NBA選手たちは自分たちの人気や存在感を社会正義の実現に活用、コミッショナーは「平和的な抗議活動は尊重する」

NBA選手たちは自分たちの人気や存在感を社会正義の実現に活用、コミッショナーは「平和的な抗議活動は尊重する」

2020/07/30

アダム・シルバー

人種差別の撤廃、社会正義の実現のための武器に

現地7月30日、ジャズvsペリカンズの一戦からNBAのシーズンが4カ月半ぶりに再開する。新型コロナウイルスの感染拡大が全米で終息に向かわない状況の中、リーグはオーランドのディズニー・ワールドに『バブル』と飛ばれる隔離エリアを設け、その中で限られた関係者だけを入れて試合を行う段取りを整えた。

幸いにも『バブル』は期待通りの効果を発揮しており、この内部で新型コロナウイルスの感染者は出ていない。ようやく準備万端でリーグ再開を迎えるのだが、リーグ関係者は今度は別のことで気を揉むことになりそうだ。

ジャズとペリカンズの選手たちは、リーグ再開となる試合を前に行われる国歌斉唱の際、起立を拒否することを考えているようだ。もともと2016年、NFLの選手であるコリン・キャパニックが人種差別の抗議として国歌斉唱の際に片膝をついたのが始まり。大きな話題を呼んだ彼の行動はまずアメフト界で広がり、他の競技にも広まっていった。

バスケ界では8月25日、女子のWNBAが開幕。この初戦のティップオフ前、国歌斉唱の際に選手たちは人種差別への抗議のためにコートから退出した。ミネアポリスで起きたジョージ・フロイド殺害事件で『Black Lives Matter』活動が盛んになった今年3月、麻薬取締の警察官が捜査令状の出たのとは違う家に踏み込み、結果として救命士の黒人女性ブレオナ・テーラーを射殺している。WNBAの選手たちはこれに抗議し、全選手が被害者の名前が入ったユニフォームを着てプレーした。

NBAには以前から『選手やコーチはラインに沿って並ぶこと』という国歌斉唱のルールがある。NFLでも当初、起立を拒否した選手は処分を受けた。今回、選手たちが次々とコートに片膝をついたらどうなるのだろうか。

バスケットボール界とは折り合いの悪いトランプ大統領が怒るのは間違いない。だがNBA再開を決めるに当たり、選手会が主張する『社会正義の実現に向けて努力すること』という要望をリーグ側は受け入れている。NBAコミッショナーを務めるアダム・シルバーはテレビ番組『Good Morning America』に出演した際、「選手たちが何をするか分からないし、その時に対処することになる」としつつも「平和的な抗議活動は尊重する」と語った。

国歌斉唱の際に選手がどう振る舞うか、アダム・シルバーを始めリーグ関係者は気を揉むだろうが、それがどうなるかは別として、いずれにしても彼らは自分たちの知名度や発言力を『Black Lives Matter』活動に用いるだろう。NBAはこれまでとはまた異なるメッセージを、世に発信することになる。

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