昨夏にアルバルク東京から滋賀レイクスターズにレンタル移籍したシェーファー・アヴィ幸樹は、今シーズンは41試合すべてに出場し、平均プレータイム15.2分で4.1得点、4.5リバウンドを記録。チームが勝ち星を増やすのと同じように、シェーファー自身も試合を重ねるごとに成長した。日本代表選手にも選ばれているシェーファーに、自らが目指す選手像を語ってもらった。
「スキルの成長より、試合に慣れたのが大きかった」
──ようやく各地で緊急事態宣言が解除されてきましたが、最近はどのように過ごしていますか?
クラブの施設は1人ずつの制限を設けた上で使えるので、個人練習はできています。ただ、1人なのでシューティングぐらいしかできてなくて、バスケらしいバスケはできていないので物足りないですね。練習以外だと家からほとんど出ないので、基本的にはゲームをしています(笑)。後は最近流行っている韓国ドラマを見たりしていますね。
──昨夏にA東京から滋賀にレンタル移籍しました。プレータイムを含め大きな変化があった1年だったと思いますが、一番成長したと実感した部分はどこですか?
アルバルクでの1年目はシーズン途中に加入してプレータイムもほとんどなかったので、実際にシーズンをやり切ったという感覚はほとんどなくて、今シーズンがキャリア1年目という感覚でした。実際に初めて1シーズンを通してプレーしてみて、スキルレベルの成長もありましたけど、試合に慣れたのが大きかったです。
A東京の時は試合にもあまり出られなかったので、出ることで少し満足していたというか。いざ試合に出た時に「何かしよう」というのではなくて、ただ試合に出るだけでした。今シーズンは試合の中でどう成長するか、どういうプレーをするかという意識に変わりました。A東京の時はコート上でも慌ただしい感じがあって、いまいち試合に入り込めなかったことがありましたが、滋賀ではそういう部分もなくなって、試合感覚を養うことができましたね。
「フィジカルで圧倒された選手はいなかった」
──実際に1シーズンをプレーして難しかったことはありますか?
12月ぐらいに0点とか、取れても2点という試合が続いたんです。もちろん、長いシーズンの中では上手くいかないこともあると思います。ただ、自分の中で上手く切り替えることができなくて「なんで上手くいかないんだ?」と、どんどんフラストレーションが溜まってしまいました。
外国籍選手が僕にコーチング的な感じでよく話してくれるんですが、その時も「もっとアグレッシブに行け」と言ってくれました。その時期を抜け出した最初のきっかけは新潟アルビレックスBB戦で、今まで仕掛けていなかったポストからの1on1をやってみたら成功して、そこから徐々に良くなったんです。もともとセルフィッシュなタイプではなく、周りに合わせるプレースタイルだったんですが、天皇杯でもアグレッシブに自分からプレーしたら意外と行けて、徐々に自信をつけることができました。もちろん、周りに合わせたり、リバウンドを取るという自分の根本的なプレースタイルは変わっていませんが、自分を殺しすぎずに自分を出すということを意識するようになりました。
──シェーファー選手はポジション的にも外国籍選手とプレーすることが多いです。外国籍選手には経験豊富で得点力に長けた選手が多いですが、負けられないという思いはありますか?
外国籍選手と一緒に試合に出て、僕より彼らにボールが集まるのは当然だと思っています。ポジション的にもどちらかと言えば脇役だと思っていますが、もっとボールをもらって、中心的存在になりたいとは思っています。でも今はまだプロ2年目が終わったばかりなので、僕の中では3、4年後には外国籍選手と同等かそれ以上の選手になっているつもりです。
今のBリーグの現状だと外国籍選手が最初に試合に出て、彼らがベンチに下がった時に日本人選手が出ることが多いですよね。僕はいろいろな外国籍選手と話しますが、たいていの外国籍選手は日本人選手が出てきたらちょっと気を休めたり、逆に今が得点を取るチャンスだ、みたいな余裕を感じているみたいなんです。だから、僕は日本人選手という扱いではなくて、外国籍選手からは僕が出ても気が休めない、むしろ嫌だなと思われるぐらいの選手になることが目標です。
──それはちょっと悔しいですね。目標に近づくためには、どこを強化しますか?
今シーズン最後の無観客で行ったA東京戦で、ウチは外国籍選手がいなかったので僕にボールが集まりました。特にGAME1では得点もリバウンドも取れることを証明できて、今までやってきたことが間違っていなかったんだと分かりました。ただ、シュート確率で言うと良くはなかったので、ゴール周りでもっと確実に決められるようにパーセンテージを上げたいですね。試合後にコーチと話したり映像を見ても、自分のシュートセレクション自体は悪くなかったので、今やっていることの精度を上げたいです。
フィジカル面は彼らを相手にしても戦えた手応えがあって、むしろ今シーズンはフィジカルだけは通用したかなという感じもあります。もちろん、体重差もあるので押し込まれてしまう時はありますが、それはそれで方向付けしてチームで守っているので、基本的にフィジカルで圧倒された選手はいなかったですね。
「塁と帰化選手の次に起用される選手になることが目標」
──ちなみに、今シーズンにマッチアップした中で、一番大変だった選手は誰ですか?
一人には決められないですが、(ダバンテ)ガードナー選手はあのサイズで俊敏に動くのですごく厄介な選手ですね。ジョーダン・ヒース選手も中も外もできるから常に意識していないとコンテストができないです。(デイヴィッド)サイモン選手もアレックス(カーク)も上手くて止めづらいです。あとはセバスチャン・サイズ選手で、上手いのはもちろんだけど、とにかく常に動き続けるんです。彼がヘルプに行った時に僕にボールが回ってきてダンクしようと思っても、もうコンテストされていたりして。常にファストブレイクで走っていたりもするし。僕も走る方ですけど、常に走って動き回る彼をマークするのは大変です(笑)。
──それでも普段からエース級の選手とマッチアップできていることは、良い経験になりますね。
そうですね。本当に自分のためになっていると思います。この1年で本当にいろいろな経験ができて、自分でも変わったなと思います。来シーズンもBリーグが無事に開幕できて、ちゃんと1シーズン通してプレーできたら、自分でも良いレベルまで成長できると思っています。
──来年に延期された東京オリンピックも意識していると思いますが、個人的な目標を教えてください。
今シーズンは新人王という明確な目標がありました。来年はそういう明確な目標はないですけど、日本代表では(竹内)譲次さんと(竹内)公輔さんを抜いて、僕が先に試合に出ることです。(八村)塁と帰化選手の次に起用される選手になるのが目標です。Bリーグでは、日本人ビッグマンの中で一番多くリバウンドを取ることですね。
──最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
中途半端に終わってしまったシーズンだったので悲しいですけど、レイクスの歴史でも天皇杯でベスト4は初めてのことでした。チームとしても中断がなければ本当に地区優勝もチャンピオンシップも目指せたと思うので、すごく良いシーズンだったと思います。僕としてもすごく成長できて、初めて1シーズンを開幕から最後までやり終えて、得るものが大きいシーズンだったので、すごく楽しかったです。本当に応援ありがとうございました。
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