写真=Getty Images

ダンカン、T-Mac、グラント・ヒルの『ビッグ3』は幻に

現在のNBAでは「優勝するには最低でもスター選手3人が必要」という考え方が定着している。この『ビッグ3』案が定着する前の2000年オフ、マジックはフリーエージェントだったティム・ダンカン、グラント・ヒル、トレイシー・マグレイディの獲得を狙っていた。

実際に獲得できたのはマグレイディとヒルで、マジックは最も大きな獲物を取り損ねた。ダンカンはスパーズと再契約し、その後はスパーズを3度優勝に導くことになる。当時、ダンカンがマジック移籍を受け入れなかった理由は様々取り沙汰されたが、スパーズでダンカンとチームメートだったブルース・ボウエンが、興味深い話を明かした。

その内容が実にダンカンらしい。ダンカンは当時マジックのヘッドコーチだったドック・リバースに、シーズン中に何度かは家族をチーム専用機に同乗させ、遠征に連れていきたいと願い出たそうだ。だが、リバースの答えは「ノー」で、ダンカンは結果的にスパーズ残留を決断した。

ボウエンの話が事実だとしても、このことが移籍の成否を決めたとは限らない。だが、キャリアを左右する大きな決断は、些細な条件で決まることもある。

もしリバースがダンカンの希望を叶えていたら、そして加えてヒルがマジック時代にベストコンディションを維持できていたら、NBAの歴史は大きく変わっていたかもしれない。