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無虹彩症の少年に1万ドルのゴーグルをプレゼント

ジャズのジョー・イングルスが、ある男の子の人生を劇的に変えた。

イングルスが関わり合いを持った幼いファンは、ランドン・カーターという少年で、生まれつき目に光彩(カメラの絞りに相当する機能)を持っていない。そのため、眼前近くにあるものしかハッキリ見えず、あとはすべてぼやけた状態にある。

ランドン君のような視覚障害者を手助けする特殊な電子ゴーグルはある。このゴーグルを装着すると、視界に入ったものがゴーグル内のLEDスクリーンに映るのだが、1万ドル(約100万円)以上するので簡単にはてにはいらない。ランドン君はこれまで父親のスマートフォンを目にくっつけるようにしてジャズの試合を見ていた。

それでも、父親がジャズに問い合わせたところ、目が不自由な観客のためにゴーグルを会場で貸し出していることが分かり、昨年4月、ランドン君は初めて会場でNBAの試合観戦を堪能した。しかし、ゴーグルはあくまでレンタルで、試合が終われば返却しなければいけない。

この話を聞いて動いたのがイングルズだ。高価なゴーグルを自費で購入し、ランドン君にプレゼントした。この話を伝えた『Salt Lake Tribune』によれば、それからランドン君は映画、美術館に出掛けては、たくさんの物を実際に見る幸せを実感している。

そして3月15日、ランドン君はジャズ本拠地ヴィヴィント・スマート・ホーム・アリーナで行なわれたサンズ戦に招待され、イングルスと久々に対面。プレゼントされたゴーグルの構造上、あまり激しく頭を動かさない方がよく見えるため、父と2人で2階席からサンズ戦を観戦した。

4本の3ポイントシュートを含む17得点で勝利に貢献したイングルスは、試合後コートでのインタビューに応じ「子供が生まれれば、自分のこと以外についても考えるもの。ランドンのためにしたような行動は、これからもするつもりでいる」と語った。

大金を稼ぐNBA選手であっても、一人の少年のために、ここまでのことはなかなかできない。スポーツを生観戦できる『目』を手に入れたランドン君は、これからもジャズのホームゲームを観戦し、そしてイングルスらジャズの雄姿を、脳裏に焼き付けることになる。