川崎の篠山竜青が振り返る2017-18シーズン「着々と一歩ずつ伸ばせていった1年」

2018/06/01
Bリーグ&国内
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文・写真=鈴木栄一

2017-18シーズン、川崎ブレイブサンダースの篠山竜青はリーグ屈指の強豪チームの絶対的なリーダーに加え、日本代表の常連としても確固たる地位を獲得し、Bリーグを代表する『顔』の一人となった。しかし、昨シーズンのファイナル進出から今シーズンは8強止まりと、不本意な形でのリーグ戦終了となってしまった。ファイナルを控えた5月24日、篠山にこの1年を振り返ってもらった。

「メンタルの弱さがまだまだあるなと痛感しました」

──まずはチャンピオンシップの千葉ジェッツ戦について聞かせてください。4月27日の京都戦で負傷し、レギュラーシーズンの残り試合を欠場。ぶっつけ本番で千葉戦を迎えましたが、実際にプレーしてどのような感触でしたか。

出だしは思っていた以上に身体が動きました。怖さもなかったですし、身体が重たいなどの感覚も全然なかったです。ただ、ケガの不安よりも、たったの3試合の欠場でしたけど、試合から離れた影響か思い切りが足りず、様子を見てしまった部分はありました。ニック(ファジーカス)が帰化して、すごいチームが上り調子の中で、うまく馴染むことができませんでした。2戦目はベンチスタートでしたが、(藤井)祐眞が先発で出た時の方がボールがプッシュされていて、リズムもすごく良かったです。

メンタルの部分で自分の甘さが出た感覚です。ケガして戻ってきて次の試合ですぐに活躍できる人はいますし、それくらい自分に自信を持てないといけないんだなとあらためて感じました。それは勉強になりました。足首のせいにする気はないし、あれだけの期間で戻ってこられたことに対しては逆に自信になりました。このクラブのスタッフ陣の実力を感じさせられました。ただ、メンタルの弱さがまだまだあるなと痛感しました。

──最後の第3戦ではプレータイムが約1分半のみでした。それについて、もどかしさはありませんでしたか。

自分が大事な場面で出たいというか、この場面で僕を出してくれ、ということはなかったです。ただ、この場面でベンチにいる自分が納得できないし、悔しさがありました。でも、コートで這いつくばって頑張っているみんなを見て、感動している自分もいました。心から頑張ってくれと思っていました。

──千葉戦、第1戦から第3戦までのトータル90分でいえば、やはり第1戦の第1クォーターである最初の10分でつまずいたことが最大の敗因になりました。あの時は何が違っていましたか?

僕が戻ってスタートで出て、まずは様子を見ながらやっていこうかな、というちょっとした思いが、チーム全体に出てしまったと思います。もちろん硬さもあったと思います。みんなシュートが入らなかったし、イージーシュートが落ちて向こうに走られてしまう展開になりました。そこで僕がオフェンスを重たくしてしまったというか。ハーフコートのオフェンスに終始してしまうことで、どんどん悪い方向に歯車が回ってしまったような感覚でした。

あそこでもっともっとメンタルを強く持ってアタックしていれば良かった。走られたあとにもう一回走り返す、シュートを入れられたあとでもプッシュをして自分たちのリズムになるように、セットプレーに頼らずフリーランスの中でボールを動かしてリズムを作ることができたと思います。それがあの時の僕にはありませんでした。それがあの10分間の失敗です。千葉戦はあの10分で全部決まってしまったような感じはありました。

「川崎の先発として試合に出ることがどれだけ大事か」

──シーズン全体を振り返っていただきたいのですが、代表活動と並行という厳しさがある中で、どういう1年でしたか。

忙しかったですね。土日に試合をして、次の土日まで中5日あることがありがたい。それくらい週頭の3日間の代表の合宿は心身ともにハードでした。めまぐるしかったし、中盤の何試合かは本当に記憶にないです。アナリストに自分のプレーを編集してもらうんですけど、こんな試合あったっけ、というくらいバタバタでした。

