文・写真=鈴木栄一

一度もビハインドを背負わない完勝劇

12月22日、川崎ブレイブサンダースが、ホームのとどろきアリーナで大阪エヴェッサと対戦した。20日の試合で故障したジョシュ・デービスが大事をとって欠場する中、代役として先発出場したジュフ・バンバが18得点を挙げ、成功率55.7%と高確率でシュートを沈め89-73と快勝。これで10月中旬以来となる3連勝を達成している。

第1クォーター、川崎はニック・ファジーカスが10得点、バンバが8得点などゴール下で着実に加点。大阪の拙攻にも助けられ、23-12といきなり2桁のリードを奪う。第2クォーター、オン・ザ・コート「1」の時間帯でファジーカスを休ませてバンバを起用すると、熊谷尚也を中心にその間隙を突かれ1点差にまで肉薄される。それでも川崎は藤井祐眞の連続得点、さらにコートに戻ったファジーカスの働きで再びリードを広げ、前半を41-33で折り返した。

そして第3クォーター、ここで川崎は前半0得点、シュート試投数自体も1本のみと存在感のなかった辻直人が大暴れ。開始約1分にゴール下へのアタックでバスケット・カウントを決めて勢いに乗ると、このクォーターだけで3ポイント4本中3本成功を含む計15得点を挙げる。

この辻の活躍で一気にリードを21点にまで広げた川崎が楽々と逃げ切った。

前半の守備の緩さが第3クォーターを招く

勝敗を分けた第3クォーターについて、川崎の北卓也ヘッドコーチはこう振り返る。「辻はここ数試合、良い活躍をしてくれています。うまくスクリーンを使ってのズレからシュートを打っていました。前半から大阪さんのディフェンスにアジャストしてくれたので15点を取れたと思います。あとはディフェンスで、前からプレッシャーをかけて自分たちのポゼッションにできていました」

一方、大阪の桶谷大ヘッドコーチは、前半の守備の緩さが第3クォーターを招いたと語る。「前半の段階で彼らがターンオーバーをしているのに、自分たちのディフェンスの遂行力が低くて、やられてはいけないところをやられてしまい、気持ち良くさせてしまった選手が何人かいました。その中で第3クォーターに入って、彼らに自分たちのターンオーバーがなくなったらプレーできるというメンタル的な余裕を与えてしまった。そして辻くんの15得点です。簡単にマークが離れた状態でボールを持たせ、気持ちよくプレーさせてしまった」

快勝も「改善しないと上を目指すのは厳しい」

余裕の展開で勝った川崎ではあるが、北ヘッドコーチは内容に課題が多かったと辛口の総括。「73点に抑えているので、ディフェンスもまあまあかと思いますが、オフェンスのターンオーバーが20。特に前半が13でした。確かに大阪さんのプレッシャーもありましたが、自分たちで簡単にポゼッションを与えていると思いますのでもったいない。ボールを大切にしないというところを改善していかないと、上を目指すには厳しいです」

23日の試合、川崎が連勝を伸ばすか。それとも大阪がこの日の課題を修正し「強いチームに対しては、最初から主導権をとって相手をイライラさせることができないと」と桶谷ヘッドコーチが語る展開に持っていけるのか。まずは出だしに注目していきたい。