「彼らのことを分かったつもりになっていた」
スパーズの指揮官グレッグ・ポポビッチは、アメリカ国内に広がる人種差別撲滅運動を支持する著名人の一人だ。先日も「我々白人こそが、権力に物を言うべきだ」と主張するなど、社会に変化をもたらす時期を迎えていると強調している。
1996年からスパーズを率いるポポビッチは、白人の彼が黒人選手の割合が多いNBAチームを指揮する難しさを理解している。『New York Times』の取材を受けたポポビッチは、球団スタッフとのミーティングで、黒人スタッフが過去に受けた人種差別体験を聞いて驚き、涙を流したと語った。
「もしコーチが白人で、チームの大半が黒人なら、信頼を勝ち取らないといけない。嘘偽りない気持ちで選手と向き合わないといけない。彼らの境遇を理解しないといけないんだ」
「彼らがどういう境遇で育ってきたのか、それを理解しないといけない。学校で黒人は彼だけだったかもしれないし、7歳の時に人が殺されるところを見たかもしれない。本当に涙が出る話だ」
「みんなが考えるよりも深く、複雑な問題だ。私自身もあらためて考えるようになった。自分はどれだけ恵まれていて、彼らのことを分かったつもりになっていたかということをね。もっと努力しないといけない。もっと認識しないといけない。だからこそ、(白人が)居心地が悪くても人前に出て主張しないといけないと思った」