写真=Getty Images

クオリティを高め、アピールする作業が続く

ジョージ・ワシントン大を卒業した渡邊雄太が、NBAプレーヤーの夢を実現させるべく動きだした。スポーツエージェントとしては最大手の一つ『ワッサーマン』と契約し、ネッツ、ウィザーズのワークアウトに参加。大学でのラストに足首をケガしてドラフトコンバインを回避したのはマイナスだったが、そこはアンソニー・デイビス(ペリカンズ)やラッセル・ウェストブルック(サンダー)、ドレイモンド・グリーン(ウォリアーズ)をクライアントに持つ『ワッサーマン』の手配でNBAのスカウト網に引っ掛かるべく、最善を尽くしている。

ウィザーズは、ワークアウト後に取材に応じた渡邊の様子を公開している。「もっとシュートを決めないといけないですね。足首のケガもあって、ベストなシェイプには戻っていません」と話しつつも、目標に向かって突き進むその表情は明るい。

「今日は2回目のワークアウトでした。月曜日にネッツのワークアウトに参加して、(ワシントンDC)には2日前に戻ったところです。2回目のワークアウトが終わって、次はロサンゼルスに行きます。代理人がいるので。彼がスケジュールを組んでくれるまで、ロサンゼルスに滞在して練習する予定です」

『ワッサーマン』の拠点はロスにある。NBAチームの練習に渡邊を参加させるだけでなく、NBAプレーヤーになるための課題を見極め、それをクリアするための方策を提供するのもエージェントの役割。NBAチームでのワークアウトは『見せる』作業。これからロスで渡邊が行われるのは、そのクオリティを向上させるための作業だ。

Lots of local talent in the building today at #WizDraft workouts!

See who came through…

| https://t.co/BenBKoaIuv#DCFamily pic.twitter.com/OafSP4A6vH

— Washington Wizards (@WashWizards) 2018年5月24日

「自分の強みは1番から4番まで守れること。今日のワークアウトではシュートが良くなかったですが、シュートを決められるし、ハンドリングもパスもできます。万能性も自分の長所の一つです」というのが渡邊の自己評価。

現状の渡邊の知名度、さらにケガで出遅れたことを考えれば、NBAドラフトで指名されてNBAチームと契約し、ローテーションに加わるのは現実的ではない。それでも『ワッサーマン』のサポートを受けながら自分の実力を見せれば『つなぎ』の戦力として認められるかもしれない。主力選手を数分間休ませるのがその役割となるが、そこでは渡邊のディフェンス力、外からのシュート力が求められる。そこからステップアップすれば、信頼の置けるディフェンスプレーヤーとしてプレータイムを伸ばしていく可能性もある。

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「これまでNBAでプレーした日本人選手が一人しかいないことは分かっています。もうずいぶん前のことで、田臥(勇太)さんしかいませんでした。ですから、もし自分がNBAでプレーできれば、日本で大きなことになります。そうなれば、多くの少年たちもアメリカでプレーしてみたいと思うでしょう。自分がパイオニアになれればと思っています」

もちろん、世界最高の舞台であるNBAのコートに立つのはそう簡単ではない。すべてが理想的に行けば夢は実現できるが、そうでなければGリーグや他国のリーグでプレーしながらチャンスを待つことになる。それでも、高い目標に向けてやれるべきことすべてをやり切るのは、今の渡邊にとって最高の経験となるはずだ。