文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

「彼らに負けないようにチームの力になりたい」

今回の日本代表では新戦力のニック・ファジーカスと八村塁に大きな注目が集まっている。インサイドの得点力とリバウンドが大幅に向上すると見なされる中、これまで長く代表のゴール下を支えてきた竹内譲次は、彼らの実力を認めながらも「競い合ってチーム力を上げていきたい」と語っていた。

圧倒的な力を持つ2人に対しても「2番手3番手でいいやという気持ちは絶対持ってはいけない。相手がどういう選手であれ、そういう気持ちを持ち続けることがアスリートとして大事」と、代表発表の時点で話したが、15日の韓国との国際強化試合の初戦では、その言葉どおりのパフォーマンスを見せている。

10得点8リバウンド4ブロックショット。驚くべきはオフェンスでの積極性で、果敢にドライブで仕掛けてフリースローをもぎ取り、ファストブレイクからのダンクまで飛び出した。試合後の竹内は、新たなチームメートに刺激されたプレーをこう語る。「気持ちの持ちようですね。今の自分の役割も全うしなきゃいけないし、彼らに負けないようにチームの力になりたいと」

ダンクについては「たまたま前を走っていて、馬場が良いパスをくれたので。運が良かった」と照れ笑い。アルバルク東京でもチームメートの馬場からは「今日、足めっちゃ動いてましたね」と褒められたそうだが、「いつも動いていないってこと」と、こちらも苦笑い。33歳の大ベテランはBリーグをファイナルまで戦い抜いた後でもコンディションは良好だ。ファイナルを終えて1週間はバスケから離れたそうだが「今日何分出たか分からないですけど、体力は良い感じに残っている」と不安はない。

「一つの目標に向かって2人で切磋琢磨して頑張りたい」

ファジーカスと八村を比較すると、長らく対戦相手としてマッチアップしてきたファジーカスのほうがプレースタイルが分かっているだけ共通理解は取れているようだ。八村については「彼は一人でクリエイトできるので、まだ模索中です。もちろん彼の良い部分を引き出したり、彼が自分の良い部分を引き出したり、そういう関係を築きたい」とコメント。

ファジーカスについては「対戦相手ですけど長くやってきて、彼の良い部分は分かっています。僕らは1歳違いでオフコートでも良い関係を築けてきているので、オリンピック、まずはその予選ですが、これから一つの目標に向かって2人で切磋琢磨して頑張りたいです」と語る。

絶好調の竹内だが、ベテランだけに地に足が着いたまま。「安定した活躍をしたいと思っているので、1試合で満足することなく今後も続けていきたい。これをスタンダードにしたいですし、またそれ以上を目指していきたいです」

ファジーカスと八村の加入が最高の刺激となり、竹内は若返った。A東京でファイナルを勝ち切ったことの自信、コンディションの良さも重なり、今の彼はまさに絶好調。今日の韓国戦、そしてワールドカップ1次予選Window3でも、若々しく躍動感ある竹内のプレーに期待したい。