文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦 制作協力=三井不動産

Wリーグのトップを争うJX-ENEOSとトヨタの中心選手であり、日本代表でも存在感を見せる2人は、桜花学園の同級生。卒業後も『絆』は変わらず、2人はトッププレーヤーとして女子バスケットボールを盛り上げる存在となっている。12月16日のWリーグ三井不動産オールスター出場のために再会した2人に、ウインターカップの思い出、日本代表での抱負を聞いた。

(前編)「日本代表もWリーグも、私たちが女子バスケを引っ張ります!」

水島「対戦相手にいてほしくないのが本音(笑)」

──大学時代の水島選手は、Wリーグですぐ活躍し始めた渡嘉敷選手をどう見ていましたか?

水島  来夢と岡本、同期が2人JX-ENEOSにいたので、毎年応援しに行っていましたよ。
渡嘉敷 いたよね。普通に観客席に来てくれていました。
水島  WNBAに挑戦する時もそれと一緒で「頑張ってほしいな」って。
渡嘉敷 よし、頑張るよ!
水島  できればそっちで頑張ってほしいです。トヨタの選手としては、やっぱり対戦相手にいてほしくないのが本音(笑)。でも、JX-ENEOSで活躍してWNBAでも挑戦しているのはやっぱりすごいと思います。
渡嘉敷 シアトルにも差し入れを持って来てくれたんですよ。
水島  日本代表のアメリカ遠征でシアトルに行った時ですね。
渡嘉敷 普段から連絡は取り合ってるんです。代表の情報もイチに教えてもらう(笑)。
水島  電話はほとんどしないけど、メッセージは結構やってるね。
渡嘉敷 今年の4月には仲の良い4人で連絡を取り合って、みんな同じ服を着てディズニーランドに行ったり。それはメッセージで空いてる日を確認して、「ここ行けるじゃん、行くぞ!」って。そのために連絡を取り合ってます。
水島  次に遊びに行くのも決まってるんです。何をするかは未定ですけど、スケジュールだけ押さえてあって。

──渡嘉敷選手と水島選手も大活躍したウインターカップが今年も始まります。3連覇しているので良い思い出ばかりだと思いますが、『2人の思い出』はどんなものですか?

渡嘉敷  高校2年の時のウインターカップ決勝ですね。私はケガをしてて何とかコートに立っていた感じで、試合中にもう足が痛くて走れないと思ったんです。それでパッと前を見た時に、前を走っていたイチが振り向いて「頑張れ!」って言ってくれたんですよ。私はそれをすごく覚えてて。覚えてないでしょ?
水島  覚えてるよ。思い出すだけで泣けちゃう(涙)。
渡嘉敷 だからウインターカップの取材を受けるたびにこのエピソードは話すんですよ。「チームメートに励ましてもらった」って。
水島  いや、水島って名前を出してよ。「水島が」って(笑)。
渡嘉敷 でも、先を走ってたのに振り返ってわざわざ励ましてくれたのは、本当に忘れられないエピソードなんです。
水島  私が覚えているのは3年生のウインターカップで私から来夢にアリウープっぽいパスをしたやつ。
渡嘉敷 あった! ダンクではないけど、空中でパスを受けてタップで決めたね。
水島  そうそう。でも、そのシュートを決めた後、私に指差ししてくれたらしいんですけど、私は見ていない(笑)。
渡嘉敷 会場もワッと盛り上がって、自分もノッたのでアピールしたんですけど(笑)。
水島  ディフェンスに戻らなきゃいけなかったので、そっちに必死で。
渡嘉敷 今はちゃんとやってる? トヨタの仲間にそういうことやってたら嫌われるよ?
水島  やってるよ(笑)。

渡嘉敷「私たちの代が頑張って盛り上げなきゃいけない」

──その2人が今は日本代表で、来年にはワールドカップを戦い、2020年の東京オリンピックに挑戦します。代表での抱負をあらためて聞かせてください。

渡嘉敷 チームを強くすることを第一に考えて、そのために自分をどう成長させられるかを考えたいです。来年のワールドカップでしっかり日本代表として結果を出したいし、それに貢献したいです。
水島  前回の代表チームには来夢がいなかったし、今回の三井不動産オールスターも別のチームで、なかなか一緒にプレーする機会がないんです。私の夢の一つとして、一緒にプレーしたいので頑張りたいです。
渡嘉敷 私もそう思ってるって!
水島  前回の代表では一緒にできなかったもんね。いずれにしても来夢は日本代表になくてはならない選手ですが、私はこれからどこまで頑張れるかなので。トムさん(ホーバス/日本代表ヘッドコーチ)にこれからも代表に呼んでもらえるように、日々頑張ります。
渡嘉敷 でも、アジアカップではおいしいところ全部もってったじゃん。
水島  それは本当に、あそこだけ活躍したのが申し訳ないです。
渡嘉敷 でも私はずっと、「イチが1試合30得点すれば勝てる」って言ってたんですよ。まあアジアカップは置いといて、私はWリーグでも日本代表でも、私たちの代が頑張って盛り上げなきゃいけないと考えているので、イチに限らず一人でも多く代表に入って、活躍する機会があるといいなと思っています。だからイチとは一緒に引っ張っていきたいです。
水島  頑張ります!

水島「もっとバスケットが広がって身近になってほしい」

──リオ五輪での活躍があって、また2020年には自国開催のオリンピックがあるということで、女子日本代表への関心は以前より高まっていると思います。そういうことをお2人が実感することはありますか?

渡嘉敷 練習着にスポンサーさんの名前が入るのですが、代表に行くたびに「増えたなあ」と思います。日本のバスケが強くなり盛り上がっていくのは、支えてくださる人たちがいてこそであって、自分たちだけでやるのは絶対に無理なので。今回のWリーグ三井不動産オールスターも三井不動産さんにサポートしてもらいましたし、皆さんのおかげで盛り上がっていると思います。
水島  リオの代表の皆さんの活躍があったからこそ、スポンサーさんもより盛り上げてくれていると思います。私としても、もっとバスケットが広がって身近になってほしいと思っているので、それに貢献したいです。男子に負けたくないなあって。
渡嘉敷 ホントホント。私もいつもそれを言う。
水島  男子は確かに「すごっ!」って思うシーンが多いですけど、女子のひたむきなバスケットも、見てもらえればきっと面白いので。
渡嘉敷 そう、違う良さがあるよね。カッコ良いだけじゃなくて、別の良さが女子にもあるよ、というのは言いたいです。男子はちょいちょいテレビでやってるけど、女子はまだ少ないし。
水島  代表でも、もっといっぱい試合をやりたいです。カワイイだけじゃないんで!
渡嘉敷 それ大丈夫?(笑)
水島  ひたむき、そしてチームワークといった部分は絶対に面白いので、日本代表もWリーグも会場で一度見てもらいたいです。
渡嘉敷 男子は個人でバババーンってカッコ良いけど、女子はひたむきにチームワークで頑張ってます。代表の試合で見たようなスピーディーで目の離せないバスケットはWリーグでもやっているので、是非見に来てください。