文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

勝ちパターンを逃し金丸は「本当にもったいない」

昨日、シーホース三河はアルバルク東京との第1戦を延長の末に落とした。ロースコアの展開から抜け出し、10点前後のリードを保つ展開。第3クォーターのラスト、そして第4クォーターの序盤にA東京がギアを一段階上げたことにも対応して、オフィシャルタイムアウトを迎えた時点で59-51と、試合巧者の三河としたら完全に勝ちパターンのはずだった。

金丸晃輔は言う。「まあ、第4クォーターですね。あそこでオフェンスがうまくいかなくて、それをディフェンスに引きずってしまった感じです。本当はディフェンスをしっかりやれば、ウチのシュートが入らなくても向こうも入らないんですが、それが今日はできませんでした」

「勝てる試合を落としたという認識ですか?」という質問には「そうですね。ずっとリードしていたので本当にもったいないです」と金丸。ただ彼からすれば『ショック』というよりは『もったいない』という認識で、必要以上に落ち込むことなく気持ちを切り替えようとしていた。

それと同時に敗因については「まあ、自分たちが悪いんですけどね」と苦笑い。反省して切り替えれば負けない──。自信が揺らいでいないことは、その表情からもうかがえた。

リベンジに燃える橋本&桜木「ハードにプレーする」

勝っても負けても冷静沈着な金丸とは違い、感情を表に出して戦うタイプである橋本竜馬と桜木ジェイアールは悔しさを隠そうともしなかった。A東京の持ち味であるハードワークに屈したことに、橋本はリベンジの意識を強く持っている。今日の第2戦に向けて、「やっぱり最初の3分、しっかりと戦う意志を見せることが必要だと思います」と意気込む。

橋本は言う。「今シーズンに自分たちがやってきたのは、連敗を一度もしなかったこと。それは誇りに思っていいし、それをまた明日できると思います。そのためには最初の3分、5分です。自分がしっかりとインテンシティを保ち、ハードにプレーすることが必要だと考えています」

桜木ジェイアールは試合開始早々に痛めた肩のトラブルを抱えながらプレーしたが「大丈夫」とのこと。「今夜、試合の映像をしっかり見る。ディフェンスは相手を60点台前半に抑えていて問題はない。どんなオフェンスを組み立てるのが効果的なのか、対策して第2戦に臨む」

桜木が言うオフェンスとは、ただ得点を挙げるだけでなく、相手に速攻を出させるような攻撃の終わり方をしないことを意味する。タフショットからブレイクされるのが三河にとっては一番嫌なパターン。昨日の終盤、得点が止まったこと以上に深刻だったのはそれで、鈴木貴美一ヘッドコーチは「あそこは24秒バイオレーションでもいい」とまで言っていた。

「元気な選手を奮起させて我々のペースに持っていきたい」

金丸は気持ちを切り替え、橋本は自らが引っ張る意欲をあらためて燃やし、桜木はオフェンスの構築を一晩考えた。比江島慎は言うまでもなくエースの自覚を持っており、穏やかそうに見えて負けたまま引き下がるタイプではない。さらには鈴木ヘッドコーチは「かなりエネルギーを使って延長戦もやった。明日は控えの選手がどれだけ頑張るかにかかっている。控えの元気な選手を奮起させて我々のペースに持っていきたい」と第2戦に向けてセカンドユニットの奮起をうながした。

痛い逆転負けを喫したが、今日の三河は一段とすごみを増してくるはずだ。対するA東京も会心の勝利を挙げたことで勢いに乗っている。熱戦必至のゲーム2を果たして三河は取り、ゲーム3も制して来週の横浜アリーナに駒を進めることができるだろうか。