超ロースコアのGAME7、ファウルトラブルを抱えたニコラ・ヨキッチが見せた勝負強さ「歴史的なゲームになった」

超ロースコアのGAME7、ファウルトラブルを抱えたニコラ・ヨキッチが見せた勝負強さ「歴史的なゲームになった」

2020/09/02
ニコラ・ヨキッチ

クラッチタイムに持てる力のすべてを発揮し、ゴベアを圧倒

ジャマール・マレーとドノバン・ミッチェルの対決となったナゲッツとジャズのプレーオフファーストラウンド。本来であればナゲッツでマレーとともにエースの役割を担うニコラ・ヨキッチは、ルディ・ゴベアの高さと強さに苦しみ、ゴール下で苦戦を強いられた。それでも、GAME7の勝負どころで真価を発揮。大混戦となったシリーズでチームを勝利へと導いた。

このGAME7も、終盤までは大いに苦戦した。点差を縮められた第3クォーター、追い付かれた第4クォーター序盤の展開は、マレーとミッチェル双方の得点が伸びずにインサイドの攻防がカギとなる中、ヨキッチがゴベアの勢いを止められずに作られたものだ。残り9分を過ぎたところ、ヨキッチはゴベアにシュートブロックを浴び、倒れて守備に戻れない間にゴベアにオフェンスリバウンドを簡単に奪われ、フリースローで逆転を許した。さらにゴベアはジョー・イングルスとのピック&ロールからダイブし、ヨキッチのファウルを受けながらゴール下のシュートを決めてバスケット・カウントをもぎ取る。ヨキッチはゴベアの強烈なプレーを止められず、さらに個人ファウル5つと追い込まれ、そしてナゲッツも追い詰められていた。

だが、チームはここでヨキッチへの信頼を示す。指揮官マイケル・マローンはまだ8分も時間が残っているにもかかわらずファウルトラブルのヨキッチをベンチに下げない。マレーの強引なシュートが外れたところをフォローして繋いだヨキッチは、ここからディフェンスでの激しさを抑えて退場にならないよう注意しつつ、オフェンスで力を見せ始める。

サイズを生かしたポストプレー、ダブルチームに来るのを待ってのパスさばき、ペイントエリア内でのなめらかなステップとプレッシャーを浴びながらもバランスを崩さずシュートを打つ能力。ヨキッチの集中は研ぎ澄まされ、ゴベアを圧倒した。

ポストアップから優位を作っては粘り強くシュートを沈めていき、同点で迎えた残り30秒にゴベアとの1対1を制してフックシュートを決め、勝ち越しに成功。結局、このシュートが決定打となった。ヨキッチはゲームハイの30得点を記録。このシリーズはここまでマレーとミッチェルが面白いようにスコアを伸ばしていたため、数字としては物足りなく感じるかもしれないが、80-78の超ロースコアゲームにおいて、ヨキッチの30得点は大きな意味があった。

「タフなシリーズになったけど、勝てて良かった」とヨキッチは言う。

「第3クォーター序盤のプレーでシュートを打つ機会があったのに、緊張もあって決められなかった。それは僕だけじゃなく相手も同じで、お互いに得点が伸びずにロースコアの展開になった。そこで僕たちは簡単なシュートを何本が外した後に、無理にシュートに行くポゼッションが何回かあった」とヨキッチは苦しかった時間帯を振り返る。そこから試合中にアジャストし、自らのポストプレーで活路を切り開いたのだから、ヨキッチの貢献は大きい。

プレーオフで1勝3敗から逆転で勝ち上がったのは過去に11チームしかいない。「ホームコートアドバンテージがないことがプラスに働いたのかもしれないね」とヨキッチは言う。「始まる前から面白いシリーズになると思っていたけど、1勝3敗の時点でそんな余裕はなくなっていた。勝ててうれしいし、僕らにとって歴史的なゲームになったと思う」

「1勝3敗の時点で、あと3試合やることだけを考えていた。失うものはないし、難しく考えずにリラックスして、チームメートを信じて、あとは自由にプレーしようと思っていたんだ。ジャマールは3試合続けて最高のパフォーマンスを見せていたからサポートしたいと思った。メイソン(プラムリー)はチームに力を与えてくれたし、ギャリー(ハリス)の復帰も頼もしかった。ギャリーとはずっと一緒にプレーしてきて、あのディフェンスの素晴らしさはよく分かっているからね」

「今日の試合は全員で勝ち取ったものだ。あとはトーリー(クレッグ)もいたね」とヨキッチは心底楽しそうに笑った。試合の最後、決めれば勝利が決定的となるイージーレイアップをクレッグは落とし、ラスト5秒で相手にポゼッションを与えてしまった。マイク・コンリーが最後に放った3ポイントシュートが決まっていればシーズンが終わっていたところだ。

「思い出すと笑ってしまう。レイアップを落としてからコンリーがシュートを打つまでの何秒かの間、ずっとトーリーを罵倒していた。コンリーのシュートの軌道を後ろから見ていたけど、入ってもおかしくなかった。一度は入りかかっていたよね。決まっていたら今ごろ笑ってはいられない。助かったよ」

もっとも、笑っていられるのは今夜だけ。たった中1日の休養を挟んで、次はクリッパーズとの対戦が控えている。疲労をどう抜いて、コンディションをどう整えるかの『戦い』はもう始まっているのだが、ヨキッチは「難しくないよ」と落ち着いたものだ。

「バブルでは移動がないから、部屋に戻って寝る時間はたっぷりある。短期間でも準備はできるよ。僕たちに失うものがないのは変わらない。どれだけ難しい相手でも、僕たちは敗退して帰ることになるまで戦い続けるんだ」

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