浜口炎のコーチングフィロソフィー(前編)「いかにチームショットを打てるか」

2018/03/01
Bリーグ&国内
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取材=古後登志夫 文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

京都ハンナリーズを率いる浜口炎ヘッドコーチは1969年生まれの48歳。指導者としてはまだ若いが、bjリーグ初年度の2005年から仙台89ERSのヘッドコーチを務めており、仙台で6シーズン、そして京都で今が7シーズン目とヘッドコーチとしてのキャリアは長い。その浜口ヘッドコーチに、チーム作りのポリシーや彼自身のコーチキャリア、バスケット観を語ってもらった。

京都ハンナリーズ指揮官に聞くチームの現状

──38試合を終えて22勝16敗。まずは今のチーム状況をどう見ているのかを教えてください。

少しずつチームとしてステップアップしてきていると思います。選手の半数が入れ替わる状況でしたが、最初は西地区のチャンピオンを目指すこと、そして昨シーズンに出ることのできなかったチャンピオンシップ出場を目標にしてスタートしました。現状では琉球と8ゲーム開いています。そこを何とか4~5ゲーム差に持っていこうという認識でやっています。

──選手の顔ぶれが大きく変わり、開幕時点では期待と不安が半々だったと思いますが、どういうことにこだわってシーズンを戦おうと思っていましたか?

まずはチームとしてディフェンスを頑張って、そこからオフェンスにつなげたいという考えです。ウチは一人のスーパースターに預けてどうにかしてもらうチームではないので、みんなでボールをシェアしながら、いかにチームショットを打てるかを目標にしました。

そのオフェンスは非常にうまく行っています。ボールをシェアしながらリングにアタックする、ファウルを得てフリースローをもらうことを目標にしていて、今は被ファウル数(21.3)もフリースローラインに立つ数(22.6)も京都がB1の18チームで1位なんです。どちらも1試合平均20以上もらっているのは京都だけで、その意味では成功しています。

ボールをシェアしながら3ポイントシュートを打つのではなくて、まずリングにアタックしようという『アタック・ザ・バスケット』を目指し、それがチームに浸透して明確にできています。

──伊藤達哉選手、綿貫瞬選手、片岡大晴選手など日本人にもリングにアタックする意識が強い印象があります。彼らの活躍は大きな要因になっていそうですね。

その3人はものすごく大きな要因になっています。それに加えてジュリアン・マブンガとジョシュア・スミスは1対1の力で自分でファウルをもらえる選手なので、ウチはアタックできているし、ファウルももらえています。

また、そこが起点になるのでアウトサイド陣がワイドオープンになる機会が増えています。これを続けて行けばインサイドアウトがよりバランス良くできるようなチームになり、相手からするとなかなか的が絞りづらいバスケットができるんじゃないかと思います。

前半戦はディフェンスの意識が数字に反映されず

──では、うまく行っていない部分はどこでしょうか?

チームディフェンスです。前半戦が終わった時点でのチームのディフェンス力は18チーム中17位でした。みんなハードにディフェンスする意識もあるし、オフェンスよりもディフェンスマインドの選手が多いと思うんですけど、それがなかなか数字に反映されていない前半戦でした。

──守備のチームであるはずの京都がディフェンスで苦労するのは意外です。

マーカス・ダブは昨シーズンもスティール2位のディフェンスプレーヤーで、彼がいるとピック&ロールのディフェンスでもトランジションディフェンスでも機能する時間が多いんです。その彼がインジュアリーリストに載っている期間が1カ月ちょっとあったのが痛かったですね。

その間にスミスのプレータイムを伸ばしました。スミスを長く使うプラスもあるのですが、どうしても130kg、140kgの体格なので、頑張って戻る意識はあってもトランジションディフェンスでやられてしまう。リーグ自体でピック&ロールが多いので、そこにスミスが対応できなくてディフェンス面でトラブルになっているところもありました。

そこをチームでお互いを理解しながら悪い部分をカバーする、という改善を今やっているところです。ピック&ロールを1対2、2対2で処理するのではなく、5対5のチームディフェンスで守ろうという考え方です。スミスが出ている時はヘルプを多くして、ボールマンにもプレッシャーをかけて、やりたいようにやらせない。これまではボールマンにそのままフィニッシュされたり、ピック&ロールからポケットパスなどのイージーレイアップが多かったんですけど、そこをヘルプしてキックアウトさせて、パーセンテージが落ちるショットを打たせたいです。

「チームとしての安定感の差はディフェンス力の差」

──浜口さんが描くチーム像に対して、今のチームはどのくらいまで仕上がっていますか?

難しい質問ですが、そうですね……総合的には7割くらいです。8割できれば合格だと思うんですよね。足りないのはディフェンスです。後半戦にどれだけカムバックしたか分かりませんが、まだ順位では下でしょう。

西地区で言えば琉球との差はディフェンス力、あとはリバウンドですね。インサイド陣のディフェンスも非常にアグレッシブだし動けるし、みんなアクティブですよね。同じカンファレンスで対戦する回数も多いので、チームとしての安定感の差はディフェンス力の差だと感じます。

ただ、一気にゲーム差を縮めることはできないので、一戦一戦を大切にしながらやっています。ディフェンスさえ安定すればゲームになると言うか、どのチームとやっても戦える可能性が高いと思います。まずはそこをしっかり安定させられるように頑張ります。

浜口炎のコーチングフィロソフィー(後編)
「バスケット選手をどんなブランドにするかは僕たち次第」