取材=小永吉陽子 文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦、小永吉陽子

「頑張ってついていけばチャンスはある」

バスケットボール男子日本代表は今日17時30分から、ワールドカップ1次予選の第2戦、オーストラリア戦に臨む。昨日、敵地アデレートに到着して軽めの練習で汗を流したチームで、比江島慎に話を聞いた。

初戦のフィリピン戦では強気に1on1を仕掛けた。個人で勝負して得点できる、国際大会でいつも通りのプレーができるという2つの点において『エースの働き』を見せ付けた比江島。フル回転しただけに、その結果として敗れたことに大いに失望し、同時に責任を感じてもいたが、この日は気持ちを切り替え、来るべきオーストラリア戦に備えていた。

オーストラリアは今回の予選で圧倒的な力を持つ格上。昨年のリオ五輪ではベスト4に駒を進めた世界の強豪だ。NBA選手はいないが、昨年のリオ五輪に出た選手が2人いる。2年前のワールドカップ出場選手も今回のチームに加わっており、アジアカップのオーストラリアよりも強くなっていると見るべきだろう。

「さっきも映像を見ましたが、強いのは間違いないです」と比江島は言う。日本代表がチェックしたのは初戦のチャイニーズ・タイペイ戦の映像だろう。オーストラリアは104-66と、アウェーの不利をモノともせずチャイニーズ・タイペイを一蹴している。20分を超えた選手が1人だけとタイムシェアを徹底、連戦の影響も少なそうだ。「アウェーなので追う展開は絶対にダメだと思います。なのでまずは立ち上がり。あとは頑張ってついていけばチャンスはあると思います」

メンバーに違いはあれ、アジアカップで対戦して得た『感触』は攻略の糸口になりそうだ。「前のアジアカップの時はオールスイッチをされて、そこから停滞してしまったので、そこでどう対応するかがカギになると思います。オールスイッチされてピック&ロールでズレが作れなかった時、大きい選手がスイッチしてきた時にはしっかりアタックしたいと思います」

圧倒的な強敵を倒すには、誰かがきっかけを作る必要がある。前回の試合を見る限り、その役割は比江島に託したくなる。「強いところとやるのはもちろん楽しみです。そして勝ちたいです」と比江島。エースは今、誰よりも勝利を欲している。