文・写真=鈴木栄一

勝負どころの3ポイントシュートとファストブレイク

12月16日、千葉ジェッツがホームの船橋アリーナに川崎ブレイブサンダースを迎えた。序盤からチームの持ち味である堅いディフェンスから速攻を繰り出す得意の展開に持ち込むと、すべてのクォーターでリードを奪う余裕の展開で79-57と圧勝した。

第1クォーター、千葉は2点リードの残り4分半から原修太の3ポイントシュート、ファストブレイクによる連続得点。その後も、攻守の素早い切り替えからの速攻やレオ・ライオンズの3ポイントシュートで加点し、20-16と先行して終える。第2クォーターから膠着状態に入るが、残り約3分からスティール奪取からの速攻でギャビン・エドワーズがバスケット・カウントを2本連続で成功して突き放し、千葉が12点のリードで前半を終えた。

第3クォーターに入っても千葉の勢いは止まらない。このクォーター、川崎のシュートを17本中5本成功に抑えると、マイケル・パーカーがゴール下でのシュートを着実に決め、このクォーターで計13得点の大暴れ。このクォーターで点差を21点にまで広げ、第4クォーターも余裕の試合運びで逃げ切った。

両指揮官がポイントに挙げた「第2クォーターの入り」

この試合、千葉はエドワーズが28得点12バウンド、パーカーが17得点8リバウンド。さらに石井講祐が10月27日以来となる2桁得点(11点)を記録。富樫勇樹が7アシストもまさかの0得点に終わったが、得点源の沈黙を感じさせない出来となった。

逆に川崎はニック・ファジーカスが21得点10リバウンド、篠山竜青が11得点5アシストと気を吐くも、辻直人が無得点。千葉に比べるとベンチメンバーの得点力の課題が浮き彫りになった。

「全く良いところがなく、千葉さんに良いディフェンスをされてしまいました」と川崎の北卓也ヘッドコーチは語る。「千葉さんは(この試合の前まで)第1クォーターでリードすると12勝0敗というデータがあるので、出だしは大事と伝えていました。あれだけ走られた中で、粘って4点差で終えたのはまずまずでしたが、第2クォーターの入りが良くなかったです」と、試合の明暗を分けたポイントとして、2桁のリードをつけられた第2クォーターを挙た。

一方、千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「第1クォーター、まずかったのはオフェンスリバウンドを7本与えてしまったこと。それを第2クォーターは相手に与えなかった。そして、トランディションオフェンスができたことが点差が開いた要因」と第2クォーターを分析。オン・ザ・コートの数で上回るサイズの有利を生かし、リバウンド争いで主導権を握ったことが大きかったと振り返った。

「このレベルでは、頑張るだけでは勝負になりません」

試合全体を通してみれば、やはりディフェンスの出来が千葉の大勝を導いたのは間違いない。大野ヘッドコーチが、「第1クォーターからエナジーを持ってディフェンスをハードにできた。それを試合を通して続けることができました」と語ったのに対し、北ヘッドコーチは次のような厳しいコメントを述べている。

「前半から追いかける展開になりましたが、追いかけるためにはディフェンスをやらなければいけない。後半に頑張ってはいましたが、ただ頑張っているだけ。ディフェンスのチームルールをしっかり守りながらプレーすることが大事です。頑張ってはいますが、やられてはいけないところで簡単にやられてしまう。もっと頭を使わないと。このレベルでは、頑張るだけでは勝負になりません」

ただ、完勝だった千葉も、大野ヘッドコーチは「今シーズン、2試合ともディフェンスが良かった節が1回もない。40分間ではなく、80分間コートで戦う姿勢を見せたい」と引き締める。

振り返れば、千葉は11月11日、12日に行われたアルバルク東京との第8節、11日に95-59と圧勝した翌日には67-77で敗れている。明日、再びの堅守で連勝できるかは、チームがもう一つ上のレベルにステップアップできるかどうかの試金石となる。川崎は言うまでもなく連敗は何としても避けたいところ。今日以上に両チームの意地と意地がぶつかり合う激戦になりそうだ。