ケガ人続出のサンロッカーズ渋谷、日増しに存在感を増すベテランの清水太志郎

2017/12/11
Bリーグ&国内
259

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「当たり前のパスを当たり前のタイミングで」

サンロッカーズ渋谷は12月9日に行われた千葉ジェッツとの初戦に勝利し10連勝を達成した。広瀬健太が前節の川崎ブレイブサンダーズ戦で負傷し戦線離脱となったが、安定したディフェンスを軸にすべての選手が持ち味を発揮して強豪を撃破した。

36歳の清水太志郎はビハインドを背負った第1クォーター途中に投入されてゲームの流れを変え、第2クォーターではボールの中継役を担い3アシストを記録するなど、ベテランらしい活躍で要所を締めた。

チームでただ1人無得点だったが、「それが何か?」といった余裕の笑顔で試合を振り返った。「スタートダッシュをされて嫌な雰囲気だったんですけど、チームとしてしっかりカムバックできました。やるべきことをみんなが見つめ直して、良い雰囲気でやれましたね」

清水は身体能力で勝負するタイプではない。だがそれを自覚しているからこそ、無駄のない洗練されたプレーができる。「僕は速いわけでもなく、跳ぶわけでもない。今日のアシストも誰かを抜いてナイスパスをしたわけではなく、当たり前のパスを当たり前のタイミングで出しただけ」

言うは易く行うは難しというが、それを体現できるからこそB1の舞台で戦うことができる。「欲しい時に的確にパスをする、欲しいときに来るというのは受け手にとって気持ち良いと思います。見てくれてないというのが一番のストレスになるので。もし来なかったとしても見てくれていれば、そのストレスはありません」とパスの受け手の心情を理解し、チームの潤滑油となっていた。

指揮官の勝久ジェフリーもそうしたスタッツに表れない部分を称えている。「オフェンスが消極的になっている時に攻め気を見せてくれたり、ファウルをもらったり、そういう姿勢を他の選手に示してくれます。重要な存在です」

「まあ、うまく選手が転がされているというか」

昨シーズンのSR渋谷はチャンピオンシップに出場したものの、チームの雰囲気は決して良くはなかったと選手たちは感じていた。だが今シーズンはチームの結束力が強く、『チーム一丸』と表現するのに相応しい雰囲気を醸し出している。

「コミュニケーションが良く取れています。アシスタントコーチ陣も多いので、ガス抜きじゃないですけど選手がストレスを溜める前にうまく話しかけてくれてると思います。ジェフリーは去年アシスタントコーチをやっていてみんなのことを分かってますし、ム―さん(伊佐勉)はキャリアもあるし、すごく話しやすい雰囲気を出してくれます。より選手に寄り添いながら、うまくコーチとのパイプになってますね」

「去年はプレータイムに偏りがありましたが、今はいつ呼ばれるか分からないっていう、いつでもreadyしてないといけないことが良い方向に作用しているのもあります」と言う清水。「まあ、うまく選手が転がされているというか」と話す笑顔が、スタッフを含めたチームの信頼関係を証明していた。

初戦に勝利したものの第2戦は千葉の返り討ちに遭い、連勝は10でストップ。第1戦で負傷した長谷川智也が欠場したこともあり、8人でローテーションを回さなければならず、最年長の清水が最長のプレータイムという苦しい台所事情となった

僕が得点を取らなくてもチーム全体の得点を維持できるようにしたい」と清水は語っていたが、大事にしている肝心のディフェンスが崩れ100点ゲームを食らった。

再び試練が訪れたSR渋谷。それでも勝久コーチは「誰かがケガをした時に他の選手がステップアップして経験を積んでいることが、逆に強みになってきている」と決して悲観的になってはいない。このような逆境に置かれた時こそベテランの力が求められる。「自分自身の役割を求められる、その割合も多くなっていきます」と語る清水は、これまでに培ってきた多くの経験を駆使して困難に立ち向かっていく。