マイケル・ジョーダン

映像制作の分野でも一流だったコービー

今週配信されたNetflixのドキュメンタリー作品『The Last Dance』エピソード5には、若き日のコービー・ブライアントが登場する。マイケル・ジョーダンと1998年のオールスターゲームで対戦した当時の様子が描かれ、生前に収録されたコービーのインタビューも含まれる。「マイケルに勝ったねと言われて腹が立った。すべて彼に教わったことだ。俺が5回の優勝を達成できたのは、優れたアドバイスで導いてくれたからだ」と、コービーはジョーダンについて語っている。

そのコービーは、この作品にプロデューサーとして携わることを望んでいた。

『ESPN』によれば、コービーはジョーダンの家族に会いに行って直談判したという。あきらめきれなかったコービーは、『The Last Dance』のエグゼクティブプロデューサーを務めるマイク・コリンにも自分を売り込んだほど、この作品にスタッフとしてかかわることを強く望んだ。

コービーとジョーダンの関係性は特別で「マイケルは自分にとって兄貴みたいな存在。そういう人は今までいなかった。マイケル・ジョーダンがいなければ、コービー・ブライアントも存在していない」とコービーは話す。また、ジョーダンもコービーの追悼式で彼を「弟」と言い、涙を流しながら「彼のことを理解するにつれて、私は彼にとって最高の兄のような存在になりたいと思ったんだ」とまで語った。

コービーは2016年に現役を引退してから映像制作に力を入れ、アニメーション作品『Dear Basketball』はアカデミー賞のベストアニメーテッド・ショートフィルム賞(短編アニメ賞)を受賞した。

実の兄のようにジョーダンを慕ったコービーがプロデューサーとしてかかわっていたら、『The Last Dance』はどのような構成になっていただろうか。彼が今年の1月下旬に事故死した以上、それを知る術はないが、きっと見応えのある作品に仕上がったに違いない。