40分間で一度もリードしなかったアルバルク東京、延長に持ち込み三河に走り勝つ

2018/05/19
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

「慌てずに一つひとつのプレーに集中」する驚異の粘り

シーホース三河とアルバルク東京のチャンピオンシップ・セミファイナル第1戦。40分間一度もリードを奪えなかったA東京が土壇場で追い付き、延長戦で走り勝つ逆転勝ちで先勝した。

第1クォーターは21-13で三河が取った。試合開始早々に桜木ジェイアールが竹内譲次との接触で肩を痛め、プレーは続けたものの「痛みがあってポストプレーが片手でしかできなかった」と影響はあった。それでもボールのないところで菊地祥平と激しくやり合い、振り切る金丸晃輔が連続得点でチームを波に乗せる。第2クォーターも20-17で三河。足を使ったディフェンスでA東京の仕掛けに対してズレを作らせずイージーシュートを打たせず、村上直と西川貴之の3ポイントシュートで突き放して2桁のリードを奪った。

それでもA東京は後半になって次第に調子を取り戻していく。前半は30得点のうち22得点がペイント内で挙げたもの。フリースローで4得点を挙げており、ミドルレンジからのシュートがほとんど入っていなかった。3ポイントシュートは7本打って成功ゼロ。それだけ当たっていなかったペリメーターのジャンプシュートを安藤誓哉が、ザック・バランスキーが決めて得点が動き始める。それでもバッツのゴール下、比江島のランニングプレーを止められずに点差を詰めるには至らず、44-55と2桁のビハインドを背負ったまま最終クォーターを迎えた。

完全な劣勢だった前半から、後半に少しずつ自分たちのプレーを出してきたA東京は、一気にひっくり返そうと無理をするのではなく、目の前のプレーに集中していた。バランスキーは「慌てずに一つひとつ大事にやっていけば結果は出ると感じていました」とこの時間帯を振り返る。

安藤の一発で追い付くと、あとは走り勝つ展開に

そのA東京の戦いぶりが噛み合ったのが第4クォーターだ。馬場雄大のジャンプシュートを比江島がブロック、ターンオーバーからの速攻を橋本がしぶとく追い掛けてミスを誘うなど三河も守備でハッスルしたが、6分近く無得点とオフェンスが停滞したことでディフェンスのリズムも乱れてくる。そんな中、A東京はアレックス・カークと田中大貴のピック&ロールからの展開でじわじわと点差を詰めていく。

残り2分を切ってA東京の攻め。田中のシュートは外れるもカークがリバウンドを拾って再度組み立て。だがここで三河の粘りを崩せずに24秒バイオレーションの痛恨のミス。この直後に金丸にドライブからファウルを誘われ、フリースローを決められて58-61と突き放された。

しかし、ここで安藤がビッグプレーを見せる。カークのスクリーンで橋本竜馬のディフェンスを引きはがし、値千金の3ポイントシュートを決めて61-61の同点に追い付いたのだ。その前の24秒バイオレーションからうまく気持ちを切り替えられたという安藤は、「ピックの使い方がキモで、早すぎてもいけないし、うまく引っ掛けることを意識しました。追い付いたうれしさより『ここから勝負だぞ』という気持ちでした」とこのシーンを振り返る。

こうして試合は延長戦へ。しかし「ここからが勝負だ」との安藤の思いとは違い、先発の5人を引っ張りすぎた三河には戦う力が残っていなかった。桜木が肩に不安を抱え、バッツは息切れ、比江島は延長に入って早々に足を攣っていた。それでもなお仕掛ける比江島の1on1が決まらず、金丸に打たせるセットプレーで4点は奪ったものの、タイムシェアができているA東京は手堅く8得点を挙げて上回った。最終スコア69-65、A東京が見事な逆転勝ちを収めている。

『練習の鬼』に鍛えられた自信「相手のほうが辛い」

A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは、安藤の同点シュートについて「何千本、何万本も練習しているので偶然ではありません」と、積み重ねた練習の成果であることを強調した。

プレー強度の高いポストシーズンでの延長戦はどの選手にとってもハードなもの。だが安藤は終盤も「相手のほうが辛いんだぞ」と考えてプレーしていたそうだ。ザック・バランスキーも「ウチはシーズン通して鍛えてきたので、どこよりも走り勝つ、強度を落とさず40分間やる、誰が出ても戦力が落ちずにプレータイムをシェアできるのが強み」と、シーズンを通して高めてきた総合力の勝利であることを誇った。

『練習の鬼』であるルカの下で、A東京はどこにも負けないハードトレーニングを重ねてきた。バランスキーは「練習がちょっと楽になった」と明かす。この1週間で2部練習は一度しかなかったそうだ。8月のプレシーズンから続いてきた地獄の練習の負荷が落ち、「いつも以上にフレッシュな状態」である。

ルカコーチは言う。「8月から常に我々はハードワークして60試合を戦ってきた。現段階でコンディションレベルはクリアしている。それでファイナルに行けるとは限らないが、ハードワークで他のチームには負けない。素晴らしい逆転勝ちだが、まだファイナルの切符を手にしたわけではない。明日もう一度仕切り直して、気持ちを切らさないように選手たちには話した」

第2戦でシーホース三河が巻き返すか、あるいはアルバルク東京が持ち前のハードワークで押し切るか。明日の第2戦もウイングアリーナ刈谷で13時05分開始となる。