文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

1日に3試合を戦う激闘を制してアジア3位に

中国の深セン市で行われた3×3アジアカップ。日本代表は男女ともに準決勝に駒を進め、男子が銅メダル獲得、女子は4位という結果に終わった。国際大会でのメダル獲得は3×3日本代表にとっては初のこと。結果だけでなく内容でも収穫の多い3日間となった。

昨日の決勝トーナメント、ベスト8ではカタールを相手に18-15で勝利。点差は開かなかったが日本が攻守両面で主導権を握る完勝だった。準決勝のオーストラリア戦ではサイズに勝る相手をクイックネスで振り回し、特に鈴木慶太が相手の懐にもぐり込むようなドライブから難しいシュートを次々に決め、残り1分40秒の時点で16-13とリードする展開に。しかし、大事な試合終盤にチームオフェンスの形を作れず、次の1点を奪えない。16-16と追い付かれた残り15秒、全員が奪いに行ったルーズボールを逆に拾われ、外に展開されてオープンで2点シュートを決められ万事休す。16-18で敗れた。

3位決定戦の相手はまたもサイズのあるニュージーランド。日本が先行しては追い付かれるという展開で、残り1分12秒で20-20、21点を奪えばKO勝ちの3×3では両者マッチポイントという状況に。ここで日本は落合知也のアイソレーションを選択。落合は迷わずドライブで仕掛け、相手のフィジカルなディフェンスに押されながら放つ難しいシュートをきっちりねじ込んだ。

メダル獲得の目標を見事に実現させた日本代表。落合は「皆さんの応援なくして、この銅メダルはなかった」と感謝しつつ、この競技を引っ張っていくパイオニアとしての決意を新たにこう語っている。「今大会でメダルを獲得できたことはうれしいですが、ここからが本当の意味でのスタートです。海外での試合経験をさらに積んでレベルアップし、次は金メダルを獲得できるよう、より一層3×3に向き合い、準備していきます」

大会ベスト3に選ばれた鈴木慶太「全員のおかげ」

183cmながらサイズの不利を覆すキレ、36歳とは思えないエネルギッシュなプレーを見せた鈴木慶太は大会ベスト3にも選出された。「大変うれしく誇らしいですが、チームにかかわる全員のおかげだと思っています」とチームメートの小松昌弘、野呂竜比人、落合、さらにはチーム関係者を称え、3×3と日本代表の将来を見据えてこうコメントした。「3×3が競技として生まれたころから関わっている者として、国際大会初となるメダルの獲得は素直にうれしいです。ただ、目標はまだまだ先にあります。この結果に満足せず、これからも努力を重ねていきたい」

長谷川誠アドバイザーコーチが「3×3には日本のバスケに足りないフィジカルや個人技が充実している」と語ったとおり、今大会で3×3日本代表は1対1でアジアに引けを取らないところを見せてくれた。3人制に限らず日本バスケ界全体にとって価値あるメダル獲得となった。