文・写真=鈴木栄一

先制パンチで下馬評を覆す貴重な勝利を呼び込む

5月12日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、チャンピオンシップ初戦となる琉球ゴールデンキングス戦に71-69で勝利。レギュラーシーズンの成績で大きな開きがあることに加え、琉球のホームゲームということから下馬評では不利の声も少なくなかったが、見事に熱戦を制した。

最終的なスコアは2点差でも、名古屋Dは大半の時間帯でリードを保っていた。序盤から主導権を握る上で大きな役割を果たしたのがジャスティン・バーレルだ。第1クォーター開始から約3分半、バーレルは4本連続でシュートを成功させた。琉球の佐々宜央ヘッドコーチが、「第1クォーターの入り方が固かった中、ジャスティン・バーレルに1対1からタフショットを決められてしまった。そこでゲームの流れが名古屋にセットされてしまいました」と振り返ったように、バーレルの先制パンチは試合に大きな影響を与えた。

15得点8リバウンド3アシストのスタッツを残したバーレルだったが、他にもインサイドでの積極的なアタックで琉球のハッサン・マーティン、ヒルトン・アームストロングのファウルトラブルを引き起こすなど、その活躍には数字以上のインパクトがあった。

「僕のホームコートはマジソンスクエアガーデンだった」

「ドルフィンズのバスケットボールができた。チーム一体となってプレーし、オフェンス、ディフェンスともに良いプランを立てたものを遂行できた」とバーレルは言う。試合開始早々の連続得点には「最初から自分たちの流れに持っていくことを目指していた。キングスの観客はリーグ屈指の熱狂度だし、彼らを試合序盤から盛り上げさせたくなかった」と続ける。

この試合では、インターナショナルな観客が多い場所柄もあり、バーレルには英語での辛辣な野次も飛んだ。それでも、この点についてはむしろ歓迎していたと言う。「地元を思い出した。僕はニューヨークで生まれ育った。周りが自分にいろいろ野次を飛ばすような環境でプレーするのは好きだし、自分の助けにもなった。逆に感謝しているよ。歓声の多い環境でプレーするのは好きだ。より楽しんでプレーできる。僕のホームコートはマジソンスクエアガーデン(セントジョーンズ大時代)だったからね」

ストリートバスケの本場ニューヨークで生まれ育ったバーレルにとって、周囲の激しい野次を浴びながらプレーするのは日常茶飯事。むしろ周囲を黙らせてやろうとモチベーションが高まったのかもしれない。

「コーチ、チームメートが活躍できる状況に導いてくれる」

シーズン終盤に入って右肩上がりの勢いを、チャンピオンシップの大舞台でもまずは示すことができた名古屋D。バーレルは「コミュニケーションをより取れているのが、チームが成長できているカギだ。よりアップテンポのバスケをすることで、ファウルを取れるようになっている」とチームの成長に自信を見せる。

本日の第2戦目、初戦よりもさらにタフなプレーをしないと勝てないことはバーレルも十分に認識している。3ポイントシュートが持ち味の名古屋Dではあるが、この飛び道具の威力をより増大させるためには、バーレルがインサイドでしっかり存在感を発揮することが重要となる。

「コーチ、チームメートが活躍できる状況に導いてくれる。自分のベストを尽くすだけだ」と意気込みを語るバーレルが、初戦のようなインパクトを与えられれば、名古屋Dの勝利はより近づいてくる。

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