文=丸山素行 写真=鈴木栄一

「積み上げてきたもの」で琉球を撃破

千葉ジェッツは琉球ゴールデンキングスに連勝し、Bリーグファイナルへの切符をつかんだ。18チーム中2チームしか到達できない場所へとたどり着いたわけだが、富樫勇樹はファイナルへ進んだ感想をこのように語った。

「素直にうれしいというのはあります。でもこのチームで一緒に戦っていてもそうですし、ベンチから見ていてもそうですけど、本当にファイナルに行かなきゃおかしいチームだと思うので。もちろんうれしさは全員感じていると思いますけど、そこで満足はしてないと思います」

琉球との第2戦は我慢の時間帯を乗り越えて勝ち切った。強いチームの勝ち方を、富樫は積み上げたものの結果だと強調した。「この1試合どうこうで点差が開いたものじゃないと思います。今まで積み上げてきたもの、プレシーズンからレギュラーシーズン、天皇杯、すべて今までやってきたことがジワジワ点差になっていった気はするので。この7カ月くらい、チーム全員でやってきたことが結果に繋がったかなというのはすごく思います」

得点だけではない富樫の貢献度

第2戦、富樫はシュート精度がなかなか上がらず、悔しがるシーンが多々見られた。だが自分の数字よりも勝利という結果が大事と主張する。「チャンピオンシップに限ってはチームが勝てば何でもいいと本当に思っています。もちろんそのためには自分が活躍しなきゃいけない場面というのはあると思います。特に今回の2試合に関しては自分がコートにいることでピック&ロールを使えばビッグマンが出てきて他の選手が空くという意識もあったので。自分の得点というのももちろん必要ですけどそこまで(不完全燃焼という)感じはしないです」

富樫はリーグ全体で11位、日本人選手では2位となる1試合平均15.7得点を記録している。昨日の試合では8得点に終わっているが、それでも8アシスト3スティールと得点以外の部分で存在感を放った。特にボールの行く末を先読みしたパスカットや、激しいボールプレッシャーからのスティールは琉球オフェンスの自由を奪った。

「チームとして簡単にハッサン(マーティン)選手のところにボールを入れさせるなというは指示があり、ガードにプレッシャーかけろという指示だったので、それがうまく良い方向に繋がりました」とディフェンス面での貢献を振り返った。

「アルバルクに負けたくない気持ちは強い」

琉球を連勝で退けた千葉は、シーホース三河との死闘を制したアルバルク東京とファイナルを戦うことになった。「自分がケガしたのもその試合ですし、今シーズン連敗したのもアルバルクだったので」とファイナルの相手への特別な思いを富樫は口にした。それでも最高の舞台でリベンジの機会が巡ってきたことに富樫は興奮しているようだ。

「他のチームよりもアルバルクに負けたくないという気持ちは本当に強いので、チームとしてはもう必ず勝つ。ファイナルで当たれるというのはすごくうれしく思います。それと同時に唯一負け越しているチームなので、しっかりとした準備をして臨みたいなと思います」

オールジャパンを連覇したように、千葉は一発勝負に強いという印象を受ける。また世界を体験してきた富樫にとってもそういった大舞台は歓迎だという。「去年の天皇杯で優勝した時もそうですけど、そういう大舞台というか、ホーム&アウェイじゃなくなるいつもより大きい会場でやるのが自分としてはやりやすいです。bjの時の有明もそうですし、今から楽しみです」

高速トランジションオフェンスとディフェンスマインドで悲願達成となるか。ファイナルを楽しめるメンタルを持つ、富樫のパフォーマンスがそのカギを握ることは言うまでもない。