ブレックスメンタリティを築き上げてきたライアン・ロシター「どんなに苦しくても勝利を決してあきらめない」

ブレックスメンタリティを築き上げてきたライアン・ロシター「どんなに苦しくても勝利を決してあきらめない」

2020/07/24

ライアン・ロシター

新シーズンも宇都宮ブレックスはチャンピオンの優勝候補と言える戦力を有している。このタレント集団の中でも、エースを担うのがライアン・ロシターであることに変わりはない。昨年12月には日本人への帰化を果たしたことで東京オリンピック出場も期待される彼に、アメリカへ帰省している中でオンライン取材を実施し、シーズンへの意気込みを聞いた。

「僕たちはチャンピオンチームになれると感じていた」

──今、新型コロナウィルスへの感染対策で思うようにトレーニングをするのも難しい中、どのように日々を過ごしていますか?

この夏は兄がいるロサンゼルスに滞在している。バスケットボールコートを使うのは難しいからランニングをしたり、兄と一緒にトレーニングをしている。公園やビーチにも行ったりして、そこでは砂を使ってよりキツいメニューにしている。コンディションは良いよ。バスケットボールをできたらと思うけど、この状況では仕方がないことだ。

今のアメリカで満足にバスケットボールができるのはNBAプレーヤーだけだ。だからトレーニングキャンプがより大切になる。これまでならキャンプに入る段階で、僕のコンディションはほぼ開幕を迎えられる状態だった。それが今年はジムに行くことができないので、いつもより注意深く身体をケアして、ダイエットをしないといけない。キャンプには状態を100%にして臨み、そこからバスケットボールのスキルを取り戻さないといけない。

ただ、この状況にストレスは感じていない。このチャレンジを楽しみにしている。これは故障したのとは違うからね。ケガならいつ復帰できるのか、リハビリはどうなるのか心配するけど、今回は自分ではコントロールできないことが理由であって、トレーニングができないわけじゃなく、ジムに行けないだけだ。だから、今の状況についてもストレスを感じたり心配したりすることはない。

──このオフ、宇都宮は主力選手が揃って残留しました。これは優勝を狙う上でも大きいと思います。

とてもエキサイティングなことだ。チームのケミストリーは素晴らしいものになる。チームの財政面について詳しいことは分からない。ただ、僕たちはとても結びつきが強く、素晴らしい友人関係にある。特に昨シーズンのような結末の後では、多くの選手が再び一緒にプレーをしたいと思ったはずだ。僕たちはチャンピオンチームになれると感じていたからね。

──新戦力のジョシュ・スコット選手、LJ・ピーク選手の獲得を知った時は、どんな気持ちでしたか?

ジョシュの加入を知った時は興奮したよ。リーグで対戦していて実力はよく知っているからね。彼のプレースタイルは好きで、ハードに戦う姿に敬意を持っていた。よく走るビッグマンでリバウンドに強く、エネルギーが溢れる選手だ。彼が沖縄にいた時から仲は良くて、何度かインスタグラムでブレックスや他のことについても話したよ。この2シーズン、不幸にもケガを負ってしまったけど、リハビリはうまく行っていると聞いている。それに今の彼は、1試合で30分プレーする必要はない。まずは15分や20分で、エナジーを出して彼の仕事をしてくれればいい。復帰が楽しみだ。

LJについては面識はないけど、複数のバスケ界の知り合いが彼について、素晴らしいチームメートでハードワーカーであると言っていた。彼は、これまでのチームにはいなかった身体能力を持つウイングプレーヤーだと思う。チームに異なるオフェンススタイルをもたらしてくれる。そして、遠藤(祐亮)やマコ(比江島慎)にとって練習でLJをマークするのは、ディフェンスの向上に繋がる。また、LJはとても強力なディフェンダーだ。僕たちには、同じく守備が得意な遠藤がいる。2人が一緒にプレーして、エースガードをマークするのは相手にとってはタフだろうね。

ライアン・ロシター

「欧州で実績を残した選手が増えているのは、エキサイティングなこと」

──ロシター選手は、今シーズンは最初から帰化枠での登録になります。

日本人として初めてフルシーズンを迎えることは、何よりも楽しみだ。僕が帰化選手枠になることで、ジェフ(ギブス)、ジョシュ、LJ、それに日本人選手と一緒に戦える。シーズンの開幕が待ち遠しいね。もちろん帰化選手になることでのアドバンテージを生み出していきたいと思っている。ただ、それがプレッシャーになることはない。今までと同じようにプレーしていくだけ。練習、コートの内外での振る舞いが変わることはない。

──ロシター選手が帰化枠となったこともあり、宇都宮のビッグマンはギブス選手、スコット選手、竹内公輔選手の4名とリーグ随一の布陣となりました。プレータイムをシェアできることで、あなたの負担も減ると思います。

僕たちのインサイドはとても層が厚い。鍵となるのは、ユニットが一丸となって練習からどれだけお互いを高め合っていくことができるかだと思う。ビッグマンが4人いることで、プレータイムを分散することができる。ベンチに優れた選手が控えていると思えば、コートでは常に100%を出してプレーできる。

プレータイムについて言えば、僕は35分とか40分間プレーすることが好きで、減るのは正直うれしくない。とはいえ、チームが勝てれば自分が何分プレーしたかは問題にならない。それに安齋(竜三ヘッドコーチ)との付き合いは長く、彼は僕のことを分かってくれている。また、レギュラーシーズン が60試合で、土日に試合があって水曜日にもある。このようなスケジュールを乗り切るには、時に休むことが必要。だから、ジェフ、ジョシュ、公輔がいて、LJも4番をこなせるからタレント豊富な陣容になり、シーズンの最後までフレッシュな状態を保ってチャンピオンシップに万全のコンディションで臨めるのは大きいよ。

──今オフ、欧州からBリーグに来る選手も多いです。他チームの移籍情報はチェックしていましたか?