また、気持ち的には切り替えているつもりでしたけど、週末に2勝して月曜から代表に行くのと、1勝1敗や2連敗で行くのとでは、体感的な疲労度が違うと感じていました。必死に大丈夫と思って、口ではそう言っているけど身体はしんどい、みたいな時は振り返れば確かにあったかもしれません。ブザービーターとか大逆転劇で負けたりと、最後にまくられることが序盤戦は特に多かったので。今考えればそこのしんどさは確かにありました。

──厳しい代表活動の影響によるコンディション不良もあって、先発から外れる時期もありました。この時については、どういう思いでいましたか。

外れたきっかけが11月11日、栃木との1戦目で敗れた試合です。2試合目の前、ミーティングの時に僕がどれだけディフェンスをサボっているかをスタッフに見せられました。「代表で疲れているのは分かるけど、これでは勝てない」と言われ、試合前にホワイドボードを見たらスタートが祐眞に変わっていました。2戦目が終わってから北(卓也ヘッドコーチ)さんから「コンディションのこともあるからベンチからにしたんだよ」と言ってもらえましたが、もっと危機感を持ってやらないとダメだと感じました。サボっているつもりはなかったですが、自然と身体がなあなあになっていたんだなと痛感させられました。もどかしさというより反省、あらためないといけない、という危機感。川崎の先発として試合に出ることがどれだけ大事かを思い知らされた時期でした。

──川崎で先発に出ることは譲れないものですか?

僕は川崎においては、先発で自分が出ないといけないと思っています。奪われるのは仕方ないですが、譲る気はない。それは代表でもそうです。とにかく格好良さですね(笑)。シックスマンという格好良さもあると思うし、それは人それぞれだと思います。ポジションによっても違うでしょうが、僕は小さい頃から先発ポイントガードを長くやらせてもらっているので、これからも川崎の先発のポイントガードとしてやりたい気持ちは持っています。ベンチスタートの時期は、理由がコンディションだろうがなんだろうが、すごく緊張感が高まりました。

──シーズンを終えて、どこに成長や課題を感じていますか?

成長できた部分は、細かいところだと思います。ディフェンスのちょっとしたポジショニングや、相手のチャンスを潰すための気遣い。そういう部分は着々と階段を登っていると思います。足りない分はメンタルの部分で、自分がチームの勝利にもっと貢献するために、ガツガツしていく必要があると感じています。

スタッツは昨シーズンに比べるとマイナスだと思います。ただ、去年の経験だったり、今年の60試合にチャンピオンシップ、天皇杯の経験を踏まえてコートに立っている時の、俯瞰で見られる力。そういうものは着々と一歩ずつ伸ばせていっていると思います。

「このシーズンがあったからこそ、と言える来シーズンを」

──終わってみて振り返るこの1年は、どういうシーズンでしたか?

昨シーズンは辻(直人)やライアン(スパングラー)のケガをきっかけに沈んだ時もあった中で、一気に駆け上ったシーズンだったと思います。今年はそういうアップダウンは小さかったかもしれない、ちょっとずつ低い階段かもしれないけど、着実に登っていくことができました。最後ケガもありましたけど、しっかり治してコートに立てました。結果はついてこなかったですが……。またああいう状態で、ぶっつけ本番でチャンピオンシップに臨んだことも一つ経験になりました。そこで失敗ももちろんしましたし、ミスもありました。ただ、それによって自分の経験値が上がったなと思います。いろいろ心身ともに忙しい中で、駆け上ることはできなかったですけど、一歩一歩コツコツ登ったシーズンでした。「このシーズンがあったからこそ」と言える来シーズンを送る予定です。

──これからの代表活動に向けて、今はどういう時期ですか?

