ファウルゲームからの劇的な逆転勝利
12月2日、サンロッカーズ渋谷が敵地で川崎ブレイブサンダーズと対戦。ロバート・サクレが残り3秒に逆転の3ポイントシュートを沈めたSR渋谷が78-77で激戦を制した。これでSR渋谷は第1クォーター(23-6)で奪った大量リードを守って逃げ切った前日の79-70に続いて勝利し、連勝を9に伸ばしている。
第1クォーター、SR渋谷はこのクォーターだけで計6スティールとターンオーバーを量産して得点へとつなぎ、24-16とリードを奪う。しかし、第2クォーターに入ると、川崎がこの日19得点を挙げた藤井祐眞の活躍などで盛り返しSR渋谷の1点リードで前半を終える。
第3クォーターに入ると、川崎は勢いに乗りそれぞれ9得点を挙げたニック・ファジーカス、藤井の奮闘により残り約5分で11点のリードと突き放しにかかる。だが、SR渋谷はここからベンドラメ礼生、清水太志太郎の3ポイントシュートで応戦。川崎の57-56と全くの互角で終える。
第4クォーターに入っても僅差で推移する熱戦となるが、川崎は残り約20秒にファジーカスのシュートで3点を勝ち越す。その後、SR渋谷はベンドラメが2点シュートを決めた後、ファウルゲームをしかけ辻直人がフリースローを得る。しかし、ここで辻は2本目を失敗。
これでスコアは77-75。残り11秒、このリバウンドを取ったSR渋谷は2点を追う状況でオフェンスを始めると、ドライブで切れ込んだベンドラメが相手ディフェンスを引き付けて、アウトサイドでノーマークになったサクレにパス。そしてインサイドを主戦場とするサクレが放った予想外の3ポイントシュートはボードに跳ね返って決まり、SR渋谷が死闘に終止符を打った。
「我々のファンの声援がものすごく心強かったです」
SR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは、「全員で勝ち取った勝利。特にベンチメンバーが、ケガで出られない選手の分もしっかりカバーしてくれました。苦しい時間帯でもあきらめず、気持ちを強く持って戦うことができた。そしてアウェーにもかかわらず、場面場面で聞こえる『ゴー・サンロッカーズ!!』と、我々のファンの声援がものすごく心強かったです」とコメント。
ベンチメンバーの奮闘に関しては、この試合で要所での3ポイントシュート成功を含む11得点を挙げた清水、試合途中で負傷した広瀬健太の代役を務め、約20分の出場時間で貢献した菊池真人について次のように称えている。
「清水は今日3ポイントが入り、ディフェンスで相手のエースにつくなど、すぐに見て分かる活躍でした。ただ、スタッツに出てこない、ちょっとしたことですが、相手に思うようにプレーさせないことをやってくれます。それを他の選手が見て、どれだけ数字に表れないプレーが良い影響をもたらすのか伝えてくれる貴重な存在です。菊池はルーズボールや、パスカットなどチームに勢いを与えるプレーをしてくれる。2人とも出られなかった選手の穴を本当によく埋めてくれたと思います」
そして指揮官は、サクレのゲームウィナーとなる3ポイントシュートに、「2点差だったので、3ポイントでなくとも良かったですが、彼は練習でよく3ポイントを打っています。入って良かったです」と必ずしも意図したものではなかったが、決めたことに驚きはなかったと締めている。
殊勲のサクレ「自信はありました」
本日のヒーローであるサクレは、「あの状況で、自分でシュートを打ちたい気持ちを持っていました。自分で決めきる自信はありました。思いきって打った結果だと思います」と言う。また、2点差の場面かつ、今シーズンこの試合の前まで計3本しか打っていなかった3ポイントシュートを放った理由を「あそこで勝ちたかった。川崎とは昨年からオーバータイムが多く、もうやりたくなかったですし、多分、相手もやりたくなかったと思います」と笑顔で語った。
一方、痛恨の逆転負けとなった川崎の北卓也ヘッドコーチは、「こういう最後に逆転負けが一番悔しいです。昨日の反省も踏まえて戦ってくれましたが、最後やられてはいけないところで3ポイントをやられてしまいました」と、リードしながら土壇場で負けるのは精神面でこたえるものと率直に述べている。
ちなみ川崎は、11月11日の栃木ブレックス戦でも、同じく2点リードで迎えた終了間際に相手のビッグマンであるライアン・ロシターに逆転の3ポイントを決められて敗れている。どちらも3ポイントシュートだけは決められていけない状況で打たれての逆転負けで、「最後の勝負どころでの精度が昨シーズンに比べると弱い」と指揮官が語るチームの課題をあらためて露呈する結末となった。
これで連勝を9に伸ばしたSR渋谷だが、勝久ヘッドコーチは「連勝についてあまり考えていないです。それより来週ホームを守らないといけない気持ちが強いです」と、千葉ジェッツ相手にホームでしっかり勝利を挙げられるかに集中している。一方、川崎も来週はシーホース三河と再び好調なチームをホームに迎え撃つ。両チームとも再び続くタフな対戦で、今週の経験を生かしどんな戦いを見せてくれるのか注目だ。