ビーコル残留も「同じことを繰り返した」と反省
横浜ビー・コルセアーズは先週末の残留プレーオフで富山グラウジーズに競り勝ち、B1残留を勝ち取った。2年連続で下位に沈み、チャンピオンシップとは違い「行きたくないポストシーズン」に進むことになったが、それでも昨シーズンとは違い、入れ替え戦に回らず残留を決めた。
川村卓也は西宮ストークスとの第1戦と第3戦、そして富山戦でチームハイの得点をたたき出しチームを勝利に導いた。「自分がコートの上でチームに向かう姿勢だったり、アタックする気持ち、チームを引っ張ろうとする気持ち。それを出し続けていけばと思っています。それが出せなくなったら僕はコートを去るだけだと思うので」と試合へ向けた強い覚悟を明かす。
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リーダーシップを取る選手は周りからのリスペクトを得る必要がある。自らの振る舞いのすべてが必ずしも正しいわけではないことを自覚する川村だが、それでも強い責任感を持ってプレーしている確信があり、それが彼のプライドになっている。
「どこのチームに所属しても、僕は『自分ができる』という姿勢を、コートの上で常に表現していきたい。本当に僕のようにエゴの強いプレイヤーというのは使いにくいかもしれないです。でも、それはそれで僕としても上手く使ってほしいなって(笑)。だけど、本当に責任感は常に持っているつもりです」
川村という『強烈な個性』に触れた若手が成長
そうした川村のリーダーシップは結果的に下の世代を強くした。「ビーコルに来てそれを1年間やり続けてきたことで、(細谷)将司、(田渡)凌、(満田)丈太郎がこういう大切なゲームでも自分を見失わないでプレーできるようになった」と川村は後輩たちの成長に目を細める。
32歳の川村がチーム平均年齢と変わらないぐらい、ビーコルはベテランの多いチームだ。それだけに、若い選手たちが『勉強』するだけでなくプロとして試合で結果を出すことはチームに勢いを与える大きなプラスアルファとなる。
満田の高い身体能力から繰り出されるダイナミックなプレーや、細谷の得点力とアシスト力、ルーキー離れした田渡の度胸。彼らは川村の背中を見て、その強烈な個性に引っ張られたことで、大一番でもアグレッシブにプレーすることができた。
「このブースターをB2に落とすわけにはいかない」
横浜の今シーズンの観客動員数は平均3102人で、リーグ5位の数字。2年連続で残留プレーオフを戦うことになったにもかかわらず、昨シーズンよりわずかながら伸びた。残留を決めた片柳アリーナでも、ホームではないが距離的に横浜から近いこともあり大勢が駆け付けた。川村はそんな横浜ブースターに対する特別な思いとともに、今シーズンをこのように振り返った。
「昨シーズンと同じことを繰り返した1年間という反省の気持ちが強いです。でも、この非常に声を出せる、アリーナの雰囲気を作ってくれるブースターを僕はB2に落とすわけにはいかないと常に思っていました。自慢のブースターなんです。一人ひとりの顔を覚えているわけではないですけど、みんなの声は僕らに届いています。最後の試合は自分たちらしく戦いたいと思っていました。そういう意味では本当に皆さんに支えられて、喝を入れられて、背中を押されて過ごせた1年だなと思っています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」
自身の劇的な3ポイントシュートによってチームを救った初年度に続き、川村は今シーズンも持ち前の勝負強さを発揮してチームを残留に導いた。だが、『自慢のブースター』への本当の意味での恩返しは来シーズンに持ち越すことに。チャンピオンシップ争いに食い込んで横浜ブースターの熱狂をさらなる段階へと引き上げれば、そのブースターに支えられて自分たちもまたステップアップできるはず。そのカギとなるのはヤンチャなリーダー、川村であるべきだ。