「自分のためにプレーすべき」とアドバイス
アメリカ北東部に位置するミルウォーキーを本拠地にしているバックスは、エースのヤニス・アデトクンボの活躍により、2シーズン続けてプレーオフに進出した。強豪セルティックスとの1回戦も第4戦までを終えて2勝2敗のイーブンで、アデトクンボは第4戦で決勝点を含む27得点7リバウンド5アシストを記録。17年ぶりのカンファレンス準決勝進出に向け、一歩前進した。
もしバックスが2013年のドラフト全体15位でアデトクンボを指名していなかったら、おそらくチーム再建にはもっと時間がかかったはずだ。そのアデトクンボは、昨シーズンを通じて最も成長した選手に贈られるMIP賞を受賞し、今シーズンはシーズンMVP候補にも挙げられる大活躍を見せている。
その将来性を見込んだバックスは、2016年にアデトクンボと1億ドル(約108億円)超えのマックス契約を締結。まだ23才で全盛期を迎えるまであと数年の猶予があることを考えれば、次に契約を結ぶ2021年には、2億ドル(約216億円)超えのスーパーマックス契約を勝ち取るだろう。
ギリシャ出身のアデトクンボは、ミルウォーキーを気に入っている。今年2月にロサンゼルスで開催されたオールスターゲームに出場した際には、「LAでプレーする姿は想像ができない」ともコメント。地元とは『相思相愛』の関係を築いている。
The best of Giannis Antetokounmpo in Game Four:
27 PTS | 5 AST | 7 REB pic.twitter.com/RlHXGfolka
— Milwaukee Bucks (@Bucks) 2018年4月22日
そんなアデトクンボの移籍について、2016年の夏にオクラホマシティからサンフランシスコに拠点を置くウォリアーズに移籍したケビン・デュラントはこう『予言』する。
「ミルウォーキーで支えてくれている人たちに彼が愛情と尊敬を持っているのは知っている。でもね、彼のキャリアは彼のためにあるわけで、ミルウォーキーの人たちのものではない。かつての僕も同じことを言っていたし、同じような世界に住んでいたから分かる」
小規模なマーケットから大都市に移った『先輩』として、次のようにも語っている。
「朝早くに起きて練習して、試合に全力を注いでいるのは彼だ。残留すると言えば、ミルウォーキーのファンや球団のオーナーは喜ぶ。彼がそれだけチームのことを気にかけているわけだし、ファンの皆を満足させて、チームのために良いプレーをしたがっているということだからね。でもね、彼のキャリアは彼のものだ。彼自身がどう感じるかが大事だし、どういうバスケットボールをプレーしたいかも重要。もしプレーが楽しいと感じられなければ、彼はミルウォーキーに残らないよ」
デュラントの主張は間違ってはいないが、アデトクンボには彼の考えがある。NBAで自分と似た境遇にいる若きスター選手の今後を心配しているだけだとしても、出しゃばって世話を焼けば、2年前の時と同様に作らなくてもいい敵を増やすことになる。それどころか、デュラントの発言が火種になり、アデトクンボに飛び火してしまう可能性もある。
それがデリケートな話題であることはデュラントも分かっているはず。それでも思ったことを口にしてしまうのがデュラントの流儀なのかもしれないが、この件はメディアに語るのではなく、本人だけにそっと連絡するぐらいがちょうど良いはずだ。