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スタッツも互角、興味の尽きない決戦は14日スタート

西カンファレンスの決勝は、大方の予想どおりウォリアーズとロケッツの対戦となった。『事実上の決勝戦』とも見られるこのカードが実現し、初戦の14日が待ち切れないファンも多いことだろう。

1年前の6月、当時クリッパーズに所属したクリス・ポールは、ロケッツでジェームズ・ハーデンと一緒にプレーすることを希望し、チームにトレードを要求した。フリーエージェントの権利を行使して出ていくこともできたポールの要求にクリッパーズが応え、7対1という大型トレードが成立。相思相愛だったポールとハーデンのデュオが誕生した。

当初はボールを保持してペースを作るポールとハーデンを同時起用するプランが機能するか疑問視されたものの、この改革は成功し、ロケッツは球団新記録の年間65勝(17敗)をマーク。レギュラーシーズンではウォリアーズに2勝1敗で勝ち越し、西カンファレンスの首位でプレーオフに勝ち進んだ。

ポールとハーデンのデュオ以外にも、ロケッツは『3&D』のPJ・タッカー、複数のポジションを守ることのできるルーク・バー・ア・ムーテ、ベンチの攻撃力を上げられるジェラルド・グリーン、勝負強いジョー・ジョンソンと、タイプが異なるベテランをロスターに加え、対ウォリアーズの準備を1年がかりで進めてきた。そして今、その大一番が実現する。

ロケッツの挑戦を受けるウォリアーズにも隙はない。レギュラーシーズン終盤の失速はステフィン・カリー、ケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンら主力が相次いで負傷離脱したからで、プレーオフが開幕してからは、スパーズとの1回戦、ペリカンズとのカンファレンス準決勝をそれぞれ4勝1敗でクリアー。カリーも準決勝から戦列に復帰し、状態を上げている。

ウォリアーズには隙がないだけでなく、気負いもない。この点はロケッツとは対照的だ。攻守にチームを支えるドレイモンド・グリーンは5月14日から始まる大一番を前にしても冷静そのもの。本心なのか、ロケッツへの挑発がすでに始まっているのか、それは彼にしか分からない。

「ロケッツは、俺たちを倒すために結成されたチームだ。そのことだけを考えていると言ってもいい。優勝するにはそれが近道なんだろう。でも、ここ3年で2回優勝している俺たちは、どのチームと対戦したいかなんて言わない。また優勝したいだけ。立ちはだかる相手がどこだろうと、たまたまそうなっただけなんだ。相手がロケッツだからと言って、俺たちは別に意識なんかしないよ。『さあ、始めようじゃないか』という感じだ」

プレーオフでの数字を見ても、両チームの実力は拮抗している。100ポゼッションあたりの平均得点ではロケッツが1位の111.1得点で、ウォリアーズは4位の108.8得点。守備においてのスタッツではウォリアーズに分があり、100ポゼッションあたりの平均失点はリーグ最少の99.3点。ロケッツは2位の102.1点だ。

両チーム共通の武器である3ポイントシュートではロケッツが1試合14.1本の3ポイントシュート成功数を記録しているのに対し、ウォリアーズは9.8本と意外に少ない。これは、ケビン・デュラントの3ポイントシュート成功率が27.9%に落ち込んでいるのが原因。それでもデュラントは、1回戦から準決勝までを終えて平均28.0得点、フィールドゴール成功率は49.3%と好調を維持している。

昨年はNBAファイナルまで1敗もせず、まさに圧倒的な力の差を見せつけ優勝を飾ったウォリアーズ。今年のカンファレンス決勝では、リーグ最強オフェンスを進化させ、弱点だった守備を改善させたロケッツが相手だ。弥が上にも期待が膨らむ注目のシリーズは、14日からスタートする。