選手の移籍についてはチェックしている。ジェフとこの件について話したりもした。例えばジャワッド(ウィリアムズ)が北海道に行ったねとかね。特にこれまでリーグにいなかった新しいプレーヤーはどんな選手なのか興味深い。

欧州で実績を残した選手が増えているのは、エキサイティングなことだ。リーグが誕生してからこの4年間で日本のバスケ界は成長している。NBL時代には、日本に来ることはキャリアにとってあまり良くないと感じている外国籍選手もいたかもしれない。そこからBリーグが始まると、僕も周りの選手から日本のバスケットボール事情について聞かれる機会が増えた。「交渉したいとチームに伝えてくれないか」と頼まれたりね。今、多くの選手は欧州から日本に来ることを考えている。それはJBAやリーグが、日本バスケ界を高めてきたからだ。だからオフになってもいろいろと相談を受けて忙しいけど、僕は話すことが好きだから大丈夫だよ(笑)。

──入団当初は20代中盤の若手だったのが、今では年齢も30代とベテランになってきたことで、チームにおける役割の変化を意識しますか?

新シーズンはブレックス8年目で31歳になる。ベテランになってきたので、よりリーダーシップを発揮できるようになりたい。だから、コートの内外で(テーブス)海やLJといった若手を助けていき、自分がかつて(田臥)勇太から学んだことを伝えていきたい。海は1月に加入してから、中断までの数カ月間で成長していた。彼はスマートな選手で、練習ではすでに自分をしっかりコントロールできている。今シーズンの彼は、とても期待できるよ。

また、たとえ自分がキャプテンやバイスキャプテンになったとしても、引き続き勇太からいろいろなことを学んでいるし、彼のリーダーシップに従っている。僕も日々の練習でチームメートをどんどん鼓舞していきたい。

ライアン・ロシター

「ジェフにとって年齢は関係ない。彼は怪物だから」

──30代となって身体能力の変化を感じることはありますか? 桜木ジェイアール選手のように40代になってもプレーできる自信はありますか?

毎年、自分のフィジカルは高まっていると感じている。コンディショニング管理のため、オフコートでの節制した行動にはプライドを持っている。だから、体力の低下を感じることはないし、逆に進歩していると思う。

ジェイアールの引退にはとても驚いたよ。彼が引退を発表した後に話をした。あの年齢まで現役を続けたことを尊敬している。40歳を超えてダンクできるのは驚愕だよ。彼とはこれまで何度か話していて、休養の仕方とかコンディションの維持や調整方法について教えてもらっていた。自分もあそこまで長くプレーできたら良いと思う。

──チームメートのギブス選手も8月には40歳の大ベテランです。

ジェフにとって年齢は関係ない。彼は怪物だからね。188cmだけどダンクを楽々と決めて、リーグで最もコンタクトに強い選手だ。彼の身体能力はすごすぎて、すべてを簡単にこなしている。だから彼から学べることはないんだ(笑)。

──2021年に延期となった東京オリンピックについて、どんな思いでいますか?

2月のチャイニーズタイペイ戦で日本代表デビューを果たせたのは素晴らしいことだった。オリンピックは常に意識しているけど、今はブレックスが第一だ。まずは、ブレックスでBリーグのチャンピオンになることに集中する。その後に、オリンピックについて考えていきたい。

──今シーズンも宇都宮のコアメンバーは同じです。チームの軸が変わらないことは、あなたにとってどんな意味がありますか?

プロになった時、自分がホームと感じられないようなところには行きたくなかった。第二のホームと思えるチームに入りたかった。そしてブレックスは、まさにそのように感じている。ナベ(渡邉裕規)、遠藤、勇太、安齋、鎌田(眞吾GM)、フジ(藤本光正代表取締役社長)、ジュン(小野順一/ 広報)、トシ(加藤敏章/ 通訳)とずっと一緒で、家族みたいなものだ。これは特に外国から来る選手にとって重要だ。多くの外国籍選手はシーズンが終わると早々に母国へと帰っていくものだ。でも、ブレックスは仲が良いので、シーズンが終わってすぐに解散とならない。このケミストリーは、接戦で勝ち抜くための助けになっている。これがブレックスメンタリティであり、僕たちはどんなに苦しくても勝利を決してあきらめない。

──第二のホームである宇都宮を離れて数カ月が経ちましたが、何が恋しいですか?

ジュンと会えないのが最も寂しいよ(笑)。彼は常に僕をハッピーにしてくれ、何かと助けてくれるからね。

──最後にファンへのメッセージをお願いします。

常にブレックスファンのサポートには本当に感謝している。シーズン終了後にファンのみんなにシーズン中のサポートについて感謝を伝える機会がなかったのが、残念だった。日本にいる選手たちが開幕に備えハードなトレーニングをしているのは分かっている。今は安全に気をつけて過ごし、新しいシーズンで盛り上がるための準備をしていてほしい。どんな状況になるのか不透明だけれど、いつも通りの練習をして、可能な限りハードにプレーする。ブレックスファン、Bリーグファンに会えるのが待ち遠しいよ。

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