文=丸山素行 写真=鈴木栄一

オン「1」の優位性を生かした栃木

川崎ブレイブサンダースVS栃木ブレックスのゲーム2。第1戦ではストロングポイントを封じられ完敗を喫した栃木が、オフェンスリバウンドで18-9、速攻で14-0と強みを存分に発揮し、75-64で前日の雪辱を果たした。

先手を取ったのはホームの川崎。オフェンスリバウンドを何度も拾われるも、最後までシュートチェックを遂行しゴールを守る。オフェンスではフリースローを含むすべてのシュートを成功させたニック・ファジーカスが8得点を挙げ、17-9とリードした。

だが互いにオン・ザ・コート「1」の第2クォーターに入ると、栃木が優勢に転じる。第1戦では鎌田裕也を攻略できず低調なパフォーマンスに終わった竹内公輔が速攻の先頭を走り、インサイドでも加点し流れを引き寄せる。辻直人の3ポイントシュートを浴びるも激しいプレッシャーを掛け続け、6ターンオーバーを誘発して川崎に主導権を与えない。

ターンオーバーを得点につなげ、ジェフ・ギブスの3オフェンスリバウンドなどで、セカンドチャンスから9点を奪った栃木が33-33と前半のうちに追いついた。

伝家の宝刀『堅守速攻』が炸裂しリベンジ

後半に入ると点の取り合いとなり拮抗するが、一撃必殺の『堅守速攻』を繰り出した栃木が抜け出す。前半から続く激しいプレッシャーで川崎オフェンスを自由にさせず、ノーマークでのシュートを許さない。タフショットを打たせ果敢にボールをプッシュし、フィニッシャーを変えながら次々と速攻を決め、9-0のランで点差を10にまで広げた。川崎も辻を起点に反撃を試みるが、ハーフコートバスケットだけになってしまい、劣勢を覆せない。

4点リードで最終クォーターを迎えた栃木。残り7分に辻に3ポイントシュートを沈められ1点差に迫られるも、直後に喜多川修平が3ポイントシュートを決め返す。ここでジョシュ・デービスと篠山竜青がそれぞれ2本のフリースローをすべて失敗し、反撃の機会を自ら逸してしまう。

すると栃木はここにきてもう一段ディフェンスの強度を上げる。ガード陣が常にプレッシャーをかけズレを作らせず、ダブルチームを仕掛けて川崎のオフェンスの停滞を生む。スティールにはつながらないが、ボールに手を引っ掛けることで、川崎のやりたいオフェンスを遂行させず24秒バイオレーションを誘発した。

残り4分、栃木は田臥勇太が2本のフリースローを沈め、66-56と点差を2桁に乗せた。その後も守備の強度を落とさない栃木は、残り1分14秒、6点差の場面で喜多川が3ポイントシュートを沈めて試合を決めた

川崎を撃破し、強豪相手にも戦える自信

勝利した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「昨日の完敗を受けて、自分たちがどういうことをやらないといけないか、原点に戻ってやっていこうという話の中で、選手はそれを40分間遂行してくれた」と選手の遂行力を称えた。

また「どういうことをすれば、川崎さんのような良いチームにも戦っていけるかというのを今日のゲームで再確認できた」と安齋コーチは発言し、オフェンスリバウンドや速攻、強固なディフェンスが体現できれば、どんな相手にも戦えると確かな自信を得た様子。

17得点10リバウンド(うちオフェンスリバウンド6)5アシスト6スティールという圧巻のパフォーマンスを見せたギブスは「昨日できなかったディフレクションなど細かい部分を激しくできた。昨日は恥ずかしい試合をしてしまったが、昨日に比べて速いテンポ、エナジーを持ってプレーすることができた」と前日からのカムバックに満足気な表情を浮かべた。

一方、敗れた川崎の北卓也ヘッドコーチは「栃木さんの強みであるセカンドチャンスと激しいディフェンスからのイージーな得点。ボールに対する執念は栃木さんの強みだと思います。それを上回ることができなかった」と悔しい敗戦を振り返った。

栃木はこれで31勝24敗とした。サンロッカーズ渋谷とのゲーム差は5.5と広がり、今日行われる千葉ジェッツ戦でSR渋谷が敗れた場合、栃木のチャンピオンシップ進出が決定する。