小酒部泰暉

ディフェンスは「強い気持ちがあれば多分誰でもできる」

アルバルク東京は10月26日、27日とホームで佐賀バルーナーズと対戦し、2連勝を収めた。第1戦は終盤の気のゆるみから佐賀に詰め寄られ79-74と辛勝だったが、第2戦は試合を通してインテンシティの高いバスケットを展開し、79-66で勝利した。

「今日はチームとしても良い入りができたと思います。昨日の反省点で挙がった、リードが広がった時の気のゆるみもチームとして修正できたので点差を広げて勝つことができました。後半はあまり3ポイントシュートが当たってなかったですが、ディフェンスにしっかりとフォーカスしました。相手にやらせたくないところ、(27得点を挙げた)金丸(晃輔)さんの部分はちょっと難しい部分がありましたが、それ以外のところでしっかり守れたからこそ、点がじわじわ離れていったのかなと思います」

小酒部泰暉はこのように第2戦を振り返った。特別指定選手時代から在籍5シーズン目を迎えた26歳のフォワードは、今シーズン開幕以来不動の先発として東地区暫定1位のA東京を牽引する存在になっている。この佐賀戦でも2戦にわたってポイントゲッターである金丸のマッチアップを担い、第1戦は8得点に抑えつつ、自身は13得点(うち3ポイントシュート6本試投3本成功)3アシストというスタッツを残している。

神奈川大時代に『学生No.1スコアラー』としてその名をとどろかせた小酒部は、A東京では強い身体と日本人離れした身体能力をディフェンスに大きく振り分け、近年は170cm台のポイントガードから200cm超の外国籍ウイングまで幅広く守れる選手として確固たる力を蓄えてきた。

大学時代も決してディフェンスができない選手ではなかった。本人にとっては「役割がオフェンスからディフェンスに変わっただけ」という意識なのかもしれない。傍から見れば、彼のディフェンス面における成長は目を見張るものなのだが、小酒部自身は「強い気持ちがあれば多分誰でもできる」、「ディフェンスはとにかく頑張るしかない」と繰り返した。

小酒部泰暉

CSの敗戦を糧に「勝つために自分の役割を果たす」

そして今シーズン、小酒部はさらなる飛躍のフェーズに入りそうだ。フィールドゴール平均試投数が2.0から3.1、3ポイントシュート平均試投数が2.3から3.0と、いずれも昨シーズンより向上していることが示唆するように、得点面での積極性が増している。小酒部は言う。

「入団当時はディフェンスができないと試合に出られないと考えて、まずはディフェンスから磨いていこうと決めていましたし、去年もディフェンスにフォーカスしてプレーしていました。ただ去年のチャンピオンシップ(CS)で、いろんな選手がいろんなところから点を取れたほうが相手が守りにくいし、自分ももっと積極的にオフェンスに絡まないといけなかったと学んだので、今年は空いていれば積極的に打つという気持ちを持っています。『得点をたくさん取りたい』というよりは『チームが勝つために自分が自分の役割を果たす』っていう意識です」

今シーズンのA東京は、新加入選手は大倉颯太のみという継続路線を選択した。CSクォーターファイナルで琉球ゴールデンキングスに悔しい敗北を喫した昨シーズンからの積み上げは、加入歴の浅い選手や若い選手たちの成長にかかっているとも言える。生え抜きプレーヤーとして主軸を担う小酒部も、例年以上の責任感を持っていると話す。

「これからも、去年以上にオフェンスに絡んでいかないといけないですし、ディフェンスの部分もマッチアップするキープレーヤーをしっかりとシャットアウトしなければいけないという意識もあります。さらに、コートに出ている5人が意思疎通を取れるよう、自分がもっと発信していけるようになればチームはより良い方向に進むと思います」

10月30日、『FIBAアジアカップ2025予選 Window2』の直前合宿招集メンバー23名が発表され、小酒部もこれに選出された。これまでにも何度か代表候補に名を連ねつつもコンディション不良などで辛酸を舐めてきた大器は、プロ入り以来目標としていた代表の座を今度こそつかめるか。まずは第6節のシーホース三河戦、攻守ともにアグレッシブな姿勢でチームの白星に貢献したい。