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バックスの新ヘッドコーチ最終選考に残る

新ヘッドコーチ候補を選定中のバックスが、スパーズのアシスタントコーチを務めるベッキー・ハモンを最終候補に残したと報じられている。

元WNBA選手のハモンは、2014年にNBA史上初のフルタイム女性アシスタントコーチに就任。それから4年間、名将グレッグ・ポポビッチの下で経験を積んでいる。指導者としての能力の高さは折り紙つきで、スパーズのパウ・ガソルも『Player's Tribune』に寄稿したエッセイの中で「彼女にはNBAチームの指揮を執るだけの実力がある」と綴り、史上初のフルタイム女性ヘッドコーチ誕生を後押ししている。

そんな中、ハモンと同様にWNBAで活躍し、2015年にキングスのアシスタントコーチに就任し、NBA史上2人目のフルタイム女性アシスタントコーチになったナンシー・リーバーマンは、NBAがNFLの『ルーニー・ルール』を導入すべきと考えている。

『ルーニー・ルール』とは、NFLスティーラーズの会長で、リーグの多様性員会で議長を務めるダン・ルーニーが提案し、2003年に制定されたルールで、チームのヘッドコーチやGMを募集する際、最低1名はマイノリティグループ(黒人もしくは少数派民族など)の候補者と面談しなければならないと定めたNFLのルールだ。

リーバーマンは『ルーニー・ルール』について「平等性を担保するためのもの。NBAでも平等性を重視する必要がある」と語った。

NBAは、社会情勢を見つつ、必要ならばルールや規則を柔軟に変えるプロスポーツ団体の一つだ。近年ではグローバル化も進み、マイノリティ、多様性を受け入れない考えには同調しない傾向が強い。直近では、2016年のオールスターゲーム開催地を巡っての判断が有名だ。当初シャーロットでのオールスターゲーム開催が決まっていたのだが、性転換者が出生証明書に記された性別のトイレを使用することを規定したノースカロライナ州の法律、『HB2』への反対意思を示し、開催地の変更を決断した。

リーバーマンは「最初に扉を開ける人間にはガッツが必要」と言う。「今回のことはベッキーにとっても大きなこと。彼女は、NBAチームのヘッドコーチ候補として面談を受けた初の女性指導者として、今回の経験を私たちと共有してくれるはず」。実力社会のNBAで、ついに女性ヘッドコーチが誕生するかどうか、バックスの発表を待ちたい。