ゆったり代表の招集を待っている時期です。何もしてないわけではなく(アシスタントコーチの佐藤)賢次さんとワークアウトをするなど、トレーニングもちょくちょく始めていますが、気持ち的には少しゆっくりしています。リフレッシュしながら身体を動かして、代表に向けている時期です。

──いよいよ7月からはチーム体制も変わっていきますが、そこは新しいスタートというモチベーションですか?

DeNAバスケットボールの方と何回かお話をさせてもらっていますが、もっと派手に格好よく、と言ってくれているので。そこは本当に僕らも楽しみにしています。そして、自分がどうなっていくのかもすごく楽しみですね。7月が近づくにあたって、プロモーションのこともそうですけど、いろいろな進化があると思うので楽しみです。

──早々に川崎残留が発表された篠山選手ですが、来シーズンに向けて他のチームの動きは気にしていますか?

めっちゃ気になっています。来シーズンのオン・ザ・コートのところも含めて、どういう戦いになるのかは自然とイメージはしてしまいます。その中で自分がどうチームに貢献するかというイメージはもう始まっています。ただ、ニックが帰化した以上、優勝候補になることは多分間違いないと思います。というか、優勝候補と言われるくらいにならないといけないと思います。どう結果を出すかという意味では、ニックは川崎に来てからずっと大活躍してくれており、他の誰かが伸びることが優勝には必要となってくる。来シーズンこそは自分がもう一回引っ張れる存在になりたいとは思っています。

「川崎ブレイブサンダースの篠山として認められたい」

──去就に関してですが、地元の神奈川出身選手としてフランチャイズプレーヤーという意識はありますか?

今のNBAですごく寂しいのは、フランチャイズプレーヤーがなかなかいないことです。スターがどんどんビッグチームに移籍してしまうことが、すごく寂しいと思っています。僕は1990年代の生え抜きの、チームの顔と言えるスターが各チームにいて、ガチンコで戦っているところが好きでした。そういうのがあるから、オールスターがより楽しかったと思います。ブルズの時のマイケル・ジョーダンとか、コービー・ブライアントはすごく格好良い。今シーズン終了後にどうなるか分からないですけど、レブロンもちゃんと地元のキャブスに帰ってきています。ああいうのを見ると、いいなって思うんですよね。

なので、川崎のフランチャイズプレーヤーとして、川崎ブレイブサンダースの篠山としてみんなに認められていきたいですし、ずっと川崎にいたいです。

──去年のオフシーズンといえば、髭を剃るか、剃らないかの『髭問題』。紐をするかどうかの『紐問題』で賑わせてもらいました。今、来シーズンに向けてご自身は何か考えてらっしゃいますか?

髪を切るかどうかの『髪型問題』が非常にありますね。ただ、井上雄彦先生に今の髪型で絵を描いていただいたので、切りたくない気持ちにもなっているんです。またいろいろいろんなことをやろうとは思っています。

──最後に川崎ファン、そしてバスケファンの方へのメッセージをお願いします。

今シーズンで東芝さんのオーナーとしての関わりは変わってしまいますが、これからもいろいろな形で支えてくれるとは思います。練習場も変わらないですし、クラブハウスも東芝さんが作ってくれたものです。そういう意味ではオーナーという名目ではないですけど、これからも東芝さんとは関わっていけると思います。DeNAグループになって変化の部分もあるとは思いますけど、選手個人の人格が変わるわけではないです。今までの川崎の温かい雰囲気というか、ファンと選手の距離が近い感覚は変わらないので、そこは心配せずに、今まで応援してくれた方たちには変わらずついてきてほしいです。

その中でいろいろな進化を僕らもファンの人たちも一緒に楽しみながら、来シーズンの開幕までウキウキしながら過ごしてもらえたらなと思います。契約の部分でまだ来シーズンのメンバーがすべて決まったわけではないですが、僕はいます。これまでと変わらずに明るく楽しい、おめでたい雰囲気のチームを作っていきたいと思うので、ぜひまた一緒に戦ってください。