文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

奮闘をねじ伏せてきた古巣に「さすが川崎だな」

京都ハンナリーズは川崎ブレイブサンダースに2日続けて惜敗を喫した。特に第2戦はジュリアン・マブンガ、マーカス・ダブと外国籍選手を2人欠き、試合前から不利は明らかだった。外国籍選手はジョシュア・スミスのみ。オン・ザ・コート「0」の時間帯を強いられながらも、戦前の予想に反して京都はスモールラインナップで終盤まで接戦を繰り広げた。

その中でほぼフル出場(39分)した永吉佑也の存在感は際立っていた。13得点11リバウンドと今シーズン初のダブル・ダブルを達成した数字がそれを証明している。

「前半少しタッチには苦しんだんですけど、リバウンドに関しては良かったです。チームメートがすごく助けてくれたので、自分がどうこうというのはあまり思ってないですね」と個人スタッツは周りのサポートのおかげと強調した。

不利を抱えながらの健闘については「ウチのチームバスケットができればここまで戦えるというのは、ある程度証明できたと思います」と一定の手応えをつかんだ永吉。だが、それと同時に不在のチームメートの存在感をあらためて知る結果になった。

「やれる、やれないというよりは、やっぱりチーム全員が揃って戦うに越したことないので。手応えと言うのは変ですけど、あらためてマーカスとジュリアンがいればな、瞬さん(綿貫瞬)がいればなあとは思いました」

京都は最大15点のビハインドを一度はひっくり返しており、勝てるチャンスはあった。それでも最終盤の攻防で力尽きた。「勝てそうな試合を勝てなかったのは悔しいです。最後の残り2、3分でギアが上がったというのは、さすが川崎だな」と永吉は素直に古巣の力を称賛した。

永吉の成長を見たファジーカス「誇りに思うよ」

川崎は永吉がキャリアをスタートさせ、昨シーズンまでの3年間在籍し思い入れのあるチームだ。永吉も古巣に対する特別な思いを「もちろんありました」と認めている。永吉の移籍後、オン・ザ・コート「1」の時間帯を任されつつある鎌田裕也は特に切磋琢磨し合ったライバルであり、意識したという。

「お互いの癖を知ってましたし、お互いやられたくないというのはありました。練習中もそうでしたし、自主練なんかでもバンバン1対1をやってたので。いろいろと思い出しながら試合中もやってました」

また会見場ではニック・ファジーカスと一緒になり、ファジーカスの第1子を抱いて一緒に写真を撮るなど、かつてのチームメートと仲睦まじい様子を見せた。ファジーカスは「彼の努力をずっと見てきた。今はピック&ポップができて、ミドルシュートも確実に決めるし、3ポイントも打てるようになった。そういう成長を見ると誇りに思うよ」と『弟分』の成長を喜んだ。

「手応えもつかんだけど、まだまだだなと思う」

京都はすでにチャンピオンシップ進出を決めている。川崎は東地区2位に浮上する可能性を残しており、場合によってはチャンピオンシップ1回戦で再び相まみえることになる。第1戦を5点差、第2戦を4点差と接戦は演じるも、このタイミングでの連敗は少なからずマイナスに作用してしまう。

「手応えもつかんだけど、まだまだだなと思う部分もあります。ずっと頑張って食らいついても、勝負どころでエンジンをかける部分、そこが川崎の本当の強さだと思う」と終盤の勝負強さを肌で感じた。

「大事なところでミスしたり、どれだけ自分たちがギアをもう一回上げられるか。そこをチーム内で鼓舞し合いながら頑張っていくしかないです」と永吉は前を向く。

古巣との対戦で自身の成長を確かめるとともに、外国籍選手を欠いてもチームバスケットが遂行できた時のポテンシャルを見せた2試合で、連敗したとはいえネガティブになる必要はない。残り3試合、最後の上積みと微調整を経て、永吉はチャンピオンシップへ向かう。