両者一歩も譲らず、前半を終えて1点差の好ゲーム
川崎ブレイブサンダースがホームのとどろきアリーナに西宮ストークスを迎えた。前半を終えて1点リードと西宮に苦戦したが、大黒柱のニック・ファジーカスがフィールドゴール16本中13本と高確率でシュートを決めて35得点を記録、安定して得点を重ねた川崎が96-89で勝利した。
オン・ザ・コート数は互いに「2-1-1-2」を選択。西宮は今シーズン初めてオン・ザ・コート数を変更し、川崎に合わせた形となった。
序盤は西宮のシュートがよく決まり、点を取り合う展開が続く。それでも川崎はジョシュ・デービスがミスマッチから6得点、ファジーカスが10得点をこのクォーターで挙げ、インサイドの得点で圧倒した川崎が24-15とリードした。
だが第2クォーターに入ると、西宮がディフェンスからペースをつかむ。強度の高いアグレッシブなディフェンスでズレを作らせず、ディナイディフェンスで川崎の攻めを停滞させた。このクォーターだけで6個のターンオーバーを誘発し、それを得点につなげていく。オフェンスでは岡田優の連続3ポイントシュート、キャメロン・リドリーのインサイドでの得点で12-0と走り、開始5分で35-29と西宮が逆転した。
だが川崎は藤井祐眞が持ち味の激しいディフェンスで西宮からターンオーバーを誘発し、悪い流れを一変させる。連続で走った藤井がこのクォーターで10得点を荒稼ぎし、45-44と逆転して前半を終えた。
終盤まで得点ペースを落とさない川崎が逃げ切り
迎えた後半、互いに点を取り合う展開が続く。オン・ザ・コート「1」の状況で西宮はハーバート・ヒルが8得点、リドリーが4得点とインサイドで効率良く加点していく。攻め手を失った場面で外国籍選手の得点が伸び悩み、そこから崩れて負けパターンに陥ることが多かった西宮だが、インサイドの奮闘が目立ち食らいつく。
だが川崎は前半で2得点と沈黙していた辻直人が積極性を取り戻し、このクォーターだけで3本の3ポイントシュートを沈め、ファジーカスも難しいシュートを立て続けに沈めて、ダブルエースがともに11得点でチームを牽引した。
川崎が9点をリードして迎えた最終クォーター。西宮が再びディフェンスから接戦に持ち込む。特に松崎賢人が常に腰を低く保ち、足を使ったディナイディフェンスで川崎のパス回しを遮断した。このクォーターで5個のターンオーバーを誘発し、そこから6得点を挙げるなど拮抗した展開が続いた。
だが連動したオフェンスの中でファジーカスやジョシュ・デービスが優位な状況でボールを保持し、ファウルを誘発してフリースローで加点していく。実に2人で13本のフリースローを獲得し、そのうち12本を沈めリードを保った。
残り47秒、リドリーの3ポイントプレーとなるバスケット・カウントが決まり4点差と迫り、バーンズのスティールでポゼッションを得た西宮。だが直後のオフェンスでデービスにブロックショットを浴び勝負アリ。川崎はファウルゲームを乗り切り、苦戦しながらも西宮を退けた。
11連敗も内容が向上した西宮「収穫がたくさん」
勝利した川崎の北卓也ヘッドコーチは「96点取れていて、ニックは35点取れていますし、オフェンスは良いプレーができた」と一定の満足度を示した。それでも「ターンオーバーが16ありますし、第2クォーターにシュートで終わればいいところをターンオーバーをして、相手に勢いを与えてしまった。第4クォーターの終盤もシュートで終われず、ターンオーバーでイージーシュートをやられてしまい、西宮さんに『まだいけるぞ』というのを与えた」とコメントし、相手に付け入るスキを与えたオフェンスの終わり方に課題を残した。
キャプテンの篠山竜青は勝利したにもかかわらずどこか不満気。「反省点のほうが多いです。自分たちのプレーに満足いく結果は得られなかったです」と総括した。
一方、敗れはしたものの、大敗を喫した前節のレバンガ北海道戦から大きくステップアップした西宮。髙橋哲也ヘッドコーチは「負けてしまったのは残念でしたが、収穫もたくさんあって、実りのあるゲームでした」と試合を振り返った。
中2日というタフなスケジュールの中で、「いかにハーバード・ヒルとキャメロン・リドリーをオフェンスで使うかということ」にフォーカスして練習してきたという。ヒルが14得点、リドリーが18得点とインサイドでしっかり得点でき、その成果が表れたことがこの接戦を演出していた。
川崎は連勝を5に伸ばし、アルバルク東京と千葉ジェッツの背中をピッタリとマークした。西宮は健闘したとはいえ、これで11連敗。チャンピオンシップと残留プレーオフ、目的は違えど、ともに負けられない戦いが明日も続く。