームの勝利に貢献したい

──東海大に入ったばかりの2人に聞くには少々早いですが、卒業後のプランはどう思い描いていますか? Bリーグでプレーしているのか、海外なのか、それともまた別の何かがあるのか。

大倉 Bリーグでプレーしたいです。高校の時にBリーグができて刺激になったのは間違いないです。おいしい話として給料が上がったという話を聞くし、日本全体でバスケへの注目度が上がったと思うし、『バスケで食っていける時代』になったと感じます。ただ、Bリーグができる前から僕は「NBLでやりたい」と思ってバスケをしていたので、そこは変わっていません。

八村 僕もBリーグに行きたいです。兄の塁がアメリカの大学でやっているので「アメリカでやりたいんじゃない?」といろんな人に聞かれるんですけど、僕はあまりアメリカとは思わなくて、逆にBリーグでプレーしたいという気持ちが強いです。

──その前に大学でしっかり実力を伸ばさなきゃいけないですね。リーグ戦の開幕までまだ2カ月ありますが、その意気込みを聞かせてください。

八村 僕は個人のスタッツを気にすることなく、高校の時と同じようにチームが勝つことを優先してプレーします。この先のことを考えたらスタッツも必要にはなってくるんですけど、チームが勝つために自分ができることは何なのかにフォーカスするのが1年目の抱負です。

大倉 リーグ戦は長く続きますが、1試合1試合でアジャストして求められることがあると思うので、そこで自分がいかに早くアジャストして相手に勝ちに行けるか。プレータイムをもらえるかどうかはそこがキーになると思います。自分がプレータイムを勝ち取って、そしてチームの勝利に貢献したいです。