取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

昨年10月末、開幕11連勝とスタートダッシュに成功した時点での田口成浩は、全く油断することなくこう語っていた。「レギュラーシーズン最後の60試合目までを戦って、プレーオフで勝って、それでやっとB1に上がれるわけですから気は抜けません」。B1に上がった後のことまで意識してシーズンを戦うと宣言してから5カ月あまり。秋田ノーザンハピネッツは44勝5敗とB2の首位を独走し、あとはプレーオフを待つばかりの状況となっている。そんな終盤戦をどう感じながら戦っているのか、ライジングゼファーフクオカとの試合を終えた田口に話を聞いた。

「負けた経験もプラスしていくことが必要」

──福岡とのB2全体の勝率1位と2位の対戦は1勝1敗、勝った第1戦と負けた第2戦では対照的な試合展開で、ヘッドコーチのペップ・クラロスは「経験の差が出た」と話していました。

そう感じます。福岡は一人ひとりが落ち着いていました。ファウルのもらい方、スクリーンの作り方、ディフェンスの駆け引き。そういったところで福岡さんが勝っていたと思います。また前提として、フィジカル面と「絶対に勝つ」という気迫があり、最初から最後までバチバチの試合になりました。そういったチームと2試合やれたことは、自分も含めて若いチームには良い経験になったし、それを来週から生かしていきたいです。

試合内容について言うと、前からプレッシャーをかけて少しでもズレを作ってカットにつなげて、簡単なレイアップや3ポイントシュートに持って行くプレーが第1戦では特に出たし、第2戦でも何本かは出せました。そういったプレーが福岡に対してもできたのはすごく自信を持っていいことです。僕らは若いチームなのでガッツは失ったらいけないし、そこに今まで勝ち続けた経験を、そして今回負けた経験もプラスしていくことが必要です。そうしていくことで、本当に負けられない試合になった時に失敗を減らすことができればと思います。

「自分が点数を取って勝たせる」からの大きな成長

──東地区での優勝も早々に決めて、シーズンを戦う中で自信を付けていると思います。チームとして、個人として、どんな部分に自信を持っていますか?

ヘッドコーチの伝えようとすることを一人ひとりが理解しようと心掛けていて、それがチーム一丸になって勝ちにつながっていると思います。まだ足りない部分もありますけど、ヘッドコーチのやりたいことは理解できているし、そこには自信を持っていいと思います。

個人的にはピック&ロールのシチュエーションや自分がアタックするところはヘッドコーチの指示の下でやることが多いのですが、スリーの確率も悪くはないし、アシストも増えていると自負しています。ただ、クリエイトするプレーをもっと確率良くできればと思うし、まだまだ満足はしていません。上には上がいるという気持ちで日々やっています。

──「個人の成績は気にせず、チームを勝たせられる選手になりたい」と話していました。その通りに成長できていると感じていますか?

そう思います。今日の試合も自分は4得点でしたが、これで勝っていれば全然問題ないです。今までそういう試合はたくさんありますし、もちろん自分が点数を取って勝った試合もありますけど、その日の状況、それぞれの調子があるので、「勝つためにこの日は何をするのか」を、試合の流れを見て自分がコントロールしていければと思います。

自分の成長については、この質問をされたことで良い方向に行っていると今分かったような気がします。以前は「自分が点数を取って勝たせる」という気持ちが強かったのですが、今はまず誰が調子が良いかを把握しようとしているので。そこは大きな成長ですよね。

「正直に言えばプレーオフなんか嫌ですよ(笑)」

──今回の福岡戦は、いわば「B2プレーオフ決勝」の前哨戦でした。B2優勝という目標に対して、自信のほどはいかがですか?

やってみないと分からないと常に感じています。一発勝負というか、2日間で2試合やって、1勝1敗ならプラス5分間の2クォーターの試合という形なので、いかに第3戦まで行かないか、2試合で片付けることが大事です。プレーオフならではの試合形式になるので、やっぱりやってみないと分からないですよ。レギュラーシーズンの残り試合でケガ人をなくして、最高の状態でプレーオフに挑むということが勝ちにつながると思います。

正直に言えば、昨シーズンの経験がありますからプレーオフなんか嫌ですよ(笑)。でもそれは、あの瞬間を覆すというか、倍返しをするためにこの1年間、覚悟を持ってやってきたので、やるしかないです。何が何でも死にものぐるいで、勝つことだけを考えてやります。

──少し気が早いですが、秋田の場合は昇格したら確実に激戦の東地区に入ります。今の状況でB1の東地区で戦えるのか、なんてことを考えたりしますか?

もちろん試合をやりながら今のプレーはB1で通用するのかとか、これでは通用しないとかっていうイメージはしています。スポナビライブで見るのもB1の試合が多くて、見るとなればそういったことをイメージします。正直、今のチームではまだまだ通用しないと感じています。何が足りないのかを考えて、チーム力を上げていくことは大事ですが、まずは個人のスキルやフィジカルを上げていかないといけないといつも思っています。

──まずはB2での優勝、そしてB1のチームに『倍返し』すること。その先にある田口選手にとっての『究極の目標』は何ですか?

究極の目標はやっぱりB1で優勝すること、チャンピオンになることです。まだ自分はプロになって一度も優勝を経験していないので、チャンピオンになることは常に目標として掲げています。ただ、今はまずB2優勝を目標にして、そこにモチベーションを向けてやっています。

自分たちは1試合1試合を全力で、勝つことだけを考えて、貪欲にひたむきにプレーします。プレーオフで勝って、優勝して1部に上がることをまずは実現したいです。ファンの方には是非ともに戦ってほしいと思います。