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ポール・ジョージを破り、クリス・ポールと対戦中

2017年のNBAドラフト。ルイビル大学からアーリーエントリーしたドノバン・ミッチェルは、エントリーを取り下げて大学に戻ることを考えていた。自分が通用するかどうか、確信できなかったからだ。その考えを変えたのは、ロケッツのクリス・ポールとサンダーのポール・ジョージだった。

ミッチェルは昨年12月、『ESPN』に「自分は100%大学に戻るつもりでいた」と話している。だが、ドラフト前のワークアウトでポールとジョージと練習する機会に恵まれ、彼の運命は大きく変わる。ミッチェルの実力を肌で感じた2人は、エントリーを取り下げず、このままNBA挑戦を続けるべきだと激励した。

このストーリーを知ったメディアが昨年末にジョージに話を聞いたところ、「ドノバンはタフで恐れもしない選手だ。夏に一緒に練習した時に、必ず才能を開花させると感じた」とコメント。ポールはというと、ミッチェルを自分の自主トレにも招き、今では週に何度か連絡を取り合うほどの関係性を築いている。

同じく昨年末、当時すでに並のルーキーではないことを証明し始めていたミッチェルについて聞かれたポールは、こう答えている。「攻守両面に優れていて、強靭だし、バスケットボールを愛している。ジャズで活躍していることで驚かれているみたいだけれど、僕は驚いていない」

皮肉にも、ジョージがプレーするサンダーは西カンファレンス1回戦でミッチェルのジャズに敗れた。そしてポールのロケッツは、西カンファレンス準決勝でジャズと激突中で、第2戦までを終えて1勝1敗。

もし2人がドラフトエントリーを取り下げないよう説得していなかったら、ミッチェルは今もルイビル大でプレーしていたかもしれない。運命を変えた出会いから1年も経たないうちに、真剣勝負の場、プレーオフで対戦することになろうとは、誰にも予想できなかったはず。もしミッチェルのジャズがロケッツをも撃破すれば、ジョージとポールは、敗退の悔しさとともに、心のどこかで「アイツならこのくらい当然」と思うのではないだろうか。

今シーズンがミッチェルの『サクセス・ストーリー』第一章だとすれば、その序章には、2人のオールスターとのエピソードは外せない。それほどまでに大きく運命を変える出会いだったのだから。